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400字日記(リニューアル版)

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400字日記をリニューアル 日記に通底するテーマ 「すべては作家人生のために」 400字に入れること➡︎日々に見た感じたもの(具象) 四百字をどのような形式で見せるか? ➡︎「第…
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2022年4月の記事一覧

800文字日記/20220319sat/015

時報で起きる。窓が開いている。猫のウンチが臭い。便器に流す。猫にカリカリをやる。裸足でベランダに。曇(くも)り。南に雨雲が。階下を眺める。道の端に咲く菜の花は絵画のように動かない。車が走る。揺れる。部屋の掃除をし、靴下を履(は)き、傘は持たずに出る。 天気雨(てんきあめ)だ。畦を歩くと日差しと雨粒が顔に。浄水場脇の椿(つばき)の花に蝿(はえ)が止まっている。土手へ出る。山手に黒い雨雲が。左に曲がる。道の両脇に菜の花が咲き誇る。堰(せき)を流れる河の音が激しい。河に鳥が一羽も

800文字日記/20220408fri/036

腹に猫が乗る。2時。猫が猫じゃらしを咥えている。猫と遊ぶ。弁当を作る。部屋の掃除をする。食事はせず、ロードバイクを担いで外に出る。 快晴だ。雲ひとつない。「それな。」私服の女子中学生二人がすれ違いざまにいう。橋を渡り右に曲がって両脇に芝桜が咲く通学路を走る。神社を通り過ぎる。下校する小学生の姉弟とすれ違う。県道を跨いでなだらかな坂を上る。十時の方向に小高い丘の上に高級感ただよう住宅街が見える。自民党のポスターを通り過ぎた。 左に養護老人ホームがある。その周りにはシルバー人

800文字日記/20220408fri/035テーマ「図書館のなか」001

図書館の受付に立って異様な光景を見た。 奥の事務室で男が店屋物をほおばっていた。「できた?」と若い女を見上げる。若い女は自分の頬(ほお)にとんだ米粒を払い、書類を渡す。男はタバコの脂(やに)で黄色くなった歯を若い女に見せる。若い女は苦笑いをして書類を机に置く。男はそれを無視し青い血管が浮き出る女の手に触れる。事務室内が一瞬で凍る。こちらまで空気が伝わったのか受付の女が本を落とす。「きゃっ!」若い女は叫ぶ。「タカシ。事務室はパパの仕事場だ。遊ぶのなら館内で遊びなさい」男は子を

800文字日記/20220407thu/034

尿意(にょうい)で目覚める。猫がトイレを荒らすので叱(しか)る。猫はベランダに出籠(でこも)る。玄関の鎹(かすがい)の調子が悪く油を注(さ)す。正午の時報が鳴る。部屋の掃除を始めると猫が戯(じゃ)れる。ロードバイクを担(かつ)いで外に出る。 快晴だ。山手の県道を横断する。谷間を走る。峠(とうげ)に入る集落の入口に白とピンクの花桃の木が満開だ。葛折(つづらおり)の坂に入る。左の菜の花畑にチューリップが咲く。息を切らせ、上る。 坂は平らになる。左に曲がると高速道路に入る十字路

800文字日記/20220406wed/033

猫のウンコの臭いで起きる。14時半。晴れ。部屋と猫のトイレの掃除をする。開けた窓から虻(あぶ)が入る。猫が窓に張りつく虻に飛びつく。猫と遊ぶ。ロードバイクを担いで外に出る。 屋内駐車場で二人の老婆が集合郵便箱に折り込みチラシを入れている。片方は跛(ちんば)の身障者に見える。部屋番号を訊(き)かれる。お前らには言わない。どこにも入れるなと言う。 菖蒲(あやめ)が一輪咲く、その石垣の段々畑に満開の桜の木が立つ。周りは椪菅(ぽんかん)と仏の座と菜の花だ。坂の上の変電所をバックに

800文字日記/20220405tue/032

猫が足を噛(か)む。起きる。15時。猫を撫(な)でると毛が抜(ぬ)ける。音楽をかけ敷布団を干す。猫が部屋を駆(か)ける。台所でガラスの割(わ)れる音がする。シンク周りとトイレと風呂場を掃除する。猫と遊ぶ。ロードバイクを担(かつ)いで外に出る。 曇(くも)りだ。菖蒲(あやめ)が一輪咲く石垣まで来て見上げる。電線にとまった一羽の雀がピヨピヨと騒(さわ)いでいる。 ロードバイクを山手に走らせる。タクシー会社の前で止まる。奥の屋内駐車場で整備中なのかコンプレッサーの音がする。福寿

800文字日記/20220404mon/031

草刈りの音で起きる。9時5分。寝る。腹に猫が乗る。14時。快晴。洗濯をする。布団を干す。ベランダに流れる洗濯の排水に猫は興味津々だ。県道の向こうで見覚えのある影が揺れる。双眼鏡で覗(のぞ)く。鯉のぼりだ。部屋を掃除する。ロードバイクを担(かつ)いで外に出る。 風は山手から吹く。タクシー会社の敷地で鎌(かま)を持った老人がしゃがむ。背の高い老婆とすれ違う。大紫羅欄花(オオアラセイトウ)が鮮(あざ)やかに咲く家を通り過ぎる。 郵便局に入る。昨日、パンクの修理を立て替えてくれた

