ウサギ仙人の子育て術⑤奨学金は未来の自分からの融資
ウサギ仙人(ウ仙)から子育てのことをいろいろ伝授してもらっている亀子であったが、
金のある社会人の自分から借りて、学生時代に金も時間もある状態にしよう
亀子「ところでウサギ仙人様はなぜお子さんをたくさん海外に連れていかれるのですか?」
ウ仙「わし自身の人生経験で、海外を旅したことが一番役に立っておるからじゃよ」
亀子「初めて海外に行ったのはいつですか?」
ウ仙「大学4年の時じゃな。クラブの友人と3人でタイに行った」
亀子「ほほえみの国ですね」
ウ仙「当時は今と違って、タイの物価は日本の物価の1/3くらいじゃったな。お腹いっぱい贅沢なレストランで食事しても600~700円、缶ビール1本60円くらいじゃった」
亀子「今まで何カ国くらい行ったことがあるんですか?」
ウ仙「48カ国じゃな」
亀子「えー!めちゃいっぱい行ってるじゃないですか」
ウ仙「タイに行って、その次の年には韓国と中国とグアムに、大学院に通っている間にはヨーロッパを20カ国ほど行った」
亀子「20カ国って、どうやって行ったんですか?」
ウ仙「研究室の教授がイラン人でな。正確にはイラン人が帰化して日本人になった人なんじゃが、国際色豊かな人じゃから、積極的に国際学会に行かせてくれたんじゃ」
亀子「それでも20カ国も行けるものなんですか?」
ウ仙「一番初めはスウェーデンのウプサラという街で学会があった。同じ研究室の友人二人とマレーシア経由でオランダのアムステルダムに降り立ち、そこから電車に乗ってドイツ・デンマーク経由でスウェーデンに行ったんじゃ」
亀子「因縁のアムステルダムですね」
ウ仙「学会が終わったら、友人たちとそこで別れて1週間後にドイツのフランクフルト経由で待ち合わせ、わしはデンマークのコペンハーゲン経由で、オーストリアのウィーン、ハンガリーのブダペスト、スロバキアのブラチスラバ、チェコのプラハに行って、ベルリン経由でフランクフルトに向かった」
亀子「これだけでも・・・9カ国行ってますね」
ウ仙「こうやってたくさんの国に行ったんじゃよ」
亀子「お金はどうしたんですか?」
ウ仙「行き帰りの航空券代だけ、研究室の費用で出してくれるんじゃが、宿泊や電車のお金、食事代などは自分で出さないといけない。先に社会人になった友人たちが『
社会人になったら金はあるんだけど、時間がない
』と言ってるのを聞いてな。『
学生は時間はあるけど、金がない
な』と思って、そしたら『金のある社会人の自分から借りたら、学生時代に金も時間のある状態が作れる』と考えて、貸与型の奨学金を借りることにしたんじゃ」
亀子「奨学金の返済は大変だってニュースになってるじゃないですか」
ウ仙「たしかに15年くらいかけて、毎月2万円くらい返済したのぅ。しかし先にいい経験をしておるから、その対価としての授業料を後払いしてるみたいな感覚じゃったな」
亀子「大長編ドラえもん『のび太の大魔境』に登場する先取り約束機をつかったみたいな話ですね」
ウ仙「当時はホテルを予約するのもネットなんかなくてな。『地球の歩き方』に載っている、これから行く次の国のホテルに電話をかけて予約するんじゃよ」
亀子「当時から英語は話せたんですか?」
ウ仙「その電話で英語の会話のパターンを覚えるんじゃよ。『明日の予約をしたいんだけど、シングルの部屋は空いてますか?』『デポジット入れて、いくらですか?』とかな」
亀子「電話だと聞き取りが難しそう」
ウ仙「そういう日本では簡単にできることが、海外では一つ一つ考えながらやらないとうまくいかないんじゃよ」
亀子「いい経験ですね」
ウ仙「わしが
自分の子どもに、人生の中で一番伝えたいのは『自分の頭で考えて工夫しないとうまくいかない』
ということなんじゃよ」
亀子「海外だと語学だけの問題じゃないんですね」
ウ仙「だから子どもたちを海外に連れて行って、それを身をもって体験させたいんじゃよ」
亀子「パスポートを盗まれる体験は悲惨ですがね」
ウ仙「まぁ今となってはあれもいい経験じゃ。一番下の娘は普通の人が一生のうちに経験しないことを9歳で経験してしまったと思えばな」
亀子「相変わらず鉄壁のポジティブ思考ですね」
ウ仙「
親の物の見方・考え方次第で、子どもの人生はプラスにもマイナスにも振れる
んじゃよ」
亀子「子どもの人生をプラスに振る物の見方・考え方をぜひ教えてほしいです」
ウ仙「次回はお金の使い方の話もしておかんとな」
亀子「それはぜひ聞きたいです」
こうして亀子はレベルが上がった。
奨学金はお金のある社会人の自分から借りて、学生時代にお金と時間の両方を手にすることを覚えた。
自分の子どもに一番伝えたいことを早く伝えることを身に付けた。
親の物の見方・考え方次第で、子どもの人生のプラスマイナスが決まることを知った。(参考:ポジティブ思考(長所短所))
(「教育は未来への投資」へつづく)
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