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「すみません」より「ありがとう」~育児している自分に胸を張ろうと思った話

こんばんわ、OgAzです。夏休み前の三連休初日、天気はあいにくでしたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

我が家は今日は、特段何があるでもなく一週間分の食材買い物デーでした。いつものように夫に車を出してもらい、いつものスーパーで買い物をしました。野菜も肉も魚も少しずつ値上がりしているのが家計にはツライところですが、この時期は暑さで食材が傷みやすいため「見切り品」が山盛りで嬉しい!いつも真っ先に「見切り品」売り場に足を運んでいる今日この頃です。

買い物を済ませ、山盛りのマイカゴをカートに乗せてエレベーターで屋上へ。同乗していたご婦人が「開く」ボタンを押して、先に私が降りるよう待っていてくれました。こういうさりげない気遣い、嬉しいですね。とっさに「すみません」と出そうになったのを慌てて引っ込めて、「ありがとうございます!」とお礼を言いました。マスク越しなのでわかりませんが、ご婦人は軽く会釈をして、たぶん少し微笑んでくれようでした。なんだかとても晴れやかな気持ちになって、気分よく夫の待つ車に戻ったのでした。

みなさん、「ありがとう」と言うべきところで「すみません」と言っていませんか?私は、子どもたちが赤ちゃんだったころ、やたらと「すみません」ばかり言っていました。でもそれは違うなと、ある時ふと気づいたんです。「ありがとう」と意識して言えば、相手も自分も笑顔になります。今日は、みんな、「ありがとう」ってもっと口に出そうよ!って話を書いてみたいと思います。

赤ちゃん育児中の口癖「すみません」

息子たちが中1・小5の今となっては笑い話ですが、赤ちゃん育児中はなんだか肩身が狭く感じていました。都会は育児に向かないとはよく言ったもので、世間の人たちの目が非常に冷ややかに感じてしまったのです。

電車やバスに乗るとき、エレベーターに乗るとき、レストランに入るとき・・・とにかく周りの人に迷惑をかけないように、何かあるたびに頭を下げて「すみません!」と謝っていました。エレベーターのドアを開けて待っていてくれた人に、落とし物を拾ってもらった人に、階段でベビーカーを運ぶ手伝いをしてくれた人に。ポーズでもなんでも、とにかく謝っておけば体裁は保てるという思い込みだったのだと、今は思います。そこは「ありがとう」じゃんって。

私には兄がいて、家族では一番年下です。イトコも年が近くて私が一番下。身近に自分より年下や赤ちゃんという存在がいませんでした。それが原因なのかどうなのか、中高生くらいから「赤ちゃん」「小さい子ども」という存在が大嫌いだったのです(そんな私が、今や子どもを2人も産んでいるという事実に我ながらビックリ)。当時は、電車に乗ってくる赤ちゃんや小さい子どもがいると「もう!うるさいなあ!」とすごく思ったものです。

そんな経験がある私が、赤ちゃんを連れる側になったときどうなるか。周りが全員「うるさい」とキレているように感じるのです。実際にはそうでない人、微笑ましく見守ってくれる人もいるのでしょうが、一部でも私のように内心怒っている人がいるはず。だったら、一番迷惑と感じている人に合わせて、小さくなっているべきだと思いました。「赤ちゃんを連れていてすみません」と、電車やバスに乗ったときは心の中でいつも思っていました。身から出た錆とはまさにこのことですね。

長男の言葉で自分の口癖に気づく

ある日、長男が3歳、次男が1歳ごろだったと記憶していますが、マンションのエレベーターを降りるときに、住人の方に扉を開けていてもらったことがありました。私は荷物とベビーカーで頭がいっぱいで、軽く会釈をして降りたのですが、長男が扉を開けてくれた人に向かって「すみません(実際には「ちゅみまちぇん」)」と言ったのです。

マンションを出て歩きながら、挨拶ができて素晴らしいなあと感心しつつも「今のは『ありがとう』のほうがいいね」と長男に教えました。が、ふと気づきました。いや、それ私にも言えることやんと。むしろ私がいつも「すみません」を連発していたから、長男も真似して発言したんじゃないのか。これはいかんと思いました。

ふと、高校のころの国語の先生の話が頭をよぎります。

落とし物をして困っていたら、親切心で届けてくれた人がいた。感謝の気持ちとして謝礼金を渡そうとしたら、気分を害して怒らせてしまった。人は、親切心で行ったことに対してお金を持ち出されると、気分を害するものだ。

高校時代の川崎先生の話(多分こんな感じだったはず)

今回の話にお金は関係ないけれど、親切心に対して違うものを返されているという意味では同じ。良いことをしているはずなのに、それって全然いい気分じゃないよなと思ったのです。親切に対しては、素直に「ありがとう」と返すべきだ。

