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ハードとソフトの狭間で~メーカーの再び輝く時代~

 日経電子版の記事【モノ作らぬメーカーに パナソニック社長 津賀一宏氏】は、IT時代に苦悩するメーカーがいかに再生していくか、とても示唆に富んだ内容になっていると思いました。


 近年、『ハード』のメーカーと『ソフト』のIT企業という対立軸が幅を利かせていますが、そもそも、一つの商品(モノ・サービス)において、『ハード』と『ソフト』は、共になくてはならないものです。どちらが欠けても、商品としては成立しません。問題は、『ハード』と『ソフト』、どちらに軸足を置けば、エコシステムの上位に立って主導権を握れるか、ということに尽きると思います。

 それでは、産業のエコシステムで主導権を握るとはどういう事か、それは取りも直さずイノベーションを起こし続ける企業力に他ならないと思います。そして、イノベーションを起こし続けるには、一刻も早く会社のDX(デジタルトランスフォーメーション)を成し遂げ、顧客接点を濃密にして、社会課題・生活課題の解となるイノベーションのアイデアを発見し続けられる体制を構築することだと考えられます。

 つまり、メーカーであろうとIT企業であろうと、この点(イノベーションのアイデアの発見)をおろそかにしては、エコシステムのピラミッドの中で沈降していく事は免れないと考えられます。さらに言うと、ハードの協力が不可欠なIT企業と比べて、自らハードの開発能力を保持しているメーカーには優位性があるはずです。


 出足でIT企業に商品開発を持っていかれたメーカーも、自らイノベーションのアイデアを見付けてこれるようになれば、息を吹き返すことが出来るのは明らかです。そして、そのためには、より顧客のニーズに近い『ソフト』の開発力がカギを握っている、という事ではないかと思います。

 ソフトの工夫によって顧客のニーズに密着する、そのソフトを実装するのに最適なテクノロジー、ハードを見付けてくる(自社の技術リソースから、または新開発)、という考え方です。

▶商品の構造
 商品=ニーズのソリューション
   =ハード+ソフト
   =(メカニクス+エレクトロニクス)+(ソフト+IoT+AI)
   =ソフトを実現する機械+ニーズに密着するソフト


 記事の指摘にあるように、メーカーは、プロダクトアウトな機能追求至上主義の『アップグレード型』から、カスタマードリブンなソフト重視の『アップデート型』へと変貌することで、再び輝きを取り戻せるのではないでしょうか。

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