朝 いそこ 

いつの間にか社会人。眠れない夜があるときにぽつぽつ更新。旅行の話、小説の話、音楽の話、…

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いつの間にか社会人。眠れない夜があるときにぽつぽつ更新。旅行の話、小説の話、音楽の話、短歌の話を中心に、エッセイ風に仕立ててます。深夜ラジオみたいなものよ。

最近の記事

もう何もかも嫌だと思って迷子になっていたはずが、気づいたら中国でおいしいご飯を食べていた話

3月14日の深夜25時近く、わたしはひとり、深夜の羽田空港にいた。 思えばその日までの数週間、中国に逃げ出してやる、くらいの強い気持ちを持っていたから過ごせていた。 今まで24年間のらりくらりと朗らかに過ごしていた分貯まっていた不幸ポイントみたいなものが一気に降りかかり、東京にいることが耐えられず石垣島へ行ったすぐ後に、わたしは中国行きの飛行機を予約していた。 羽田発、天津空港乗り換えの厦門【アモイ】空港行きチケット。時間を全く確認しなかったせいで、キャンセルが効かない期間

    • 食べることは生きること。悲しいことがあって駅のホームで食べた真冬のアイスの味を覚えている

      食べることは生きることだなあって、最近よく思う。 少し遠回りをして、ドラマの話をしよう。 ドラマ「MIU404」や「アンナチュラル」は食事のシーンがよく出てくるから好きだ。特に「アンナチュラル」でミコトがあんぱんを差し出す場面は名場面なので覚えている人も多いはず。それ以外にも、過酷な仕事の中でミコトは天丼だとか、肉だとか、そういうがっつりしたものをよく食べている。 他にも「エルピス」で、ずっとご飯を食べられなかったエナがタクローとならカレーが食べられるようになるのも印象的な

      • 旧友と話したら、想い出の夏の美しさを思い出し、胸を焦がして眠れなくなった話

        14歳のころの友人から、何年ぶりだろう、インスタでメッセージが届いた。 「あの時は美しかった。今も美しいはず」 そのとき友人はインスタのストーリーに「あの頃」という名のプレイリストをあげていた。わたしはそのプレイリストの中身を見て胸がぎゅっとし、スタンプを送った。二人で聴いた音楽が蘇る。 その返信が、上の言葉だった。 「あんなに苦しかったのに美しく見えるね。かけがえのない日々だね」 とわたしは返した。本当に久しぶりにメッセージを交わしたのだから、聞きたいことも話したいことも

        • 全落ち就活を経験したわたしが、本当に欲しいものは何か考え直した二年間。〜2度の出版就活を経て、人生の節目で何を選んで何を信じたらいいのか、負けから学んだこと〜

          遠子ちゃんになりたかったわたしは、小学生の頃から出版社に入ることが夢でした。 野村美月の『文学少女』シリーズを手にしたあの日から、遠子先輩になりたくて、作家を支える編集者に憧れを持ちました。   だから大学生になったときも、わたしは出版社に入るんだ、これだけ思い続けて叶わない夢なんかあるものか、と思っていたのです。 ところが。 惨敗。 これはわたしが一度、夢破れてから夢を再び掴むまでのお話です。 22卒、初めての就活「二兎追うものは一兎をも得ず」は本当なのか?出版社は狭き

        もう何もかも嫌だと思って迷子になっていたはずが、気づいたら中国でおいしいご飯を食べていた話

        • 食べることは生きること。悲しいことがあって駅のホームで食べた真冬のアイスの味を覚えている

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          「そりゃ縁切り神社しかないよ」と言われてひとり、安井金比羅宮に向かった話

          「あんた、安井金比羅宮って知ってる?」今年のゴールデンウィークに突入する、ほんの少し、数日前のこと。 中学時代いわゆるまぶだちで、その後も十年以上にわたって交流が続いている友人が、わたしのド底辺生活の話を聞いてげらげらと笑っていた。むしろ、げらげらと笑ってくれるのは彼女くらいで、その底抜けた明るさにわたしは本当に救われていた。 「散々だったんだよ本当に」 「聞く限り、ほんとに最底辺って感じだねえ」 「会うひとすべて、ちゃぶ台をひっくり返してくるような日々でさあ。あっちに逃げて