800文字日記/20220403sun/030

耳元で猫の声がする。9時。また寝る。頭を猫にひっ掻(か)かれる。14時。足を猫に噛(か)まれる。外は晴天だ。土手を自転車で立ち漕(こ)ぎする中学生を見る。音楽をかけると猫が部屋を走り回る。掃除をする。ロードバイクを担(かつ)いで外に出る。 山手へ向かう。日本共産党の街頭演説を通り過ぎた。紫色の紫木蓮や桃が咲く庭を通り過ぎる。ワイパーが立つ車とバケツがあるガレージを通り過ぎる。畑で老婆が腰を曲げて草を毟(むし)る。県道に出、峠(とうげ)を上る。桜が散った新緑を左手にペダルを踏

800文字日記/20220402sat/029

尿意で起きる。13時。寝る。腹に猫が乗る。15時。晴れ。燕(つばめ)がベランダを横切る。窓から鴉(からす)が高圧線の鉄塔に止まる。猫と遊ぶ。部屋を掃除する。16時半。ロードバイクを担(かつ)いで外に出る。 道にバイクを下ろす。西陽が眩しい。海手からベトナム人達がくる。挨拶を交わす。ベランダを見上げる。猫が四階の柵から顔を出して覗いている。一輪で咲く菖蒲(あやめ)を越え、畦(あぜ)へ曲がる。 右頬(ほほ)に陽が当たる。温かい。左頬に海からの風が当たる。冷たい。畑で二羽の鴉(

800文字日記/20220401fri/028

腹に猫が乗る。起きる。10時半。快晴。草刈り機の音が聴こえる。寝る。腹に猫が乗る。起きる。14時。廃品回収の声が聴こえる。米を研いで飯を炊(た)く。部屋を掃除する。洗濯機を回す。まな板に浸けていた漂白剤を濯(すす)ぐ。包丁を研(と)ぐ。猫と遊ぶ。カリカリをやる。ロードバイクを担(かつ)いで外に出る。 郵便受けに手紙を見つけた。兵庫からだ。屋内駐車場を出た道の脇にロードバイクを停める。手紙を読む。上からベトナム語の鼻歌が聞こえる。昨日、上流で川釣りをしていた男の自転車が通り過

800文字日記/20220331thu/027

腹に猫が乗る。11時24分。用に立つ。曇(くも)り。時報を聞く。寝起きをくり返す。猫と遊ぶ。傘を持って外に出る。17時。玄関を開ける。ベトナム人と鉢合わせをする。戸締りを確認して階下に降りる。 畦(あぜ)に出る。上空は雨雲だ。風が強い。土手へ出る。自転車で走る中学生のスカートがすれ違いざま、翻(ひるがえ)る。籠(かご)に、釣り道具とポケットラジオを入れた自転車に追い抜かれる。ラジオの音が遠ざかる。 橋を渡る。右へ曲がる。河辺一帯の草木や雑草が風で騒(ざわ)めく。遠くから中

800文字日記/20220330wed/026

腹に猫が乗る。起きる。7時。曇(くも)り。窓から土手を自転車で通学する詰襟(つめえり)姿を見る。寝る。用に立つ。13時。猫にカリカリをやる。近寄ってくる猫が臭い。パンツを脱ぐ。寝糞(ねぐそ)だ。シャワーを浴びる。洗濯機を回す。猫と遊ぶ。干した洗濯物が風で揺(ゆ)れる。ロードバイクのタイヤの空気を入れ直し、担(かつ)いで外に出る。 バイクを転がす。風は強い。畦(あぜ)で杖を突いた老婆とすれ違う。雨粒が頬にあたる。白い犬を連れた老人が前を歩く。湿度が高い。菜の花の臭いが強い。土

800文字日記/20220329tue/025

腹に猫が乗る。起きる。11時9分。曇り。猫に食事を。ごろ寝。正午。部屋の掃除。散歩に出ようとしてロードバイクのタイヤのパンクに気づく。自分のロードバイクをググる。部品類、タイヤ、高額。途方に暮れる。昼食を作って食べる。自転車屋に電話。車で来てくれる。ぼくも乗せてもらい自転車屋へ。13時。 店内は油まみれの部品が散らばる昔ながらの自転車屋さん。奥にレザーソファ、埃(ほこり)を被(かぶ)ったアコギ、昭和のテレビの横に山下達郎やオーティス・レディングのレコードが、漫画本が山積み。

800文字日記/20220328mon/024

塵芥車(じんかいしゃ)が来て目覚める。13時3分。猫が鳴く。曇(くも)り。窓を開ける。外を見る。畦で頬(ほお)かむりを巻いた女が犬を連れている。土手で山手から青い車が来て離合帯(りごうたい)で止まる。男が犬をおろす。猫にカリカリをやる。部屋を掃除。ロードバイクを担(かつ)いで外に出る。 ペダルを踏む。風は穏やか。肌寒い。左手に「川舟祭」のポスターを見る。郵便局の配達車が通り過ぎる。左に寺の掲示板が立つ。A3の紙に楷書(かいしょ)で「自分は自分、人に何を言われたって気にしない