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視点1_目的は「購買から推奨」へ。



はじめに

この記事は、2018年末に室井淳司が宣伝会議より出版した「全ての企業はサービス業になる」の最終章で、書籍の内容を10の視点にまとめた内容を要約した記事になります。

2023年現在からすると5年前の記事ですが、当時から現在までに起きた変化を追うと、社会や消費の流れがどの方向に向かっているのか解りやすいと思いますので是非ご一読ください。

2023年視点からのコメントは後半に記載しています。


以下書籍本文の要約


企業が顧客にモノやサービスを売る行為は、売って「終わり」から、売った後も継続する関係の「始まり」へと変わってきています。

書籍より

これまでも購入してくれた顧客の再購入を目的に、購客に対してアフターサービスを提供する企業は沢山ありました。しかしこれからは、顧客の再購入を目的とした関係から、他者への推奨を目的とした関係へと変わっていきます。つまり、商品やサービスには、顧客との関係のデザインという視点が大切な時代へと変わっています。

 モノをつくって売っている企業であれば、つくったモノを顧客が購入することで対価を得て、アフターサービスを提供することもなく販売した時点で関係が完結すれば効率良く利益を上げることができます。さらに顧客に対して特段アプローチをしなくてもまた顧客が商品を指名買いしてくれる購買行動を繰り替えしてくれることが究極の理想かもしれません。しかし、現代に存続している企業はそのような形態をとることはできません。企業のマーケティングで重要なことは、購入した顧客と継続的な接点を持ち、他の顧客への「推奨」に動いてもらうことだからです。

企業のマーケティングは、顧客にモノやサービスを売ることにフォーカスするフローから、顧客がモノやサービスを他者に推奨することにフォーカスするフローへと変わってきています。

フィリップ・コトラーが2017年に発行した著書『コトラーのマーケティング4.0 〜スマートフォン時代の究極法則〜』では、スマートフォン時代の新しいカスタマージャーニーを定義しています。

コトラーはスマートフォン以前の時代のカスタマージャーニーを、「接続性以前の時代のカスタマージャーニー」と呼び、そのフローを「認知」「態度」「行動」「再行動」としています。「認知」顧客はブランドのことを知り、「態度」ブランドを好き・または嫌いになり、「行動」買うかどうかを決め、「再行動」リピートする価値があるかないかを判断する、という流れが、一連のカスタマージャーニーであると定義しています。

そして、マーケティング4.0で提唱された「接続性時代のカスタマージャーニー」では、そのフローを「認知」「訴求」「調査」「行動」「推奨」としています。「認知」顧客は沢山のブランドのことを知っていて、「訴求」少数のブランドにのみ引きつけられ、「調査」魅力を感じたブランドについて積極的に調べ、「行動」購入・使用し・サービスを受け・交流し、「推奨」ブランドに対して強いロイヤルティを持つことでリピート・他者にブランドを勧める、というカスタマージャーニーへとアップデートしています。

この一連のフローの最も大きな変化は、フローが社会性を持ったということです。以前のフローであれば、すべての行動はブランドと顧客の一対一の関係で完結しています。しかし新しいフローは、調査段階で顧客は口コミ等のコミュニティの影響を受け、行動段階ではブランドや他のユーザーと繋がり・会話をし、推奨段階では意思を持ち、他人へと推奨していきます。

それらの推奨が形成するコミュニティ等が、別の顧客の購買行動における「調査」段階に影響してきます。つまり、顧客の購買率を上げるためには、調査段階でのブランドの評価を上げなければならず、そのためには行動段階の質を上げ、推奨へと変る率を上げなければなりません。

故にブランドは、「購買」を目的とした宣伝中心のマーケティングから、「推奨」への行動変換を目的とした、行動の質を上げるマーケティングへとシフトする必要があります。企業が商品やサービスを売るためには、顧客との良い関係性をつくる行動が重要であり、継続的に「顧客と会話し続ける」ことが必要になっていると言えます。

書籍要約ここまで


2023年からみて

現代の購買行動において利用者の「推奨」が最終的な購買判断に影響を及ぼすことは不可避です。2018年時点では口コミサイトの普及などから顕在化していたこれらの考え方は、2023年現在では既に当たり前になっています。企業はマーケティング活動を行う上で、生活者が購買後にどのような「評価」を行うか、「推奨」まで繋げられるかを前提とした活動になっています。

先に公開している記事「視点10」にもある様に、企業やブランドはコミュニティに属する人としての振る舞いを大切にしていく必要が一段と求められています。


この書籍は全ての視点や考察が視点10に繋がる構成になっています。視点10も是非ご一読ください。


最後に


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室井淳司