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主観

英国の著名な占星術師であり、ユング研究家でもあるマギー・ハイドは、
著書 Jung and Astrology の中でユングが最晩年に至った結論と経緯を述べ、
占星術とシンクロニシティの実態に迫り、明晰且つ、克明に記述している。

カール・グスタフ・ユングは、
結婚した夫婦の占星術的組み合わせを調査した。

太陽と月、月と月、ASCと月、等である。

この調査の要点は、各々を観測すると、高い比率で妥当性を証明するが、
次の組み合わせは最初の結果を補強せず、それぞれの組み合わせの優位性
自体が、その他の組み合わせの優位性を払拭してしまう、という点にある。

実験結果は、彼が求めていたものを"観測"する事によって確定していた。
量子論に知見があれば、二重スリット実験を思い浮かべる人もいると思う。

量子は波動であり、同時に粒子でもある。
非物質であり、物質であるとも言える。

観測されない時、それは波動であり、
観測されると粒子化するのが物理と言える。

顕在的には認識として、潜在的には意識として。
認識は精神世界、意識は事物の事実に該当する。

そこに観測者の主観的な状態が関わっている事に気付いたユングは、
心理的状態が正確に判っている三人を選び、三人にある依頼をした。

結婚した夫婦の出生図の山の中から、くじでニ十組を選んでもらった。
選ばれた夫婦の出生図と相性が調べられた。

最初の選択は "強度の感情的興奮状態" にある女性によるものだった。

彼女が選んだ夫婦には、火星のアスペクトの卓越があった。
被験者の心理状態と一致しているという点で、残りの二人も同様だった。

ユングは占星術実験に取り組む自分を、飽きてくるにつれ有意な結果を
出せなくなってくるESP実験の被験者になぞらえる。

つまり、被験者自身を反映する結果が生まれて来ているという事だった。

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