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読書感想文

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信州読書会さんに参加させて頂いた時の読書感想文を中心に。個人的に書いた読書感想文も載せています。
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記事一覧

梶井基次郎著「冬の日」読書感想文

梶井基次郎の小説を数作しか読んでいませんが毎回良いなと思います。 作中の堯は病を持ってい…

青乃
1年前
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坂口安吾著「戦争と一人の女」 感想文

「戦争と一人の女と自転車」 カマキリの猥画を女が自転車で盗むところが面白かった。 スカー…

青乃
1年前
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梶井基次郎著『冬の蝿』読書感想文

蝿に対しては変な先入観があり、なかなかじっと見ることは少ない。しかし、何かの折に窓際やら…

青乃
2年前
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志賀直哉著 『山科の記憶』感想文

登場人物の誰の気持ちもよく分からなかったので、続きで『痴情』と『瑣事』も一読してみました…

青乃
2年前
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梶井基次郎著『城のある町にて』読書感想文

「胡桃を鳴らし続ける人」 (引用はじめ)  それはただそれだけの眺めであった。どこを取り立…

青乃
2年前
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森鴎外著『百物語』読書感想文

「或る傍観者について」 軽い打撲で小さな痣ができた。痣は水彩のように色が混じり合い、その…

青乃
2年前
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梶井基次郎著「或る心の風景」読書感想文

「見るということ」 子供の頃、私の身体と私は別々で、身体という乗り物に乗っていると思っていた。乗り物には、年齢や性別や姿など、他人に対して私という存在を説明する装備がされていた。時々、私は、私という乗り物と離れ離れになった。それは正確に一人きりだった。孤独でありながら、寂しいという感情とは切り離されていた。快でも不快でもない。ただ何者でもない私が一人だという実感があるだけの状態だった。 物を見るということには、自分の心境に寄せたり何かを投影するということを超えた、私がその

「名人伝」(中島敦著)を読んで

高校生の頃からこの話が好きです。何故自分が惹きつけられるのか、はっきりと解明したいと思っ…

青乃
3年前
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村上春樹『国境の南、太陽の西』読書感想文

『国境の南、太陽の西』を読んで 私は言葉の前でいつも戸惑います。 発するほどに遠ざかり、…

青乃
3年前
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魯迅『阿Q正伝』 読書感想文

2020年6月26日信州読書会さん 読書会の様子 『阿Q正伝』を読んで 転がった岩は、丁度、人の…

青乃
3年前
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マーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ』第一巻(新潮文庫 鴻巣友季子訳)を読んで

2020年6月19日信州読書会さんツイキャス読書会の様子 子供の頃、映画を見て、印象的な場面の…

青乃
3年前
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川端康成『抒情歌』読書感想文

信州読書会さんツイキャス読書会の様子 『抒情歌』を読んで 外の自然を眺めたり、観察をした…

青乃
4年前
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大江健三郎『個人的な体験』読書感想文

2020年6月5日信州読書会さんツイキャス読書会の様子 「さようなら、鳥!」 鳥は大学院時代に…

青乃
4年前
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オノレ・ド・バルザック『ゴリオ爺さん』読書感想文

2020年5月30日信州読書会さん読書会の様子 とても面白いのですが読むのが遅くて途中までしか読めませんでした。 バルザックといえば、ロダンの彫刻作品でしか知らず、自分が著作を手に取る事になるとは思ってもみませんでした。読んでみると想像していたよりずっと面白く読みやすいです。笑ってしまうシーンもいくつかありますが、油断していると急に台詞で核心めいたことが差し込まれたりして、惹きつけられます。 冒頭、まだミステリアスなゴリオ爺さんは、下宿屋とその周辺の皆に詮索され噂話されて