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個性

ある時、お友だちのハム吉くんが泣いていました。

🐹どうしたの?

ちょびのすけはビックリして、ハム吉くんにそう声を掛けました。

ボクね···

🐹ボクね、生まれつきシッポが長いでしょ?

ハム吉くんは、クルッと身体をひねって、ちょびのすけに自分のシッポを見せました。

大抵のハムスターのシッポは、短くちょこっとお尻にくっついてるのですが、ハム吉くんのシッポは少し長いのです。


多くのみんなとは少しだけ違うけど、なんだか優しいハム吉くんらしくて、ちょびのすけはハム吉くんの少し長めのシッポが大好きでした。

ハム吉くんは、涙をこらえながら続けます。

🐹このシッポ、ハムスターらしくないし、ネズミと間違われたら可哀想だから、短くするんだって···


それを聞いてちょびのすけは、とってもビックリしました。

🐹ええっ?!
🐹このシッポが、ハム吉くんらしくて素敵なのに?!


ちょびのすけがそう言うと、ハム吉くんは涙をポロポロこぼしました。

悲しくて二人で沢山泣きました


🐹おとうさんもおかあさんも、こんな変なシッポに産んでゴメンねって、ボクに泣いて謝るんだよ

🐹ボク、生まれつきこうだから、なんにも困ってないのに

話しながら、ハム吉くんはどんどん悲しそうな表情になっていきます。

🐹ボクがこんな変なシッポに生まれちゃったせいで、おとうさんとおかあさんを悲しませるんだ。

🐹ボクはダメな子なんだ···


悲しくて悲しくて、とうとうこらえきれずに、ハム吉くんは大きな声をあげてワンワン泣きました。

ちょびのすけも悲しくなって、ハム吉くんと一緒に大きな声で泣きました。






ハム吉くんのおとうさんとおかあさんは、ハム吉くんをみんなとおんなじに産んであげられなかったことを悔やんで、自分を責めて、ハム吉くんに申し訳ないと思ってできる限りのことをしてあげたいと思ったのでした。
それは両親からハム吉くんへの精一杯の愛情でした。

だけど、ハム吉くんが望んでいたのは、ハム吉くん自身をまるごと愛してくれることでした。

子どものことで親が悲しむと、子どもは自分のことを、親を悲しませる駄目な子だと思います。
例えそれが多くの人より不便な個性であっても、その子はその個性で生まれるという、勇敢なチャレンジをしに生まれてきたのです。

だから、もしもその個性が命に別状がないものであるならば、それを応援して見守って、助けを求めてきたときには手を差し伸べてくれるならとても嬉しい。

それが子どもの望みかもしれません。


多くの人と同じことが、本当に大切なのでしょうか。
それぞれに個性が違うことのほうが、本来は尊いことなのかもしれません。


違いがないことこそ
生まれてくる意味が感じられないことはないのではないでしょうか。


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