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エッセイ | 3つイメージする

20代前半、私が美容師でアシスタントだった頃のこと。青山か原宿か、某有名美容室の売れているスタイリストの『仕事術』を学ぶ講習会に参加した。
そこで話をしてくれた売れっ子美容師は、実践していることとして、
「お客様を見た瞬間、3つのヘアスタイルをイメージする」と言った。

当時私は、まだ顧客を持たないアシスタントだったけれど、その話を聞いてから、人を見たら瞬時に3つの髪型を思い浮かべることが出来るよう、訓練した。
これはやってみるとなかなか難しい。2つまでは直ぐに浮かぶけど、意外と3つ目は浮かばなかったりする。
だけど、トレーニングしていくと少しずつ身につくもので、そのうち自分がスタイリストになって、その日初めて対応するお客様に、即座にいくつかの提案をできるようになった。

༄༄༄

美容師を辞めたあとは、発想とか閃きみたいなものを常に要求される環境からはだいぶ遠ざかった。
そしてすっかり感覚が鈍ったころ、noteで創作活動を始めた。
初めは頭で考えていたものが、書き続けるうち、企画に参加するうちに、段々とイメージする瞬発力が戻ってきた。

昨日のnoteで、私は創作時にイメージ映像が脳内で流れると書いたけれど、それは私の才能でもなんでもなく、美容師時代に訓練したことの結果なのかも。
そのことに今朝気づいて、実はとても嬉しかった。
過去の私の努力は無駄にならず、意外なところで役に立って、今に繋がっている。

とか言いつつ、十分に発想が豊かなわけでもなく鈍る一方なので、noteの企画に積極的に参加することはトレーニングの一部だったりする。





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