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カルロスカルパ の ヴェネツィア作品 -オリベッティショールーム-

イタリア、ベニスにあるサンマルコ広場。
そこの一角に、カルロスカルパ改修設計、オリヴェッティ・ショールームが佇んでいます。

動画で彼の作品を紹介しているので宜しければご覧ください。

オリベッティとは、コンピュータや電卓を製造しているメーカーです。彼らがカルロ・スカルパに、製品のショールーム設計を依頼したところから始まります。

建築を細かくみてみましょう。

①階段


ショールームに入るとまず目に止まるのがこの階段。大理石で造られた踏み板は真鍮のポールに支えられ、宙に浮いているかのように軽快です。



オリヴェッティがタイプライターの会社であったことを言及しているのが、中段にある最も長い踏み板です。これは、タイプライターが横にスライドした時の形によくにています。

②揺らぐモザイクタイル

床に目を向けてみましょう。

床の意匠は、ヴェニスの揺らぐラグーンの水面をイメージされています。2階から見下ろすとわかりやすいです。ちらちらと揺らぐ様子がわかりますか?

テラゾーの技法が用いられているのですが、通常用いる大理石の破片に代わって、ここではベネツィアガラスが用いられています。なぜなら彼は、ガラス工場のディレクターを務めていた過去があり、ガラスの扱いをよく分かっていたのです。

③扉について

彼のデザインは徹底的に扉周囲の意匠に調和するように設計されています。外からは扉だと気がつきません。

こちらは建物正面の扉。レールに沿って3枚の扉が可動し、取手のない繊細なデザインです。この意匠は安藤忠雄も影響を受け、彼がベニスに設計した、プンタ・デラ・ドガーナにも踏襲されました。

こちらは設備隠しの扉です。

⑤可動式・吊るしのデザイン

彼は可動できるデザインにこだわりがありました。床に固定するのではなく吊るしたり、用途に応じて上下、左右に移動したり。この照明も上下に調節可能です。

こちらの机は左右に移動することができます。

⑥日本からの影響

カルロスカルパは、 日本建築からインスピレーションを受けた建築家の一人です。

釘を隠したり、木と木の取り合いをデザインしたり。そんなところからも日本の影響を伺えます。

カルロスカルパの作品はベニスや周辺地域に密集しています。ヴェニスに訪れる際はいくつか彼の建築を周ってみても良いと思います。


動画でもう少し詳しく説明しているのでぜひご覧ください。


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