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800文字日記/20220404mon/031

草刈りの音で起きる。9時5分。寝る。腹に猫が乗る。14時。快晴。洗濯をする。布団を干す。ベランダに流れる洗濯の排水に猫は興味津々だ。県道の向こうで見覚えのある影が揺れる。双眼鏡で覗(のぞ)く。鯉のぼりだ。部屋を掃除する。ロードバイクを担(かつ)いで外に出る。

風は山手から吹く。タクシー会社の敷地で鎌(かま)を持った老人がしゃがむ。背の高い老婆とすれ違う。大紫羅欄花(オオアラセイトウ)が鮮(あざ)やかに咲く家を通り過ぎる。

郵便局に入る。昨日、パンクの修理を立て替えてくれた別府の廃品回収業の人の口座に修理代を送金する。ATMから横目で局中を覗く。新入局員が働いていた。

沈下橋の真ん中で止まる。下流で鷺(さぎ)が羽を休める。上流から川幅いっぱいの滝音が聴こえる。河面に反射する太陽の光が眩しい。

沈下橋を渡る。路地を抜ける。中学校が建つ道に出る。両脇は芝桜が満開だ。左に曲がる。後ろの給食センターの方から、消毒のタンクを積んだ軽トラックが通り過ぎる。

背を風に押され、真っ直ぐな通学路を1km進む。右に見える県道を並走する。金毘羅(こんぴら)神社、苺のビニール、胡瓜のビニールハウスを通り過ぎる。

小さな集落に入る。右の用水路の水はきれいだ。支流に出る。橋の上に立つ。鷺(さぎ)のような大きな川鵜(かわう)が頭の上を山手へ飛ぶ。

町で唯一のパチンコ屋の敷地に入る。二十台の車が駐車場にある。ほとんどが軽だ。店内は思いの外、主婦がドル箱を積(つ)んでいる。店内を半時間歩く。1パチの北斗の台に座る。喧(やかま)しい。三連荘する。二千円入れて千円の出玉だ。いい気分で店を出たが、よく考えると千円の負けだ。

スーパーに寄る。パチンコで負けた千円分の食費を抑(おさ)えるために、二束で99円の牛蒡(ごぼう)と三本で103円の人参を買う。きんぴらごぼうで数日過ごすことにする。

牛蒡が突き出たリュックを背負って海へロードバイクを走らせる。堤防に座る。浜で二人の少年がフリスビーをしている。腹が減る。18時過ぎだが日は明るい。開けっ放しの窓と猫と洗濯物を思い出す。帰る。(800文字)


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