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800文字日記/20220330wed/026

腹に猫が乗る。起きる。7時。曇(くも)り。窓から土手を自転車で通学する詰襟(つめえり)姿を見る。寝る。用に立つ。13時。猫にカリカリをやる。近寄ってくる猫が臭い。パンツを脱ぐ。寝糞(ねぐそ)だ。シャワーを浴びる。洗濯機を回す。猫と遊ぶ。干した洗濯物が風で揺(ゆ)れる。ロードバイクのタイヤの空気を入れ直し、担(かつ)いで外に出る。

バイクを転がす。風は強い。畦(あぜ)で杖を突いた老婆とすれ違う。雨粒が頬にあたる。白い犬を連れた老人が前を歩く。湿度が高い。菜の花の臭いが強い。土手に上がる。河の臭いが強い。堰(せき)は穏やか。左の離合帯(りごうたい)に青いプジョーが停車。バイクを跨(また)いでペダルを踏むと、老人の脇の犬が伏せをする。互いに首を垂れてすれ違う。

麦畑でタンクを背負った男が農薬を噴霧(ふんむ)する。コンクリ橋を渡る。左に曲がる。左手の河で鴨(かも)が七羽、飛び立つ。足元を見る。土手一面が土筆(つくし)だ。

団地に架(か)かる橋の手前にある民家の土手に白い水仙の周りに紫色のムスカリが咲く。


河口橋の付近までくると海から来た潮(しお)の匂(にお)いが強い。五位鷺(ごいさぎ)が羽ばたく。浅瀬(あさせ)で河を突(つ)いていた十二羽の鴨(かも)は山手へ流される。

巨大クレーンが稼働(かどう)する手前の県道では国東方面へ車が列をなして走る。向こうの国道では別府方面に向かう黄色いマイクロバスが見える。県道を右に曲がる。雨が降りそうだ。ホームセンターに寄って昨日失(な)くしたカラビナを買って、スーパーで弁当を買う。海へ向かう。

地下道から上がると服を着たままの少年が二人、下半身を濡(ぬ)らして立っている。「海に入ったの?」「はい」。地下道に消える。

堤防に座る。四国の雲は黒い。海は緑が濃(こ)い。波は高くないが波音は大きい。弁当を食べる。後ろで四人のベトナム人が通り過ぎる。弁当のプラスチックの蓋が風に飛ばされる。ベトナム人が拾って渡してくれる。

コンクリ橋で赤いトレーナーを着た男が欄干(らんかん)に凭(もた)れて携帯を弄っている。挨拶をする。声が女だった。

ドアを開ける。猫が床で昨日失くしたカラビナで遊んでいた。(800文字)


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