それからというもの、誰かに親切にしてもらったと感じたときは、意識して「ありがとうございます!」と言うように心がけました。つい口をついて「すみません」と出てしまうこともあるので、そのときは続けて「ありがとうございます!」と。言ってみると不思議なもので、自分がとても晴れやかな気持ちになれることも知りました。「ありがとう」って魔法の言葉なんだな。

「ありがとう」の起源

せっかくなので、「ありがとう」という言葉の起源を調べてみました。

「ありがとう」は「有難し」がウ音便化したもので、もともとは仏教から来た言葉です。「法句経」という仏教経典のなかの「盲亀浮木」のたとえ話に出てきます。

ある時、お釈迦様が阿難尊者に「人間として命を授かった事をどのように思っているのか」と尋ねられました。
すると阿難尊者は「大いなる喜びを感じています」とお答えになります。
お釈迦様は「盲亀浮木」の喩えをお話になります。
「例えば大海の底に一匹の目の不自由な亀がいて、その亀が百年に一度、息を吸いに波の上に浮かび上がってくるのだそうだ。ところがその大海に一本の浮木が流れていて、その木の真ん中に穴が一つ空いている。 百年に一度浮かびあがってくるこの亀が、ちょうどこの浮木の穴から頭を出すことがあるだろうか」と尋ねられました。
阿難尊者は「そんなことは、ほとんど不可能で考えられません」と答えると、お釈迦様は「誰もが、あり得ないと思うだろう。しかし、全くないとは言い切れない。人間に生まれるということは、この例えよりも更にあり得ない。とても有難いことなのだ」 と仰っておられます。

出典:法相宗大本山薬師寺「盲亀浮木のたとえ」

ここに出てくる「有難い」は、「滅多にないこと」という意味で使われています。このように「人として生まれるということはとても有難いことであり、それに感謝して生きよう」という教えから、感謝の気持ちを表す言葉として用いられるようになったと言われています。

私の敬愛する司馬遼太郎先生も、大好きな「21世紀に生きる君たちへ」の中で「人間は、自分で生きているのではなく、大きな存在によって生かされている」と書いておられました。ここで大きな存在とは自然のことを指しますが、私たちは私たちを取り巻くあらゆる存在に感謝して生きなければいけないなとつくづく感じました。

都会での妊娠は世知辛い

話は逸れてしまいますが、都会では育児だけでなく妊婦にもなかなか厳しいなあとふと思い出しました。

長男妊娠中、派遣社員で渋谷に通勤していたのですが、悪阻の吐き気が酷かったのでとても辛い時期がありました。カバンにマタニティマークを付けていましたが、満員電車ではあまり意味をなさず。とにかく早く目的地に到着することを願って過ごしていました。

そんな中でも、時々席を譲ってくださる方がいるんですよね。「この満員の中でせっかく座れたのに、譲っちゃっていいの!?」と申し訳なかったですが、しんどかったので本当にありがたかった。後光が差しているのが見えました。そして譲ってくれたのはすべて、同世代くらいの男性でした

おそらく奥さんが妊娠を経験したか、今妊娠しているか、これから子どもを考えているか、そのくらいの若い男性がたです。とても快く「どうぞ」と譲ってくれたのが嬉しかったですね。逆に、お年寄りや女性は見向きもしてくれなかったので、「なるほどなあ」と純粋に感心したのを覚えています。

子どもが成長した今は、その時の経験から、公共交通機関で妊婦さんや子ども連れになるべく席を譲るように心がけています。少し前に長男もバスでベビーカーを押した女性に席を譲っていて、よしよしと思いました。都会でも田舎でも、妊婦さんにも気軽に席を譲ってあげられる世の中になってほしいなと思います。

結び

「ありがとう」は言う方も言われる方も気分を害さない言葉だと思います。たくさん言っても損はない!と思うので、副業Webライターのお仕事でクライアント様と連絡するときには、これでもかというくらい「ありがとうございます」を使うようにしています。「ご迷惑おかけして申し訳ありません」より、「ご指摘くださいましてありがとうございます」のほうが、受け取ったほうも気分がいいんじゃないかと思うのです。家族でも同じで、些細なことでも「ありがとう」と言うように心がけています。そういえば私は、両親から「ありがとう」ってあまり言ってもらえなかったなあ・・・。

世の中にたくさんの「ありがとう」が溢れれば、たくさんの笑顔が溢れて、みんなハッピーになれるんじゃないかな。とくに育児中のママは、周りの人に「すみません」と謝りがちかもしれませんが、明日からぜひ「すみません」を「ありがとう」に変えてみてください。世界がちょっとだけ、パッと明るくなりますよ。

今回は4000字でお送りしました。

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