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建築/美味しいご飯と旅/本 を起点に、私は世界を拡げている

何を起点に世界を拡げているかを綴ることで、自分がどんな人間かを、おおよそ説明できるのではないか、と思いプロフィール記事のタイトルに選んだ。

私が選んだ世界の出発点は、「建築」「美味しいごはんと旅」「本」
この3つのことばに私の生き方が詰まっている。

建築

15才から建築を学びはじめ、今に到るまで、20年以上、建築と関わり続けている。これだけの期間、飽きずに興味を持ち続けられるのは、建築から広がる社会との関わりの射程が、とてつもなく広く、遠いからに他ならない。

建築というフィルターから眺める社会。
初めて、建築をつくることと社会をつくることとの繋がりを意識したのは、
18才の時の地元の学校での課題「Intervention of the city -都市への干渉」。
街の中で使われていない場所を敷地として、そこに何をつくったら、
街が今よりよくなるか、建築案として提案するという課題だった。

まずはどんな社会をつくりたいか、街でどんな行為が発生したらよりよい暮らしになるか、という「Vision」を考え、どんな建築的な仕掛けをつくったら、Visionが達成できるかを「Concept」をつくる。その結果、最後に形をともなった解決案、「Place」が生まれる。18才の学生には難しい課題で消化できたとは言えなかったが、建築という世界が、単なる図学や計画学、工学の世界ではなく、もっと大きな社会につながっているということを初めて意識した第一歩だった。私はこの時から、建築というフィルターを通して、社会を眺めることが面白くて仕方がなくなっていた。

建築はただ機能的で、美しい形をつくることだけではない。建築の平面・断面計画は社会制度を反映しているし、建設コストと得られる価値のバランスは、ビジネスそのものだ。社会の変化に合わせて、新しい価値観が生まれ、それが建築として現れる。20年前には理解されなかった「シェア」の概念が形になった「シェアハウス」「シェアオフィス」など、少し前の時代には存在しなかった形式の建築が次々と生まれている。

よい建築をつくるためには、政治・経済をはじめとする社会を知らないといけないし、芸術・哲学・歴史など文化的な教養も必要だった。もちろん、法律やエンジニアリングの知識も。
私は、もっともっと遠くへ射程を伸ばすために、横浜・東京へ拠点を移した。尊敬する建築家が教える大学へ入り、夢中になれる仲間と出会い、
以降は就職して、建築の設計職と営業職を行ったり来たりしながら、
有名な建物を設計することはできていないけれど、ささやかながら、
誰かの生活を豊かにするうような建築の世界を続けてきた。

建築と旅。
写真は、スペインの地方都市にある、ビルバオ・グッゲンハイム美術館。造船業が衰退し、荒廃した街を、アートの街として蘇らせたことで有名なプロジェクトだ。
唯一無二の空間体験がある美術館をつくることで、世界中からアートに関心がある人を呼び寄せる。グッゲンハイム財団の力で、展示される作品は面白いし、ビルバオの造船業の歴史を象徴する鋼板をつかった常設展示も、背景に街の歴史が見えるからこそ、より高い価値を感じる。
そしてこの美術館をきっかけとして、建築家が次々と公共建築をデザインすることになり、観光都市になった。元々あったバスク地方の美味しい料理も味わえル事もあり、スペインでも有数の観光都市になった。

15才の私は、建築を見るためだけに1人で海外に行くようになるとは思っても見なかった。でも、世界中にある素晴らしい建築を目指して海を渡り、街の歴史や文化を肌で感じ、建築空間の存在感を感じるために、好奇心には勝てなかった。建築には、その場で体感しなければ得られないものがある。

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好きな建築とは。
何の文脈もなく、好きな建築とは、を答えるのは難しい。
素直に実際に現地を訪れ、心を動かされてものを列記することにした。他にも大事な建築があったような気がするが、これを書いている時点で思い浮かんだもの書くほかない。好きな理由は、空間自体が好きなもの、建築家の意思が好きなもの、よいタイミングで訪れて思い出が強いもの、など色々ありすぎて、ひとつひとつの建築で1500字くらいのエッセイでなければ語りきれないので、別の機会にゆっくりと書きたい。

