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【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】秋バテ? めまいと鍼灸

千葉市内、千葉駅すぐ、女性と子ども専門鍼灸院『鍼灸 あやかざり』です。いつも【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】の記事をお読みいただき、ありがとうございます。

なんとなく”ふわふわ”として平衡感覚がおかしい、視界が“ぐるぐる”して目がまわる。。。
こうした、つらいめまいの症状は、その感覚の煩わしさから、仕事や日常生活に支障をきたしてしまうほどに深刻化することもあります。
また、春から秋、秋から春という季節の変わり目は、めまいがおきやすく、まさに、今この時期におきやすい、秋バテの症状のひとつとしてもとりあげられています。

今回は、このようなめまいがどうしておこるのか、症状ごとのタイプや原因、治療方法についてみていきましょう。
なお、本編の後半では、めまいに対する鍼灸によるアプローチについてもご紹介していきます。


1.めまいとは

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めまいと一言でいっても、その症状は以下のようにじつに様々です。
・気が遠くなる(気絶しそうになる感覚)
・ふらつき
・平衡障害(バランスを失ったり不安定になる感覚)
・漠然とぼうっとする感覚
・頭がくらくらする感覚
・回転性めまい(周りの景色が動いているような感覚)
・立ちくらみ(立ち上がった時にふわっとする)

めまいの症状は、吐き気や嘔吐、バランスが取りにくい、または歩くのが難しい、耳鳴りがする、といったような症状を伴うことがあります。

めまいはどの年齢でも起こりますが、年齢が上がるに従って増えていき、40歳以上では約40%の人がめまいを一度は経験したことがある、ともいわれています。

2.めまいの原因

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大きく分けると、めまいは回転性めまいを伴うものと伴わないものに、その原因をわけることができます。

2-1.回転性めまいを伴うもの

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回転性めまいは、平衡感覚の維持が上手く機能しなくなり、発症すると考えられています。
人間の身体の平衡感覚をつかさどる器官には、耳(内耳)・脳(脳幹、小脳、神経路)があります。
回転性めまいをおこす、おもな疾患には次のようなものがあります。
・良性発作性頭位めまい症
・メニエール病
・前庭神経炎
・内耳炎
・前庭性片頭痛

2-2.回転性めまいを伴わないもの

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次のような事柄が原因となって、回転性めまいを伴わない、めまいの症状をひきおこすことがある、と考えられています。
・薬の作用
・心臓や肺の病気や重度の貧血といった神経以外の病気が関連する
・脳が受け取る酸素やブドウ糖が不十分な場合に起こる

また、医療機関で様々な検査をおこなってもはっきりとした異常がみつからない場合には、精神的な側面が原因となる、心因性のめまいと診断されることもあるようです。

3.現代医学によるアプローチ

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現代医学(西洋医学)では、めまいの原因を調べるために、一般的には、血液・平衡感覚・歩行・内耳・聴覚・脳などの検査などが行われます。
その結果、めまいの症状をひきおこす原因疾患がみつかった場合には、個々の病気に対する治療が行われ、投薬が行われます。
また、器質的な疾患がみつからないが症状があり、精神的な事柄が理由となっていると診断される場合には、めまいの症状を抑える薬のほかに抗うつ薬や気持ちを安定される抗不安薬などが処方されることもあるようです。

4.鍼灸によるアプローチ

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「めまいは鍼灸による治療が可能なのか?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、めまいの症状も鍼灸によるアプローチが対応可能な症状の一つです。
その効果は、世界保健機関(WHO)も認めています。
参考リンク:公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会

一般的な投薬治療では、めまいのつらい症状を飲み薬等により抑えます。
投薬による治療を受けている方の中には、『めまいがする時に嘔吐をともなうので、薬を飲むことができない』『長期の薬の服用で薬が効かなくなってきたように感じる』『めまいで食事ができない時に服薬をしたために胃腸があれてしまった』『なんども症状を繰り返しているので、対処療法ではなく根本から治したい』と考えていらっしゃる方も多いかもしれません。
また、あちらこちらの病院をまわり、現代医学的に様々な検査を行ったが原因が明らかにならならず、治療法もみつからないために、症状を抱えながら日々を不安に生活している、という方も中にはいるかもしれません。

一方、鍼灸によるめまいの治し方は「症状が起こっている根本の原因」をみつけだし、それを正すことによって、めまいの症状を取り除くとともに、めまいをおこさない身体づくりをしていきます。


東洋医学的には、「体質、季候、食事、疲労、ストレスなど、何らかの原因で、体内循環が変調をきたすことにより、めまいの症状がひきおこされる」と考えて治療にあたります。

