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落選した小説、読んで
「純愛」 明島 あさこ
あぁ、ヤったんだな、と思った。
俺の乗る路線バスは、いつも少しずつ混んでいく。窓際から順に座席が埋まっていき、高校が見えてくるころには、いい感じの間隔で吊革に掴まれるくらいに人が立つ。冬になるとコートの分だけ狭くなった気がするけれど、それでも自然に呼吸ができるくらいの余裕はある。そんな混み具合。自分ちの近くにバスが来るときはガラ空(す)きだから、うしろの
受賞スピーチ(の原稿)
――2022年12月20日、授賞式にて
まずはじめに、謝りたいことがあります。
S1グランプリは、シナリオ・センター生しか受賞しないと思っていました。
締切までに書いて出す練習をしよう、そう思って出していました。
今日、シナリオを勉強されている方々とお会いする機会をいただけたこと、大変ありがたく思っております。
今回、奨励賞をいただいた「こんぺいとうを一粒」は、昔付き合っていた男女が