夫の命日に白い花束を届けてくれた人がいる。その中に芳しいユリがあった。 おそらく仏壇に供えるようにというお心遣いだったのだろう。だが我が家には仏壇がない。結婚式…
我れのみやかく恋すらむかきつはた丹つらふ妹はいかにかあるらむー作者不明 「こんな風に恋をしているのは私だけなのでしょうか。杜若(かきつばた)のようなきれいなあの娘…
暑さと人混みと歩き疲れを癒そうとカフェに入った。コーヒー好きで旅先では必ず良さげなカフェを探す。 そこは入り口に受付のようなものがあり、中年の女性が注文をとって…
昨年末にベトナムへ旅をした。北部のハノイとその近郊。かなり前に行った南部のホーチミンとは印象が全く違ったように思う。 ハノイは都市である。街中は人混みが酷く混沌…
画像は昨年制作した100号という大きな作品の一部である。 植物を通して、その植物の記憶(植物の細胞に宿る命の記憶のようなもの)と私がその植物を通し経験したことの記憶…
自然に咲くありのままの姿の花には自由な美しさがあるが、人の手が加えられてやや不自由な存在の花には人に寄り添ってくれる優しさを感じる。旅先のカフェで見かけた無造作…
おじまりゑ
2024年4月8日 13:38
夫の命日に白い花束を届けてくれた人がいる。その中に芳しいユリがあった。おそらく仏壇に供えるようにというお心遣いだったのだろう。だが我が家には仏壇がない。結婚式が終わりリラックスした表情の若かりし夫を写した写真だけが飾られている。花束はとても立派だったので一つの花瓶に収まらず、いくつかにわけて飾った。ちなみに娘が生まれたとき、ユリの花にちなんだ名前をつけた。美しい名前だと思っている。
2024年4月7日 08:34
我れのみやかく恋すらむかきつはた丹つらふ妹はいかにかあるらむー作者不明「こんな風に恋をしているのは私だけなのでしょうか。杜若(かきつばた)のようなきれいなあの娘はどうなのでしょうか」(現代語訳: たのしい万葉集より)万葉集には杜若の和歌が7首収録されている。どれも切ない恋の歌である。私が住む街には毎年6月頃にあやめまつりで賑わう公園がある。「あやめ」と付くが実際には湿地で育つハナショ
2024年4月6日 22:52
暑さと人混みと歩き疲れを癒そうとカフェに入った。コーヒー好きで旅先では必ず良さげなカフェを探す。そこは入り口に受付のようなものがあり、中年の女性が注文をとっていた。外からはわからないが開放感のある吹き抜けになっていて、蔓性の植物などが上の方から垂れ下がっている。コーヒーとケーキを注文して席を探す。いわゆる狭小建築のため狭くてわりと急な階段を上り(これもまた開放的な階段なのだが)、4階だった
2024年4月6日 13:32
昨年末にベトナムへ旅をした。北部のハノイとその近郊。かなり前に行った南部のホーチミンとは印象が全く違ったように思う。ハノイは都市である。街中は人混みが酷く混沌としており、交通ルールを守っているんだかいないんだか道路はバイクで溢れている。それでもとても美しいと感じたのはアジアとヨーロッパの文化が調和した街並みと青々とした緑の多さによろものかもしれない。中心には湖のある広い公園もあるが、街
2024年4月1日 10:03
画像は昨年制作した100号という大きな作品の一部である。植物を通して、その植物の記憶(植物の細胞に宿る命の記憶のようなもの)と私がその植物を通し経験したことの記憶…を作品に残すという作業をしている。時間を留めておくという記録のようなものだろうか。人為的ではあるがそれは化石に似ていると思っている。自分のことを少し書いてみようと思う。自分で言うのもなんだが、どちらかというとドラマチックな
2024年3月8日 16:10
自然に咲くありのままの姿の花には自由な美しさがあるが、人の手が加えられてやや不自由な存在の花には人に寄り添ってくれる優しさを感じる。旅先のカフェで見かけた無造作に植えられた花、亡き家族の命日に友人が贈ってくれた花、フラワーショップの前を通りかかって衝動買いした花…私の記憶と花は結びついていることが多い。花を摘むように記憶を残しているのかもしれない。VOICEs展に寄せて