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地中海ひとり旅日記。

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2024年2月、地中海沿岸諸国での、ひとり旅日記。
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【地中海ひとり旅】彷徨いカプチーノ

【地中海ひとり旅】彷徨いカプチーノ

 「暑い、暑い・・・」と呟きながら通りを彷徨っていたら、ひとつのカフェに行き着きました。相変わらずの、白と青。狭い入口の奥からは日が差し込んでいて、開けた奥行きを感じます。特に喉が渇いているわけでもなかったし、疲れているわけでもなかったのですが、導かれたように、わたしはそのカフェに入りました。

 残りひとつだった日陰の席に腰掛けて、カプチーノと、甘いお菓子を注文しました。左耳から聞こえてくるフラ

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【地中海ひとり旅】フロリアナにあるホテル

【地中海ひとり旅】フロリアナにあるホテル

 バレッタから少し外れたところにあるフロリアナという地区には、昔ながらの集合住宅がいまでもたくさん残っていて、目を瞑って通りで深呼吸をしてみると、建物に反響する微かな声や朝ご飯の匂い、地中海の潮の香りなんかが全身に入ってくるように感じます。
 昨日の深夜に船で入国したわたしは、船着場からなるべく近い宿をと思い、このフロリアナにあるホテルを選びました。結果として、それはそれは良い選択だったのでしょう

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【地中海ひとり旅】赤い服を着た少年

【地中海ひとり旅】赤い服を着た少年

 「ねえ、どこから来たの?」
 赤い服を着た少年は、少し訛りのあるフランス語で、わたしに話しかけてきました。首を傾げるわたしを見て、「ああ、このアジア人はフランス語をそれほど理解できないのだろう」と悟ったのか、これまた訛りのある英語で、「どこから来たのってば?」と再度わたしに尋ねます。

 「日本、日本っていう、東アジアにある国だよ。」
 少年がわたしの言ったことを理解したのかはわかりませんが、い

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【地中海ひとり旅】商売上手の店主

【地中海ひとり旅】商売上手の店主

 ビーチの入口付近にある、オレンジュース屋さん。陽気な店主がひとり、ひたすらオレンジを搾っています。

 「あんたも一杯どうだい。美味しいぞ」露店をのぞき込むわたしに店主はそう言いましたが、少しでも節約をしたかったわたしは、我慢することにしました。実際、少し高かったですし。

 「まあいいさ、あと10分後くらいにはきっと飲みたくなるぞ」店主の言葉を背中で聞いて、わたしは目的のビーチへ向かいました。

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【地中海ひとり旅】セント・ポールズ・ベイの常連さん

【地中海ひとり旅】セント・ポールズ・ベイの常連さん

 「このホテルの常連なんだよ、わたしは。」
 そう言って食パンにチョコクリームを塗る赤ジャージのおじさんの横顔は、ドヤ顔というよりは、どちらかというと、退屈そう。セント・ポールズ・ベイの海岸沿いにあるこのホテルは、2月というオフシーズンもあってか、ちょっぴり閑散としています。いまのところ、朝食会場にはわたしと赤ジャージのおじさんだけ。

 「あなたはどこから?」「そっちはどこから来たんだい?」旅人

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【地中海ひとり旅】ドアというものはとても不思議なもので、

【地中海ひとり旅】ドアというものはとても不思議なもので、

 旅先でドアを見かけると、「このドアの向こうにはいったい何があるのだろう、気になるなあ、気になるなあ」って、無性にドアに取り憑かれてしまうことがたびたびあります。

 ドアというものはとても不思議なもので、たった数センチの厚さで、お星さまから見ればおよそ同じ場所であるはずなのに、こちら側とドアの向こう側ではまるで別世界なのではないかと、そう錯覚してしまうことがあります。

 ここチュニスには、ドア

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【地中海ひとり旅】チュニジアのとあるビーチで

【地中海ひとり旅】チュニジアのとあるビーチで

 「わたしはいま旅をしている。」そう最初に自覚した旅は、おそらく小学3年生の時の旅だったと思います。その頃よく、放課後おじいちゃんちに寄っては、おじいちゃんが若かりしころにしたという旅々の話を、日が暮れるまで聞いていました。でもおじいちゃん、「旅はいいぞお」って言ってみたり、一方で「旅なんてするもんじゃあない」なんて言ってみたり。「おじいちゃん、結局のところ旅が好きなの?嫌いなの?」って、子どもな

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