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マーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ』第一巻(新潮文庫 鴻巣友季子訳)を読んで

2020年6月19日信州読書会さんツイキャス読書会の様子

子供の頃、映画を見て、印象的な場面の数々に感動した気がするのですが、今となってはうろ覚えで記憶を辿りながら読みました。第一巻からとても面白かったです。スカーレットは記憶のイメージよりも、気が強く正直で激しい人でした。娘時代の輝きの全てを手に入れていた彼女が唯一アシュリの心だけを手に入れられず、結果、若くして未亡人となる、その歳わずか17歳と言うのも驚きでした。

引用はじめ

「ああ 、どうしてわたしだけがこの愛情深い女性たちと同じになれないの ?これまでも 、あんなに自分そっちのけで 、なにかを 、だれかを愛せたことなど一度もない 。これって 、なんて寂しい気持ちだろう──」

スカーレットは、激情ゆえに、あまりに早く、妻でも娘でもない「若き未亡人」という立場になります。喪服を身につけ、アトランタのパーティで、戦争の熱に浮かされたような人達に囲まれて、戦争の大義や郷土愛という言葉に違和感を持ちます。そう思う自分に孤独を感じながらも…。そして、その違和感が、何か特別な思想から発せられるのではなく、自分自身の気に入らない現状や、故郷のタラを愛している事など、彼女の率直で、素朴な面から発せられているのが面白いなと思いました。自分が何者であるか、ではなく、私はあくまで「私」である、というスカーレットの正直な心の在り方は魅力的で、読んでいて気持ちが良いです。

また、両親の生い立ちが最初の方に描かれていた為、スカーレットという人物のイメージが沸きやすく読みやすかったです。

昔、映画をみたときは、強く美しいスカーレットとメラニー、ダンディなレット・バトラーの印象ばかりが残ってしまい、アシュリという人がいまいち掴めなかった気がするので、今回、本を読みながら深めていけたらいいなとおもいます。続きが楽しみです。

青乃

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