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都会で村をつくる。|Uvillage Bar & GUESTHOUSE Part.2

都会で村をつくる、大阪・中崎町にあるBar&ゲストハウス『Uvillage

24歳の彼ら3人の目指すところは社会課題の解決を行うコミュニティづくりにあり、この記事では一人一人の社会課題解決の事業に迫ってみる。

本記事は2部構成の記事のうちの2部目となります。
前回の記事はこちらからご覧いただけます。


服の交換会|ヒロム(堀田 拓夢)

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現在、日本での服の廃棄量は年間100万トンと言われてる。仮に洋服を1着500gとした場合、100万t ÷ 500g = 20億着が1年間で廃棄されていることになる。

これらの原因としてはファストファッションの台頭によってトレンドに合わせた短い期間でのメーカーの大量生産、そしてそれに伴う販売店や消費者の大量廃棄が起きていることによる。

そして、それら廃棄された服の半分以上は焼却処分されることになるのだが、リサイクルの比率が低いことも国際的に問題視されている。

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リサイクルショップや古着屋に行ったときに溢れかえる服の多さに疑問を持ったヒロムはこうした服の廃棄量の問題を知り、この現状を変えようと決意した。

"0円で服を流通させる"


まず、彼がはじめたのは服の交換会だった。

まだ着れるけどサイズが合わなくなったり、服の好みが変わって着なくなった服を持ってきてその服に対するエピソードを書いて寄贈する。そして他の誰かが持ってきた服を持って帰ることもできるというイベントだ。

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1つ1つの服に個性的なエピソードがあり、それを眺めるだけでも楽しいし、実際に利用者の人たちからは

自分の趣味とは違う服と出会える!

意外とみんなが服を大切に着ていることがわかる。

そんなエピソードが詰まってたんだと感動する!

といった声が上がっている。たくさんのポジティブな声に勇気をもらった。


また一方で、服で新しいものをつくれないかとはじめた試みとして服を家具にするという取り組みを行なっている。

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これはたくさんの服からなるソファーで、実際に販売もしている。

決して座り心地がいいとは言えないけれど、こうした新たな取り組みが多くの人の意識が変わるキッカケを生み出すことに間違いはないだろう。


これからは、服を交換するだけではなくて、修繕や加工もしていきたいとヒロムは語ってくれた。

まだまだ手探りだが、先日も香川県の藍染工場(旅籠屋 tonbii)まで赴き、自分の手で服を染めるという経験もしてきた。

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染めることで世界で一つの服にすることができ、藍染は殺菌効果や生地を強くする効果もあり、愛着を持って10年スパンで着れる服に生まれ変わる。

思えばそうして昔の方々は服を大事に、そしてアップデートしたいたんだなと気付かされる。


「将来的には交換したり、加工した服がドレスコードの大きなパーティーも開きたいですね」と大きな夢も掲げている。

いらないものの需要を広げたい、ゴミでもかっこよくなる。

このイタズラ心が社会をどうかき乱すのか、その先に何が生まれるのかがとても楽しみだ。



廃棄食材専門店|しまむ(島村 友多)

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広島生まれの彼は高校時代にとある映像を見て衝撃を受けた。

それが第40代ウルグアイ大統領のホセ・ムヒカ氏の国連持続可能な開発会議(リオ+20)でのスピーチだ。

人がもっと働くため、もっと売るために「使い捨ての社会」を続けなければならないのです。

「貧乏なひととは、少ししかものを持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」

発展は幸福を阻害するものであってはいけないのです。

こうした言葉を聞いたときに、彼は「どうしてこんな社会構造になっているのだろう?」と冷静に考えた。

そして高校卒業後すぐに、キューバ(社会主義国家)へと足を運んだ。

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そこで感じたこと。それは人々がお金に対する優先順位が低いということだった。全員が公務員のようなもので、やるべきことが決まっていて、だからこそリスクを取ったことはしなくて済む。が、それは野心を失くしてしまっているようにも映る。その良さも悪さも同時にたくさん感じたという。

そしてそこから帰ってきて大阪に出てきた彼は高級歓楽街・北新地の料理店にて約三年間、在籍をした。

そこは社会主義国と真反対な世界。目の前に広がる欲と金に溢れた世界もこれまたリアルなのだ。

いいところしか使わないから焼肉屋は牛タンの1/3は捨てるし、寿司屋だと酢飯はその日に残った分はすべて廃棄、100~200人規模の3万円の会費パーティーではあえて多めに作って結局は食材20%廃棄+食べ残しで10%廃棄。

そんな世界を間近で見てきた。

"廃棄食材の専門店をつくろう"

彼はいろんなところに今まで廃棄していた食材を分けてもらえないか交渉しに行った。

まだまだ無料のところもあるが、徐々にkg単価で買取も行なっている。

ハンバーガー屋さんではトマトやレタスの端切れをもらい、割烹料理店からは鮮魚(ハモ・カツオ・白子など)を、福岡の農家からは間引き野菜(育ちが悪かったり密集してる野菜をあえて先に収穫すること)を、そして先ほどの焼肉店では牛タンをもらい、それらを料理して全品200円という破格の値段でお客さんに提供することにした。

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そうすると、いろんな"こと"が生まれた。

もちろん廃棄食材はマズくて捨ててるわけではないし、北新地で学んだ料理の腕で味を整えるので、お客さんは安く楽しめるし、いいことした気分にもなるので喜んでいる。

また、飲食店や農家も心の奥にあった申し訳なさや、廃棄することのコスト的な怖さを和らげることもでき、買い取ってもらえることで微々たるものだが売上にもなった。


今後は、廃棄食材専門店としてしっかりと店舗化をし、複数箇所に広げたり、海外でもやりたいとこの大きな問題に対して全力で立ち向かおうとしている。

また、一方で廃棄の問題は事業者だけの問題ではなく、廃棄量の全体の約半分を占めるのは家庭の廃棄だ。

だからこそ、捨てずに美味しくいただくための啓発活動も行っていきたいとその視野の広さに驚いた。

"カッコいいお金の使い方ってなんだろう?"

彼の原動力はこの問いの中にあるのだと思う。

Uvillageイラスト 背景あり


おわりに

2部構成でお送りしてきたUvillageさんの記事でしたが、バーやゲストハウスに捉われない在り方は、やはりビジョンにあった。

事業を通して表現することのいい事例となりえるし、豊かな日本だからこそこうした取り組みがさらに今後広がっていくことに期待している。

店に行けば彼らの取り組みをよりリアルに感じられるのでぜひ一度、足を運んでみて欲しい。そこで一緒に何かをはじめることになる、なんてことも起こりうる場所だから。

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