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【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】鮮度が命!「そら豆」のヒミツ

千葉市内、千葉駅すぐ、女性と子ども専門鍼灸院『鍼灸 あやかざり』です。いつも【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】の記事をお読みいただき、ありがとうございます。

今回とりあげるのは、今が旬、鮮度が命の「そら豆」です。
「そら豆」はその名の通り、豆類だと思われていますが、さやから取り出したものは豆類として、さや付きのものは野菜として分類されます。
そんなふたつの顔を持つ「そら豆」について、そのヒミツと「そら豆」のすごさをご紹介していきます。
『6.「そら豆」を使った千葉のお菓子』では千葉に伝わる郷土菓子『てんもんどう』をとりあげています。

では、どうぞ最後までお楽しみください!

1.「そら豆」の名前について

「そら豆」の名前の由来には諸説ありますが、さやが天に向かって伸びるように実がつく様子から「空豆」という名前になったようです。
また、さやが蚕のまゆに似ている様子や、豆を食べる季節がカイコを飼う時期と重なることから「蚕豆」と書くこともあります。
さらには
●天豆:空を天と呼ぶことからついた名前
●雪割豆:前年の秋に植えることからついた名前
●四月豆、五月豆:旬の時期からついた名前
いずれも「そら豆」を指しています。
また、地方によっても、のら豆、夏豆、大和豆、冬豆、雁豆、唐豆、胡豆など、さまざまな名前がついています。

煮物の素材で、おたふく豆(於多福豆)というのを聞いたことがあると思いますが、実はこれも「そら豆」の別名です。
言われてみればその形はお多福さんに似ていますね。

2.「そら豆」の由来

そら豆の花

「そら豆」はマメ科の植物で中央アジア地域に起源があります。
世界最古の農作物のひとつともいわれており、ヨーロッパでは新石器時代の遺跡からも発見されています。
日本への伝来には諸説があり、天平時代にインド人の僧侶 ポダイセンナが中国を経て渡来したときに伝えたともいわれています。

害虫や台風に強い作物のため、かつては乾燥した豆を食用とする穀類として生産されていました。
現在では、熟す前の黄緑色の若い実を食用とすることが多くなっています。
乾燥させた豆は煮豆やあんの材料に使われ、若い緑色のものは塩茹でにしたり、焼いて食べるのが一般的です。

3.栄養学としての効果

野菜類としては体の調子を整えるビタミン B 群を含み、また、葉酸も多く含んでいます。
豆類としての性質もあり、炭水化物やたんばく質、鉄や亜鉛などのミネラル、食物繊維が多いのも特徴です。

●ビタミンB1:炭水化物からエネルギーを作り出す際の助けとなります。米を主食とし、でんぷんからエネルギーを得ている日本人にとっては重要なビタミンです。疲労回復効果が期待できます。
●ビタミンB2:糖質、脂質、たんぱく質の代謝、特に脂質の代謝に大きく関わっています。また、たんぱく質の合成を助ける働きがあり、髪や皮膚などの再生にも関わります。
●カリウム:細胞の浸透圧を調整し、維持する働きを担っています。また、血圧を安定させたり、骨粗しょう症を防いだりする働きもあります。
●食物繊維:そら豆に含まれる食物繊維はほとんどが不溶性食物繊維です。腸を刺激して、排便をスムーズにする作用があり、便秘の解消に効果があります。ただし、人によっては、摂り過ぎでお腹の張りやガスがたまる感覚が現れ、便秘を悪化させてしまうこともあるので、注意が必要です。

一部では「そら豆」を食べたり花粉を吸いこんだりした結果、溶血性貧血を引き起こす恐れがあるとされていますが、最近の研究では、遺伝的な体質の影響によることがわかってきています 

大豆アレルギーに対応する代用品として、「そら豆」が醤油やみその原材料に使われることもあります。
ただし、まったくアレルギーが起きないとは限りませんので、心配な方は医療機関に相談してください。

4.東洋医学的な効能

東洋医学的には、「そら豆」は豆の実の部分以外にも、さや、種子の皮、花、茎、葉のそれぞれが生薬とされています。

●「そら豆」の実
【性質と味】 
甘・微辛、平(甘・鹹・辛、平、無毒)
【関連する臓腑経絡】 
脾・胃経(心・脾)

