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TaaM(テクノロジー・アズ・ア・モノ)からTaaS(テクノロジー・アズ・ア・サービス)への跳躍

 日経電子版の記事【市場が暴く技術大国の陰】は、自然科学系ノーベル賞の受賞者数が、今世紀に入って18人と米国に次ぐ世界第2位のノーベル賞大国でありながら、『株価純資産倍率(PBR)』が1倍を下回っている「1倍割れ企業」が、今年9月末時点で全上場企業の50%という日本の現状に関するリポートです。



 確かに、『PBR』が1倍に届かないという事は、数字の上からだけでは、資産を売り払って解散した方が、このまま経営を続けるよりマシ、という事で、何のために資金を募って経営しているのか分からない、記事の表現を借りるなら「技術あって経営なし」の状態という事になります。

 「経営なし」は言い過ぎにしても、少なくとも、今の時代に合った効果的な経営が出来ていないことは間違いありません。

 ――それは、一言で言うなら、経営が『モノ』の段階で止まってしまっていて、『サービス』にまでリーチしていないからではないでしょうか。



 消費者一人ひとりが各々の体験価値を追求するコト消費の時代に、細分化されるスモールマスな市場を見極め、ユーザーのインサイトに肉薄したイノベーティブなプロダクトを作ろうとすれば、それは、技術先行のプロダクトアウトな『モノ』の売りっ放しであろうはずはなく、そのプロダクト(モノ・サービス)によって提供できるUX(ユーザーエクスペリエンス)の『サービス』をアップデートし続ける(サブスクリプション)ことが肝要であるはずです――

▶『サービス』にリーチする経営

(1)『モノ』の売りっ放しでは、顧客接点が希薄化して、プロダクトを
  ブラッシュアップするPDCAを効率的に回すことは出来ない

(2)ユーザーからのフィードバックが自然に集まってくるような
  エコシステム、そして、ユーザーのニーズに刺さる尖ったプロダクトを
  作り続けられるエコシステムは、ユーザーとの顧客接点が濃密な
  『サービス』の領域にあると考えられる


(3)この「一番おいしい所」である『サービス』の領域をITビッグなどの
  外部企業に握られていては、収益の継続的・飛躍的向上は望むべくも
  ない


(4)技術力のある日本のモノづくり企業は、『DX(デジタルトランス
  フォーメーション)』、『AIとモノづくりの融合』などを臆すること
  なく推進して、『サービス』領域を効率的に取り込まなくてはならない

  のではないか。

(5)卓越したテクノロジーで実現できることをユーザーにまで届けて、
  UXを最大化するには、ソフトを作る企業と、それを実装するハードの
  企業が別々では最適化が困難
である。そこに、モノづくりニッポンの
  チャンスがあり、ソフトとハードの一体となった開発、サービスとモノ
  の一体化が鍵
ではないか。
  



 技術力のある日本企業は、その優位性のあるうちに、『モノ』で終わらせない『サービス』にまでリーチするビジネスモデル、言うなればTaaM(テクノロジー・アズ・ア・モノ)ではなく、TaaS(テクノロジー・アズ・ア・サービス)のビジネスモデルへと跳躍しなくてはならないのではないでしょうか。



#COMEMO #NIKKEI

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