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好きな建築:SANAA 「Grace Farms」@NEW Canaan,アメリカ、「21世紀美術館」@金沢、西沢立衛「豊島美術館」@香川、村野藤吾「世界平和記念聖堂」@広島、丹下健三「平和記念資料館」@広島、「東京カテドラル聖マリア教会」@東京、伊東豊雄「仙台メディアテーク」@仙台、ル・コルビュジエ「ユニテ・ダビタシオン」@マルセイユ,フランス、「ロンシャンの礼拝堂」@ベルォール,フランス、「ラ・トゥーレットの修道院」@リヨン郊外,フランス、FOA「横浜大さん橋」@横浜、レンゾ・ピアノ、リチャード・ドジャーズ「ポンピドゥー・センター」@パリ、フランク・ゲーリー「ビルバオ・グッゲンハイム美術館」@ビルバオ,スペイン、フランク・ロイド・ライト「グッゲンハイム美術館」@ニューヨーク、ジェームズ・コーナー「ハイライン」@ニューヨーク、ヘルツォーグ&ド・ムーロン「テート・モダン」@ロンドン、ノーマン・フォスター「シティ・ホール」@ロンドン、吉田五十八「猪俣邸」@東京、菊竹清訓「スカイハウス」@東京、東孝光「塔の家」@東京

美味しいごはんと旅

好きなご飯は何か?という質問はかなり難しい。美味しいという感覚は、相対的な感覚であり、敢えていうならば、食べた時の場面の記憶と味が混沌となって、美味しい記憶として残っている。
好きなご飯とは?という問いには、ごくごく日常的に通った場所とご飯、旅で出会った場所とご飯の組み合わせが並んだ。

美味しいごはんと旅はセットだ。旅は、建築を見に行く目的で、行き先を選ぶことが多い。けれども、1日何万歩も歩き、ぐったり疲れた後に食べるご飯がおいしかった時、もしかしたら建築以上に心に残っているかもしれない。もちろん、味が合わない海外で自分に合うごはんに出会える確率はかなり低い。その確率の低さも美味しいという記憶に貴重なスパイスを加えている。

日常的なご飯は、元気が出ない時、ほっと一息ついて次の挑戦までの力を蓄えるためのもの。「いらっしゃい」と声をかけてくれる、お店の人のいつもの笑顔に元気をもらいたい時のもの。ごはんの記憶と一緒に、過去の記憶になりつつある苦しかった時間が思い出される、ほろ苦い味かもしれない。

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好きなご飯:気張らないけど出汁が効いてる和食、近所の熱々の中華、特別な時に行く焼肉・割烹料理、休みの朝ごはんに食べるフレンチトースト、スペインのタパスとサングリア、大阪で食べるスパイスカレー、ブルックリンのドーナツとコーヒー、田町の赤いカレーとチキンカレー。有楽町の高架下のタイ料理、白ご飯とコロッケ、広島の豚骨醤油ラーメン、和歌山ラーメンと笹の葉寿司、京都の醤油ラーメン、福岡のあごだしうどん。実家のコロッケと白米。




私は、かなり雑食の本好きである。
一人っ子だった私は、父親の本好きにも影響され、
本を読んで過ごす時間が小さな頃から好きだった。
小さな頃は、絵本、物語、冒険記、図鑑、推理小説。
大人になってからは、建築の本、デザインの本、食べ物の本、仕事論の本・・・。写真集、美術集、小説、漫画、詩。
本を読む目的は、すぐに使える知識を得るため、自分の見たことのない世界を知るため、尊敬する人の考えや行動に少しでも近くため、心を強く保つため、気分転換のため、社会と自分の接点を探るため。
本を読むから世界への関心の幅が拡がるのか、関心が拡がるから新たな分野の本を読むのかは分からないけれど、財布の中身を気にせず、思う存分に本を手に入れられるようになったことは、ささやかな幸せだ。

好きな本:よしもとばなな「キッチン」「とかげ」、原研哉「デザインのデザイン」、宮下奈都「羊と鋼の森」、ヤマシタトモコ「違国日記」、おだぐち「フユウ・ライフ」、西沢立衛「建築について話してみよう」「続・建築について話してみよう」、谷崎潤一郎「陰影礼賛」、原広司「集落の教え」、松浦弥太郎「泣きたくなったあなたへ」、小松義夫「地球生活記」、西尾勝彦 詩集「歩きながらはじまること」、椎名誠「岳物語」「続・岳物語」、田中元子「マイパブリック・グランドレベル」、「ルーシー・リー」、新建築社「JAPANESE HOUSE 日本の家」     

これからのnoteに向けて

このnoteは、私の決意表明のようなものである。
仕事環境に変化があり、弱っていた時に始めたnoteだったので、その日の出来事を書いた日記のようなnoteがこれまで多かったが、これからは、建築/美味しいご飯と旅/本を起点として、記事を書くつもりである。

ひきつづき、私が綴るnoteに触れて、何かを感じていただければうれしい。



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