5.東洋医学におけるめまいとは

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では次に、めまいの東洋医学的分類と、どうしてめまいがおこるのか、その原因を探っていくことにします。

5−1.暴飲暴食の繰り返しによるもの(痰濁中阻型)

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食べすぎや飲みすぎが原因でめまいを発症するタイプです。
暴飲暴食を日々繰り返して胃腸への負担が積み重なることによって、胃腸の働きが弱まり、消化・吸収が上手く行われなくなります。
これにより、体内の余剰水分が老廃物としてお腹のあたりを中心に停滞して、体内循環を邪魔するようになり上下の交通が遮断され、活動に必要なエネルギーが上半身に到達できないことからめまいを生じます。
このタイプの特徴として、お腹のあたりが張って苦しい、嘔吐感、食欲不振、身体のおもだるさ、いつも眠いなどの症状を伴うことがあります。

5-2.イライラのため込みによるもの(肝火上炎型)

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カーッとなることが多く、自分の感情をついため込んでしまうことが多い。だれにも話さず、毎日イライラ、鬱々とした日々を送っているうちに、ある日突然にめまいを発症する。
こういったタイプは、怒りや悩みなど精神的なストレスの蓄積がめまいの原因となっていることが多いです。
東洋医学では、怒りや悩みなどの精神的ストレスは、身体の上半身を中心にした過緊張状態を作り出して、身体の興奮とともに異常な熱(東洋医学では火と呼びます)を発生させやすくなります。その火が身体の上部(つまりは頭)の部分でめまいとなって症状をひきおこします。
頭の中に炎がめらめらとしている様子をイメージしてみてください!
このタイプの特徴として、イライラしやすく怒りでめまいが悪化しやすい、頭痛がしやすい、眠りが浅いなどの症状を伴うことがあります。

5-3.血液の停滞が原因となっておこるもの(瘀血阻絡型)

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過去に頭部に怪我をしたことがある場合、その影響で血液の流れに滞りがうまれ、頭部の循環が停滞してめまいがおこることがあります。
このタイプの特徴として、頭痛を伴う、物事を忘れっぽい、不眠などの症状を伴うことがあります。

5-4.身体の熱を冷まして潤す作用が低下しておこるもの(肝陽化風型)

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病気を長い間患ったり、大きな病気から回復した直後は、体力が衰えがちです。
身体機能が低下することから、体の余分な熱を冷ますといった体温調整が上手くできなくなったり、身体全体を潤す機能が低下しがちになります。
結果、身体が変に熱っぽくなり微熱が続いたり、体内で発生した熱が頭のほうへ集まることで、めまいを発症しやすくなります。
このタイプの特徴として、微熱症状、手足のほてり、喉のかわき、ふらつき、眠りがあさい、疲れやすさ、いらいら感などの症状を伴うことがあります。

5-5.胃腸の弱さが原因となっておこるもの(脾気虚型)

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体質的に胃腸が弱く、食べ物を体内で消化して身体に必要なエネルギーを作り出し全身に巡らせることができず、頭の部分までエネルギーが届かないことからめまいを発症します。
このタイプの特徴としては、疲労感が激しく横になりたがる、朝の起床時など起き上がるタイミングでめまいが悪化する、息切れ、話すのがおっくう、汗がとまらない、食欲不振、軟便などの症状を伴うことがあります。

5-6.考えすぎや悩みすぎによるもの(心脾両虚型)

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心配事や悩み事などが多く、たえず頭をつかった状態が続くことで、頭脳活動に必要なエネルギや血液を過度に消耗してしまう上に、それらを身体の隅々まで行き渡らせることができないために、めまいを発症します。
このタイプの特徴としては、頭のふらつき、目のかすみ、心身疲労によりめまいか悪化する、不安感がつよい、動悸や全身の倦怠感、食欲不振、不眠などの症状を伴うことがあります。
なお、考えすぎや悩みすぎの他、出産・月経・不正出血などで大量の出血があった後にも、血液を過度に消耗することから、このタイプのめまいを発症することがあります。

5-7.身体のエネルギー不足によるもの(腎精不足)

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過労や加齢などにより体力が衰えると、身体を正常に機能させるために必要となるエネルギーが不足して、めまいを発症します。
このタイプの特徴は、頭のふらつき、めまいが慢性的にある、疲労感、忘れっぽい、耳鳴り、目のかすみ、腰のだるさ、無気力などの症状を伴うことがあります。