①健脾利湿(けんぴりしつ)
胃腸の働きを高め、余分な水(湿邪)を排出します。
3年以上経った乾燥そら豆の煎じ液は、むくみの解消に効果があります。

②補中益気(ほちゅうえっき)
胃腸の機能を高めて体力を向上します。

●「そら豆」の殻(蚕豆殻)
【性質と味】甘・痰、平
【効能】利水滲湿、止血、解毒

●「そら豆」の花(蚕豆花)
【性質と味】渋、平
【効能】止血、止帯、涼血平肝、降圧

豆類である「そら豆」は消化しにくいため、食積痰湿で消化不良のある方や、気滞でお腹が張りやすい方は食べ過ぎに注意しましょう。
また、陽虚で腎炎のある方は、豆類でたんぱく質の多い食品の摂取は控えめにしましょう。

5.千葉とそら豆



ディズニーリゾート、成田山、房総半島など、観光のイメージが強い千葉県ですが、温暖な気候で豊かな土壌に恵まれているため、実は全国有数の農業県の一つになっています。
落花生以外にも、だいこんやにんじん、キャベツなどいろいろな野菜がつくられています。

いまの時期に旬をむかえる「そら豆」も全国第2位の収穫量(平成29年実績)で、千葉県内では、主に山武市や南房総市などで生産されています。

「そら豆」は旬の時期が短く、収穫してから3日以内といわれるほど鮮度が命であることから、なかなかスーパーなどでは手に入りにくいかもしれませんが、筆者の鍼灸院『鍼灸 あやかざり』の周辺でいうと、千葉駅近くの八百屋さん(C・one店 - グリーンショップオオツカさん)の店頭にも並んでいるのをみかけたことがあります。
ぜひ、一度、この機会に「そら豆」を塩ゆでしたり、焼いてして、味わってみてくださいね。

6.「そら豆」を使った千葉のお菓子

「そら豆」の食べ方・レシピといえば、ゆでて食べるのが一般的ですが、実は、お菓子の材料として用いられています。

乾燥した「そら豆」を使ったお菓子と言えば、殻付きのそら豆を揚げたフライビーンズやそら豆入り玉子煎餅が有名ですが、千葉県では東金市産の紫そら豆を使った『東金天門どう』が有名です。

千葉県の郷土料理「てんもんどう」:農林水産省ホームページより

「てんもんどう」は、千葉県に古くからある食文化のひとつです。
野菜や果物を砂糖水で煮込んで長期保存を可能にした保存食で、ユリ科のクサスギカズラの塊茎を茹でて乾燥させた漢方薬「天門冬」をハチミツに漬けて服用したことが名前の由来になったといわれています。
その後、時代とともにさまざまな野菜やが使われるようになりました。

東金市の東金元気づくり株式会社では、古くから伝わるゆずやしょうが、にんじんなどのほか、紫そら豆やしいたけ、オリーブなどを使った新たな特産品としての『東金天門どう』が作られています。

農林水産省『うちの郷土料理』でも紹介されていますので、外房地域を観光で訪れる時には、ぜひ道の駅『みのりの郷東金』、『東金マルシェ』に立ち寄り、手に取ってみてください。

7.まとめ

ここまで「そら豆」のヒミツやすごさをご紹介してきましたが、みなさんは「そら豆」がどのようにできているかをご存知でしょうか?
畑で実る様子を見たことのある方はかなり少ないと思います。

収穫前のそら豆

千葉県の八千代市や柏市のほか、県内の何か所かでは「そら豆」狩りの体験ができます。
今回の記事を読んで興味をお持ちになられた方は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
収穫後は、もちろんその日のうちに美味しく召し上がってくださいね。

いかがでしたでしょうか?
『鮮度が命!「そら豆」のヒミツ』はお楽しみいただけましたでしょうか?

このように、身の回りにあるいろいろなものを東洋医学的にみていくと、鍼灸のほかにも、身近なところに自然治癒力を高めるヒントがたくさんあることに気づかされますね。

食養生、毎日の食事こそがわたしたちの身体をつくるもととなっています。最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!

鍼灸 あやかざり
千葉駅5分 完全予約制 女性と子ども専門の鍼灸治療院
千葉県 千葉市中央区新町1−6 ラポール千葉新町202
TEL:070-8525-6132

画像の出典:https://www.photo-ac.com/

参考文献:『中医臨床のための中薬学』、『東方栄養新書』、『オールガイド食品成分表』ほか
参考資料:農林水産省ホームページ『うちの郷土料理』

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