『お母さん』って何?
珍しく亀子がウサギ仙人(ウ仙)に話題をふってみた。
亀子「こないだママ友が小学生の子の参観日にいったら、国語の授業だったらしいんですけど、面白い作文を読む同級生がいたらしいんです」
ウ仙「面白い作文?」
ウ仙「観察眼が鋭い小学生じゃのぅ」
亀子「実はこの作文、ここで終わりじゃないんですよ」
ウ仙「なかなか母親に厳しい小学生じゃな」
亀子「会場では大爆笑だったらしいですけど、作文を書いた子の母親は怒り顔で黙っていたそうです・・・」
ウ仙「さすがにいたたまれなかったじゃろぅな」
亀子「私の子でなくてよかったと思うものの、『うちの子が小学生になって同じような作文を書いたら』と思うと・・・」
ウ仙「ところでおぬしは家で子どもから『お母さん』と呼ばれておるか?」
亀子「そうですね」
ウ仙「実は
『お母さん』という言葉の語源は『お日身さん』
だったんじゃ」
亀子「これ、なんて読むんですか?」
ウ仙「『おかみさん』じゃな」
亀子「旅館なんかに行ったら、『お女将さん』っていますね」
ウ仙「元々は同じ意味じゃ」
亀子「どういう意味なんですか?」
ウ仙「日身は『太陽』ということなんじゃ。昔は太陽のこと『かぁかぁ』とか『かか』とか呼んでおったんじゃ。母親も『かか』とか『かっかぁ』とか呼んでおった」
亀子「『カカァ天下』っていう言葉はカラスから来たと思ってました」
ウ仙「太陽から来てるんじゃな」
亀子「じゃ『お母さん』って『太陽さん』って意味なんですか?」
ウ仙「その通りじゃ。
地球上のすべての生物のエネルギーの源は太陽
母も家族全員のエネルギーの源という意味
で付けたんじゃろうな」
亀子「なるほど」
ウ仙「ちなみにおぬしは無農薬リンゴで有名な木村秋則さんを知っておるか?」
亀子「映画『奇跡のリンゴ』(阿部サダオ主演)の人ですよね」
ウ仙「そうじゃ。『リンゴを無農薬で栽培するのは不可能だ』と言われていたのに、それを可能にした人じゃな」
亀子「不可能をどうやって可能にしたんですか?」
ウ仙「詳しいことはまた別の回で話そうと思うがな。わしが木村さんのリンゴ畑に行ったときに教えてくれた話はな。
太陽が東から昇って西に沈むまでに、リンゴの木のすべての場所が太陽光にさらされるように剪定した
らしいんじゃ」
亀子「どういうことですか?」
ウ仙「おぬしも時々は布団を干すじゃろ?」
亀子「干した日の匂いは大好きです」
ウ仙「あれは太陽光が布団にあたって殺菌消毒してくれるんじゃな」
亀子「ダニとかの虫がいなくなりますね」
ウ仙「木が育っていくと、枝がたくさん分かれるんじゃが、枝が多すぎると一日ずっと影になるところができてしまうんじゃ」
亀子「そこに虫が出てきてしまうと」
ウ仙「そう。収穫量を多くするにはなるべく枝を剪定したくないから、結果的に農薬を使う羽目になってしまうんじゃな」
亀子「枝を剪定して、すべての箇所に太陽光が当たるようにするってことなんですね」
ウ仙「だいたい葉っぱの葉脈のようなイメージで枝を残すと、『全体に太陽光が当たるようになる』と言っておったな」
亀子「すごい自然のことを熟知されていますね」
ウ仙「無農薬にした初期の頃は、リンゴの花すら咲かなくて、『時間がいっぱいあったから、いろんなことを研究した』と言っておったよ」
亀子「たしか『奇跡のリンゴ』の映画で見ました」
ウ仙「いずれにしても木は太陽光があたらない箇所から、虫が発生したり、病気になったりするらしいじゃ。実は家庭も同じでの」
亀子「家庭でも同じ?」
ウ仙「『お母さん』は家庭の太陽と言ったじゃろ?
母親の目が届かない場所で、子どもの心に虫が発生したり、病気になったりする
んじゃよ」
亀子「ええーー!そう来ましたか」
ウ仙「そういう意味では『お母さん』というのは、家庭のすべてのことを把握しておく必要があるんじゃ」
亀子「うちの子は隠しごとしてないかな」
ウ仙「子どもが小さいうちは大丈夫じゃが、大きくなるにつれて、会話も減ってくる。しかし
子どもがどんな友達と付き合っているのか、何を考えているのかは把握しておく必要がある
んじゃ」
亀子「もうすでに言うこと聞かなくなって、何を考えているかわからなくなっています」
ウ仙「そこは前回やったコミュニケーション術で、しっかりと子どもの話を聴いて把握するんじゃぞ」
亀子「しっかり復習します」
ウ仙「
『お母さん』というのは、家庭の中では絶大な存在意義がある
んじゃ」
亀子「責任重大ですね」
ウ仙「力を入れ過ぎず、ゆっくりと歩みを進めることじゃな。おぬしは得意じゃろ」
亀子「ええ。なんせわたくしは亀ですから(笑)」
こうして亀子はレベルが上がった。
『お母さん』の職業をマスターした。(つづく)
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