          「そりゃ縁切り神社しかないよ」と言われてひとり、安井金比羅宮に向かった話

          眠れない夜に旅の話 石垣島PART2

          西表島・由布島この日から、友人と離れ、ひとりで離島を回ることにした。 ひとりで行く良いことといえば、計画通りじゃなくても、そもそも何も決めなくても、行きたい方へ行けばいいということ。 ゆっくり起きていいし、ターミナルについてから間に合うフェリーを探して、そこから行く島を決めてもいい。やっぱりやーめたってターミナルでアイスだけ食べて帰ってもいい。 旅行がたびたび疲れるのは、計画を立てて、計画通りに動こうとするからだ。周りの意見に合わせたり、みんなの行きたいところを順番に、なんて

          眠れない夜に旅の話 石垣島PART2

          眠れない夜に旅の話 石垣島PART1

          ふと今夜思い出したのは、今年の三月に行った旅行のこと。 わたしはこの三月に、石垣島および八重山諸島に一週間、中国の厦門および福鼎および上海に一週間、滞在していた。 石垣島に行こうと決めてそのころのわたしは、どこかへ逃げ出したい、どこか遠くへ行きたいと強く思っていた。全てが嫌に成り果てていた時期でもあり、何もかも失ったように思えた時期でもあった。実際、いろんなものを失っていた。家族も恋人も住む場所もお金も。 石垣には友人がいた。 「こっちきたら? わたしは仕事で家にいないし

          眠れない夜に旅の話 石垣島PART1

          眠れない夜に短歌を詠んでいく

          眠れない月夜に光っていた窓辺 恋だったものをとかしてねむる昨日に引き続き、眠れない夜です。 忘れることのできない恋にじたばたしていました。 先日、職場の尊敬する先輩に「あなたにとって恋ってなに?」と聞かれて それ以降、ずっとその答えについて考えています。 さみしいは、ひらがなだなと思うのに。寂しいと言うあなたのさみしさラインの漢字変換ひとつでさえ、すれ違ってく心にさみしくなってしまう。 夜明け前 小さな寝息がこだまして あなたが起きる前に出る天国小さなアパートの一室が、そ

          眠れない夜に短歌を詠んでいく

          眠れない夜にしかできない話をするって決めた

          わたしと同じように眠れない夜を過ごしているひとに、ラジオをするみたいに話をしようと思いました。 ここのところなかなか人生の難しさを感じることが多くなり、それは、新しく社会に放り出されたものとして適正な悩みなのか、そういう年齢を迎えた登竜門的な憂いなのか。わからないけれど、なんだか急に熱を出して寝込むことが増えたことだけは確かです。 もうすぐ25歳になります。 うまくいかない日々を誰もが抱えているとは思うけれど、その誰もが朝の電車で、ビジネス街のランチタイムで、雑多な街の飲

          眠れない夜にしかできない話をするって決めた

          喫茶ゆりあぺむぺる

          吉祥寺駅から徒歩3分、大通りなのに気をぬくと通り過ぎてしまいそうな上品な佇まいで、よく見ると扉の上に「ゆりあぺむぺる」と店名が書かれていました。 (かわいい〜〜〜!!) 何色のクリームソーダにしよう最近は緑だけじゃなくて多色なクリームソーダ。緑の次に多いのが青なのですが、「ゆりあぺむぺる」では季節限定も合わせると十色くらい用意されています。 淡い色も扱っているので、乙女心をくすぐる......。 何にしようか迷ったのですが、最近ヴァイオレットエヴァーガーデンの映画

