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ひきこもりが俳句を一年続けたら、大事なものを得られた話


吾輩は、ひきこもりである。

職業は、まだない。

それでも一途に取り組めるものがあれば、

奇跡のようなことだって起きるんだ。


noteで詩を投稿してたら俳句大会に誘われた俳句初心者。


noteでは最初、詩を投稿していた。

中学生の頃から書いていた詩は

私のさまざまな思いの吐き出し口で

心の病気からひきこもりになったあとも細々と続けていたが、

ネットに公開するようになったのはnoteを始めてから。

そんな詩の中にひとつだけ七五調のものがあった。

それを見た当時の俳句大会の主催者が、

参加してみないかと誘ってくれたのだ。

俳句歴も長くて才能のある人に

直接誘ってもらえたのが嬉しくて、

私は参加を即決した。

それが私の運命を変えるなんて、

その時は思いもしなかった。


大会でまさかの受賞、そして俳句沼へ。


その俳句大会は去年の夏に初めて開催された。

note非公式の企画でありながら、

最終的には100人近くの参加者、300以上の句が集まった。

そんななか私の句が最優秀新人賞、銀賞をダブル受賞。

初心者でありながら俳句を評価されたこと、

俳句を通してたくさんの人と繋がれたこと。

これがひきこもりで孤独な私にとっては本当に嬉しいことで、

俳句沼にダイブするのは当然であったと思う。

沼の中で私は「俳句ハイ」なる造語を生み出した。

いわゆる「ランナーズハイ」の俳句バージョンだ。

沼に浸かった人間が他の人も沼に引きずり込もうとするのは道理である。

多くの人を俳句ハイ状態にするべく俳句の企画を発案した。

俳句をnoteのコメント欄で募集しみんなで100句到達を目指そうという、

「みんなで俳句100本ノック」。

そこから派生し、他の人がリレー形式で記事を繋いで

100句×10人10記事で合計1000句を目指そうという、

「みんなで俳句千本ノックリレー」。

東京23区の地名や名所を入れた句を一区に一句以上詠み

23区すべてを句にしようという、

「東京23区で秋の俳句23句」。

これらの企画を発案し、達成させた。

ちなみに「みんなで俳句千本ノックリレー」は

関わる人が多くなるにつれて進行スピードも速くなり、

なんと2週間ほどで達成してしまった。

バケモノみたいに成長したこの企画は

私の手に負えなくなり早々に手放したので、

発案したとはいえあまり偉そうなことは言えない。

その後の秋の俳句大会や他の俳句企画にも参加し、

そこで想像を超えるほどの反響をもらったことで

私はますます俳句沼へと沈んでいくのだった。


夏井いつき先生の俳句サイトに応募。


俳句沼にどっぷりと浸かった私は、

とうとうnote以外の世界に足を踏み出す。

「プレバト!!」というテレビ番組でお馴染みの俳人、

夏井いつき先生が選者を務める俳句サイトに応募を始めた。

投稿フォームは初級者用と中級者以上用があり選べるのだが、

noteで経験を積みそれなりに結果も残したと思っていた私は

もちろん中級者以上で投稿する。

だがそこで私は、知らぬ間に高くなっていた鼻を

バッキバキにへし折られるほどの挫折を味わうのだった。


待てど暮らせど載らない俳句。


中級者以上では特選・秀作・佳作・並選までの選と、

類想類句を掲載し、選外の場合は掲載されないシビアなシステム。

結果発表の度に目を皿にして句を探すも載っていない。

これがけっこう辛かった。

俳句を始めてからは褒められることばかりで

自分には才能があるんだと思っていた。

それがプロの眼から見ると全然ダメなんだと思い知らされた。

毎回出される兼題は知らない季語や馴染みのないものが多かった。

俳句を始めて半年程度の私からしたら、

まず言葉のイメージを掴むことに苦戦した。

なんとか句を完成させ投稿しても、サイトには掲載されない。

noteで落選の報告をしては励ましてもらい、

どこがダメだったのかアドバイスをもらいながら、

(時に辛口のアドバイスに精神を抉られながら)

なんとか投稿を続けた。


五度目の挑戦で初入選。


めげずに投稿を続けて約半年、

五度目の挑戦で並選に初入選を果たす。

結果発表のページで自分の句を初めて見つけた時、

思わずガッツポーズが出た。

念願の入選は、地の底まで落ちていた自信を一気に浮上させた。

noteで報告すれば仲間が我が事のように喜んでくれ、

そのことにも感動した。

何度落選しても諦めずに続けたから入選を果たせた。

けれど投稿を続けられたのは、

時に励まし、時に厳しくアドバイスして、

入選すれば一緒に喜んでくれるnoteの仲間がいたからだと思う。


俳句を通じて得たものは自信と。


こうしてひきこもりの私が一年俳句を続けた結果、

プロに選んでもらえる句を詠めるという自信と、

句作における様々な感情を共有できる仲間を得た。

ひきこもりの私がこんなに素晴らしいものを得られるなんて、

俳句を始める前の自分では思いもしなかった。

これは私に訪れた奇跡だ。


最後は俳句沼にずっぷりの俳句ハイな私らしく、

秋の句で締めようと思う。


繋がりは句の矜持なり星月夜

境遇を問わぬ世界に明の月




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