観光のスマート化~パーソナライズされた旅行でストレスフリーに~
やっと捻出できた貴重な時間を使って行く観光、本来楽しいはずの旅行が『ストレス』になるとしたら、それはどんな状況だろう?過去の経験などを思い巡らすと、『ストレス』の三つの横顔が浮かび上がってきます――
①『混雑』・・・あまり閑散としていても寂しいが、渋滞なども含めた
『混雑』は、貴重な時間を浪費し、観光そのものに割く時間が減って
しまう。行けたはずの観光スポットに行けなくなったり、一つの観光
スポットに割く時間が減ったりする量的なロスだけでなく、ゆったり、
くつろいで観光できないなど質的なロスも大きい。
②『手続き』・・・前準備の楽しさというのもあるかも知れないが、事前の
予約、チケットの手配、当日の手続き、盛沢山な観光になるほど煩雑な
手続きに追われる。
③『見落とし』・・・旅行に次回への期待・課題は付き物だが、後から行って
おくべきだったスポットに気付くことほど悔しいものはない。
日経電子版の記事【観光ビッグデータ活用 宮島の混雑緩和へ(中四国ウエーブ)】と【利用3億人データ駆使 設立20年、提案力でシェア6割】は、そんな『旅行の3大ストレス』を解消し、快適でストレスフリーな観光を実現するテクノロジーを紹介しています。
【観光ビッグデータ活用 宮島の混雑緩和へ(中四国ウエーブ)】の記事から、その概要を整理してみると――
① カメラやセンサーといったIoTのテクノロジーを駆使して、観光ビッグ
データを収集する。
② スマホアプリでリアルタイムの混雑情報を配信。
③ AIを使って混雑を予測。
④ AIの予測を基に混雑ルートを避けた周遊ルートをレコメンドする。
そして、【利用3億人データ駆使 設立20年、提案力でシェア6割】の記事からは、さらに一歩進んで――
① サービス利用者の旅行データ、さらには実際に予約しなかったが検索
した語彙の履歴をビッグデータとして活用。
② それらのデータから利用者の旅行の傾向を把握してレコメンドに
生かす。
③ 例えば、航空券を予約するだけで、自動的にそれに付随するホテルの
部屋、空港の送迎サービスを提案。
このような取り組みから、将来のサービスに期待されるものをデザインして(思い描いて)みると――
① スマートホン一つ、一つのアプリでワンストップに、観光情報の収集、
旅行ルートの決定、交通機関・宿泊施設・観光施設・体験型プラン・等々
の予約ができること。個人旅行がパッケージツアーのように簡単になる。
② スマホが電子チケットとして機能すること。
③ 観光ルートの決定に当たっては、ビッグデータによるレコメンドが、
ユーザーの希望に沿ってスムーズに修正できる機能であること。
『観光のスマート化』が進めば、私達の旅行は、一人ひとりの好みから混雑状況までも加味した、痒い所に手が届いたパーソナライズされたものとなって、『混雑』、煩瑣な『手続き』、『見落とし』といった『旅行の3大ストレス』から解放されるでしょう。個人が、簡単に自分専用のツアーを企画する時代が来たのです。
一方で、スマート化を推進することは、観光地にとっては――
①『実質的な観光客数増大』・・・宿泊日数・滞在時間の伸長による観光収入
の増大。
②『観光リソースの有効活用』・・・今まであまり注目されてこなかった
新しい観光スポットの開拓によるバランスの取れた成長。
③『人的リソースの効率的活用』・・・混雑予測に基づいた人員配置・作業
割当の最適化。
――等々の数々のメリットがあり、ストレスフリーな観光地としての優位性が、競争力のある観光地としての差別化に繋がると考えられます。
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