AIの性能を保証する保険~AI革命の頼もしい黒子になるか?~
日経電子版の記事【AIの性能を「保証」 損保ジャパン、導入リスク軽減】は、さりげない記事ですが、ついに損保大手から『AIの性能を保証する保険』が出たか、という印象です。
例えば保険のかかってない状態で車を運転するとなると、恐ろしくて、とてものことにエンジンをかけられるものではないでしょう。それと全く同じで、企業がAIを導入するとなると、様々なリスクが頭を過って、AIへのデジタル投資に二の足を踏むケースはいくらでもあると思われます。
しかしながら、現在進行形の第4次産業革命の時代が、その本質として『AI革命』の時代と呼び変えてもよいとするなら、IoTによってあらゆるデータを収集し、そのビッグデータをAIで解析する、予測のテクノロジーによるコト消費の深掘りは、企業にとって避けて通る訳にいかない施策であります。
それは、日本の競争力にも関わってくる重大な問題で、保険のシステムが整備されることは、AIを積極的に活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)の促進を裏から支える頼もしい黒子のような存在として大いに期待されます。
記事などから、その内容を整理してみると――
▶『AIの性能を保証する保険』の一例
(1)『保険料を支払うのは』人工知能を使ったサービスを開発する
システム会社。
(2)『保険金が支払われるのは』システム会社が納入先に事前に約束
(契約)した性能を発揮できなかった場合。
(3)『AI導入企業には』保険会社がシステム会社に代わって導入費用を
補償する。
(4)『保証する分野は』工場の不良品検査・設備故障の予測など。
(5)『保険会社は』システム会社のAIの性能をこれまでの実績をもとに
審査する。
AIを巡る保険は今だ揺籃期にあり、誰が保険料を支払うのか、どのような分野を保証するのかなど、課題は山積していると考えられます。AI資本主義が社会の隅々にまで浸透していく中で、AIの持つリスクは様々な形で顕在化してくるのではないでしょうか。
▶AIのリスク
(1)正確に作動しないリスク。
(2)AIが学習していない、AIの経験則にない事態の発生により、AIが
機能しなくなるリスク。
(3)(アルゴリズム取引などで)AIが暴走(過剰に反応)するリスク。
(4)自動運転・医療など人命に関わるリスク。
(5)信用スコアリングや人事・採用・面接などセンシティブな分野に
関わるリスク。
(6)(意図しない)バイアスがかかったAIのリスク。
(7)ブラックボックスに潜むリスク。
など
AI資本主義の時代を支えうる合理的で総合的な保険のシステムの構築は、まだその緒に就いたばかりであり、まだまだ試行錯誤が続きそうです。
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