6.めまいに対する鍼灸の施術例

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次に、めまいに対する鍼灸の施術例をご紹介します。

一度の施術で使うツボは1つです。施術時間は、休憩含めておおよそ1時間程度です。
なお、鍼をする前には、予め、詳しく問診をする必要があり、めまいの症状だけでなく、他にもある様々な身体の症状(随伴症状といいます)、その人の体質や体格、その時の体調、施術をする時の季節、天気なども考慮する必要があります。
その上で、その人の身体全体の状態(脈、舌、顔色、身体の熱冷のかたより、身体の緊張、手足ツボの反応など)から、トータル的にみて、最も原因にふさわしいツボを選び鍼灸の施術をします。
そのため、めまいの症状や原因が同じでも、その時々で使用するツボも変えることが必要となります。

では、以下に具体的な施術内容をご紹介します。

【患者】20代女性、身長158cm、体重53kg。
【初診】202X年6月X日
【主訴】めまい
【問診】
2021年5月末 めまいを発症する。突然のことで、これまでにめまいの既往歴は全くなし。
勤務先で午前の仕事中、ちょうどひといきついたタイミングに、何かいつもと違う調子の悪さ(表現しづらく詳細は不明)を感じた。
その後、椅子から立ち上がる時に立ち眩みのような、ふわふわとしためまいがしたため、早々に仕事を切り上げて帰宅した。
帰宅後の夜横になったタイミングからは、めまいが悪化した。
視界がゆがみ、回転するようになった
翌日はめまいのためにベッドからおきることが困難になった。
耳鼻科にいくが、メニエール病か耳石が原因か、確定診断はつかなかった。
めまいのほか、耳鳴り(ゴーゴーとした音が静かなところで強くきこえる)もしていた。
耳鼻科で処方された薬を数日間にわたり服用後、症状は軽減して、起き上がれるようになった。
インターネットで、薬以外のめまいの治療方法を探し、鍼灸での治療を試してみたいと来院をした。
【初診時の症状】
・来院時のめまいの状態は、ふりむきやおきあがりの動作時に、くらっと視界がゆがむ。
・めまい時の視界の回転はない。
・2021年4月に就職したばかりで、毎日、仕事は一生懸命にがんばっていた。
・精神的なストレスの自覚はないが、はじめてのことばかりでたえず緊張していた。
【特記事項】
・性格はまじめ。
・幼少期、学童期のころから発熱時に中耳炎を繰り返していた。
・月経痛が激しく、月経前のイライラが激しい。
・発症直前に月経があったが、量が普段よりも少なかった。
・就職してから便がやや硬めで、排便間隔が2~3日に1回と便秘がち。
・自分の身体は熱いと思うが汗はかきづらい。
・肩から背中のこりが顕著。
【診断と治療方針】
精神的なストレスをきっかけに身体が過緊張状態となり体内循環がうっ滞し、身体の興奮により異常な熱を発生させて、めまいを発症した、肝火上炎型と診断。
幼少期から中耳炎を繰り返している、肩こり、便秘、汗をかきづらいこと、月経前のイライラ、月経量の減少も、随伴症状の耳鳴りも同じ原因によりおこっている可能性がある、と考えた。
従って、身体の緊張を緩め、身体の余分な熱を冷ますことを中心にした処置を行う。
【日常生活での注意点】
・適度に運動する。

【経過】
初診 鍼をした直後から緊張がゆるみ、肩こりがゆるんだことを実感。めまいは多少改善した感じはするが、大きな変化はなし。
2診〜3診 めまいのおきる頻度が徐々に減り、視界がゆがむことがなくなり、ふわっとした感じがたまにおきる程度になってきた。
4診~ さらなる改善を本人が希望しており、治療を現在も継続中。
その後、月経周期よりも早めに月経となる。量多め、色が濃いめ、塊が多い。普段は月経前のイライラや不安感、腰痛、月経痛などのPMS症状を伴うが、鍼灸施術をうけるようになって以来初めての月経で、それらの症状はまったくなし。月経後は身体がすっきりとして、めまいの症状がさらに改善したように感じる。

7.まとめ

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今回はめまいのについて、症状ごとのタイプや原因、治療方法をとりあげました。
東洋医学においても、めまいに対して鍼灸でのアプローチが可能なことはご理解いただけたでしょうか。

今回はここまでとなります。最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。

それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!

鍼灸 あやかざり
千葉駅5分 完全予約制 女性と子ども専門の鍼灸治療院
千葉県 千葉市中央区新町1−6 ラポール千葉新町202
TEL:070-8525-6132
https://ayakazari.com/
画像の出典:https://www.photo-ac.com/


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