800文字日記/20220407thu/034
尿意(にょうい)で目覚める。猫がトイレを荒らすので叱(しか)る。猫はベランダに出籠(でこも)る。玄関の鎹(かすがい)の調子が悪く油を注(さ)す。正午の時報が鳴る。部屋の掃除を始めると猫が戯(じゃ)れる。ロードバイクを担(かつ)いで外に出る。
快晴だ。山手の県道を横断する。谷間を走る。峠(とうげ)に入る集落の入口に白とピンクの花桃の木が満開だ。葛折(つづらおり)の坂に入る。左の菜の花畑にチューリップが咲く。息を切らせ、上る。
坂は平らになる。左に曲がると高速道路に入る十字路をまっすぐ進む。鶯(うぐいす)が二羽、前を横切る。坂は上りになる。高速の高架を左下に見下ろしてペダルを踏(ふ)む。峠の天辺で止まる。崖に白とピンクの花桃の木がある。「桃ですよね」と老婆に尋(たず)ねるが首を横に振る。母にラインで確認する。花桃だった。峠を下る。
谷間にある集落を抜けて隣町に入る。戦国大名の大友宗麟の有名な人口三万の古都だ。切り立った崖(がけ)が剥(む)き出しの丘が竹林に囲まれ、その上を鳶(とび)が旋回する。海を見渡せる橋を渡ってスーパーで猫じゃらしを買う。城下町を走って丘の上に立つ図書館に入る。
夕方、図書館を後にする。夕陽を背に浴びて海岸沿いの国道を走る。山手の左側に廃車になって放置されたパトカーのパトランプが光って回る。家路を急ぐ幾台もの車に追い抜かれる。右の海側に古参(こさん)の主婦と揉めて三週間で辞めたファミマがある。海沿いにオイスターバーが軒を連ねる。半ば廃業したホテルを尻目に陸側に沿って走る。ラブホを越え、重機専門のレンタカー屋を通り過ぎた。左の農道で赤ん坊を抱いたパパがサンダルで散歩をする。
勾配はないが息が上がる。左手になた動物病院、右に奈多(なた)海岸と奈多宮入り口の十字路を通り過ぎる。国道から県道に入って町に戻る。ケーキ屋に寄る。猫の誕生日ケーキを予約する。家に帰る。
サイクリングアプリを開く。本日の走行距離26.9km。最高速度46.6km/時。最高標高93m。走行時間は1時間20分だ。疲れ果て、鞄を床に下ろすと猫が鞄に飛びつく。猫じゃらしが飛び出ていた。(798文字)
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