          喫茶ゆりあぺむぺる

          辻村深月「子どもたちは夜と遊ぶ」を眠れない夜に読んだ。

          辻村さんの本はどれも光りかがやく一節がどこかに隠れていて、宝探しをするみたいに読んでしまう。 だから眠れなくて天井を見つめていたら、彼女の本を読んでみてほしいのです。早く寝なくちゃ、とそれでも思うなら本を閉じるしかないけれど、きっと読んでいるうちに「自分が探しているものがある気がする」という気になってくる。 眠れない夜は、自分のことを探り探って嫌いになってしまうでしょう。寂しくなってしまうときもある。 でも読書って、誰かの人生を借りて、本を開いている間そこに生きる行為だ

          辻村深月「子どもたちは夜と遊ぶ」を眠れない夜に読んだ。

          「千と千尋の神隠し」は記憶についての物語

          好きな映画はなんですか?と聞かれたら間違いなくスタジオジブリの「千と千尋の神隠し」を挙げるだろう。私が生まれて間も無くの映画だったため、劇場で見ることは叶わなかったが今回、特別興行でジブリ作品が劇場上映していたため即座に見に行ってきた。 釜じいの「手ェ出すなら終いまでやれ」など序盤の台詞にもいいものがたくさん出てくる。何回も見るたびに、これは良いと思う台詞も増える。何回も見るたびに発見もある。それが面白い。 ちひろの父と母が豚に変えられてしまった原因の怪しい商店街、よく見

          「千と千尋の神隠し」は記憶についての物語

          神保町「さぼうる」は迷ったら来る場所

          神保町という街はすごいのです。一本迷い込むと喫茶店があちこちに立ち並んでいます。 どこに入ろうか......あっちがいいかな、こっちがいいかな。 迷う気持ちもわかる。けれどあまり調べたりせず、惹かれた外観にふらふら歩いて行って欲しい。 喫茶店との出会いはフィーリングで大丈夫。なんとなく、で入ったお店はいつもその時の自分にぴったりなはず。 そんなわけで今回紹介するのは駅からもとっても近い、神保町「さぼうる」です。 迷ったらクリームソーダわたし、クリームソーダがだいすき

          神保町「さぼうる」は迷ったら来る場所

          美味しいものを食べましょう

          美味しいものを食べるとわくわくしませんか?しあわせな気持ちになるし、笑顔になるし、本当に美味しいものに出会ってしまうと会話なんてそっちのけで「美味い」しか言わなくなります。 美味しいものを食べたいですよね。まずいものを食べたいなんて人はまずいない。よっぽどの物好きです。 問います。今までで一番美味しかったものってなんですか? 実は、意外とすんなり出てきません。私は結構悩みました。まあ20年ばかりしか生きていないので本当に美味しいものになんてまだ出会っていないんじゃない?

          美味しいものを食べましょう

          上野「王城」のときめくクリームソーダの話

          もう三ヶ月近くどこかへ出かけるということをしていません。 でも今まで出かけて撮りためてきた喫茶店への愛があるので、こうしてちょっとずつ記事にしてみます。次に出かけるまでに尽きてしまわぬよう、他の話題もいれつつ毎日更新が目標です。 上野純喫茶 王城 とても綺麗ですよね。 これは、上野にある「王城」という喫茶店です。 ところでクリームソーダと言って思い出せるフォルムは皆さんなんでしょう。 まず、まあるいアイスがのっていますよね。ソフトクリームだったり、アイスクリームだ

          上野「王城」のときめくクリームソーダの話

          喫茶店が好きだった

          心の底からくつろげる場所。そう言われてそれぞれ思い浮かべる場所は違うだろうけれど、私の場合は自分の部屋と喫茶店でした。 はじめまして。普段はコンセプト写真を撮ったり、小説を書いたりしています。 ここでは少しずつ、好きな喫茶店を紹介したり、美味しいお店を紹介したり、たまに小説の感想をあげたり、言葉についてのお話をしたり、気ままに一息つける場所を作ろうと思っています。 まずは自己紹介 これは私が自宅で作ったクリームソーダです。 大学生になってから都内に足を運ぶ機会が多い

          喫茶店が好きだった