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800文字日記/20220331thu/027

腹に猫が乗る。11時24分。用に立つ。曇(くも)り。時報を聞く。寝起きをくり返す。猫と遊ぶ。傘を持って外に出る。17時。玄関を開ける。ベトナム人と鉢合わせをする。戸締りを確認して階下に降りる。

畦(あぜ)に出る。上空は雨雲だ。風が強い。土手へ出る。自転車で走る中学生のスカートがすれ違いざま、翻(ひるがえ)る。籠(かご)に、釣り道具とポケットラジオを入れた自転車に追い抜かれる。ラジオの音が遠ざかる。

橋を渡る。右へ曲がる。河辺一帯の草木や雑草が風で騒(ざわ)めく。遠くから中学校のチャイムが聞こえる。対岸の桜が満開だ。堰(せき)の魚道に空き缶が浮く。老婆とすれ違う。籠にポケットラジオが入った自転車が止まっている。土手を降りた河の溜まりで釣人が竿を垂れる。河から数羽の鳥が飛び立つ。川鵜(かわう)は山へ、鷺(さぎ)は河に沿って飛ぶ。

民家が現れる。民家の二階からYOASOBIの新曲が聴こえる。鳶(とび)が上空に留まっている。その手前を鴉(からす)が対岸へ横切る。燕が低く飛ぶ。湿度が高く虫が低い所にいる証拠だ。雨の兆(きざ)しだ。左の生垣の梅に新芽が吹く。沈下橋にくる。前から二人の少女がくる。息を吸い太鼓腹を引っ込めすれ違う。

橋を渡り切る。ヨークシャテリアを連れた女とすれ違う。「ハルト! 危ないよ! 」後から女がいう。前から五歳ほどの少年が沈下橋へ駆(か)けてくる。農協の裏を通り過ぎる。スナックの敷地に公明党のポスターが立つ。党首が不気味に笑う。

いつも犬が騒ぎ立てる家の敷地は静かだ。路地の両脇は紫色の馬酔木(あせび)、ムスカリが多い。左手の家の庭に一列、ピンクのチューリップの蕾(つぼみ)が開かんとしている。寺の辻まできてミモザの庭が気になり引き返す。

よく吠える豆柴を連れた老人とすれ違う。結局、ミモザは三分咲きだ。一房は満開で見事だった。

庭の前で立ち止まる。ガラス細工のような桃色の花に見惚れる。家の人が手招きする。香港灯台(ほんこんどうだん)だという。雨が降る。半時、話しこみ急いで帰る。

アパートの手前で立ち止まる。石垣に菖蒲(しょうぶ)が咲く。(800文字)


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