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掌編など

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自作のちいさなちいさなおはなしを、まとめています。
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2019年9月の記事一覧

流れる

流れる

暑さの名残の中、久しぶりに訪れた川は、きらきらと日を弾いていた。清い流れは緩く甘く、さらさらとした優しさに満ちているように見えた。

足を差し入れれば、拒絶のような凛とした冷たさ。慌てて踏み込んだ先の小石の尖り。思わぬ深みと速さに弄され、脱ぎ捨てたサンダルは遥か下方へ。

川は夏の終わりの全てをそそぎ、
押し流されてわたしは秋になる。
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百日紅の向こう

百日紅の向こう

陽射しが辛くて、空を睨むように見上げたら。
百日紅の花と葉の隙間から、青空が太陽を支えているのが見えた。

もう少し、おたがいがんばりましょうか。

声を掛け合う花と、樹と、空と、雲と、私。
嵐のような夏の太陽の癇癪が終わるまで、きっとあと少し。
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夏じまい

夏じまい

そろそろお別れだ、と貴方は言った。なるべく気づかないようにいなくなるからさ。
朝と夕とが冷えていく。風が通り抜けるたび、貴方が薄まる。夏、夏、熱に抱かれた私に生きている実感を与え、くっきりと強い光を焼き付け、気がつけばどこかへ。ざわめきのような恋しさだけを残して。
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