ファインダーに映る世界ー「自信」

前回の記事では、

ファインダーに映ってしまうマイナスな感情について書いたが、今日はポジティブな見えるものについて。

ファインダーを覗くと見える色々なもの。主に映り込むのは感情だ。

前回の「迷い」は、撮る側の気持ちが映り込む、という話だったが
今回の「自信」は主に撮られる側の感情になる。

はじめてカメラを向けられる人、普段から撮影に慣れていない人。
子供も最初は固まってひたすら緊張が見えるが、大人の場合はまた違う表情を見せる。

「不安」や「自信のなさ」

 
自分が撮られて平気だろうか、

どのように映るだろうか、

 そんな「まだカメラを信用できていない」感情がファインダーを通して伝わってくる。

 スタイリングされ、カメラの前に立つ頃には既にもう素敵なのだけど、
本人はまだそれを確信できていないのか、笑顔も固くこわばっている。

それをほぐしていくのが、我々フォトグラファーの仕事である。

ナチュラルで素敵な角度や表情を見つける。
光とのコラボレーションで、その人を一番美しく見せる照らし方を探る。

私や周りの人との会話で、ふいに出る自然な表情を捉える。

その表情が「とても素敵だ」と言葉でも伝える。

でもそれだけでは、まだうまく伝わらないままだ。 
なので、実際に撮った「とても素敵な自分」を確認してもらう。

 この作業を何度も繰り返す。
自然ないい表情は次第に何度も顔を出し始めてくれる。

そうして映るのが「自信」だ。

 私が捉えた一粒の煌めきを、反射して返していくことで、
次第に生まれた自信は、ファインダー越しにも現れ始める。

「 自分はちゃんと輝いているんだ!」と、カメラの前に胸を張って立ってくれるようになる。

「自信」が映り始めると、シャッターを切り始めた最初の時とはまるで別人のような表情になっていき、こちらが指示をしなくても表情は柔らかに、
一番素敵な顔を自然にカメラへ向けてくれるのだ。

いい人物写真には、
この「自信」を捉えることが必要不可欠だと私は考えている。

写真を撮られることを通して自分が魅力的な人間だと気づくこと、
それは写真だけにおさまらず、今後の自分らしさにも生かしていけるだろう。

満ち溢れる自信を、その写真を見るたび思い出して欲しいと私は願う。

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山口葵

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