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800文字日記/20220319sat/015

時報で起きる。窓が開いている。猫のウンチが臭い。便器に流す。猫にカリカリをやる。裸足でベランダに。曇(くも)り。南に雨雲が。階下を眺める。道の端に咲く菜の花は絵画のように動かない。車が走る。揺れる。部屋の掃除をし、靴下を履(は)き、傘は持たずに出る。

天気雨(てんきあめ)だ。畦を歩くと日差しと雨粒が顔に。浄水場脇の椿(つばき)の花に蝿(はえ)が止まっている。土手へ出る。山手に黒い雨雲が。左に曲がる。道の両脇に菜の花が咲き誇る。堰(せき)を流れる河の音が激しい。河に鳥が一羽もいない。土手の両脇の菜の花畑に、たくさんの紋黄(もんき)、紋白蝶(もんしろちょう)が舞(ま)う。

左の藪(やぶ)に小動物の気配が。息を潜(ひそ)める。藪(やぶ)を覗(のぞ)く。水路の流れだった。頬(ほほ)に雨粒が。見上げる。頭上は晴れ。雲の上からジャンボ機の音が。風は背後から海へ吹く。団地を過ぎ、河口橋に近づいた頃、十六羽の鴨(かも)と一羽の白鷺(しらさぎ)を見た。畑では雀(すずめ)が鳴く。

県道に出た角の家の庭に紫色の花の低木が。葉を毟(むし)って匂(にお)いを嗅(か)ぐ。ローズマリーだ。雲間から漏(も)れる太陽の光が道路を照らす。同時に雨が横殴りに降る。フードを被(かぶ)って歩く。雨はすぐに止む。陽が肌に当たって温かい。汗ばんでくる。腹が減る。

スーパーでパンを買って海に。青空だが小雨が降っている。海に抜ける路地の一角に桜の木が。八分咲きだ。隣は椪柑(ぽんかん)の木。実が落ちている。

海に出る。防波堤に座る。パンを食べる。波の音を聴く。リュックから双眼鏡をだす。海を眺める。眼前に四国が。風力発電機の三枚の羽が回っている模様まで鮮明に見える。タンカーが数多く見える。左手に後藤組の船団が。右の別府湾には海洋建築現場やプラントなどが。前方の風力発電機の奥に見える白い建造物は… 伊方原発か。四国側の漁村も見える。

双眼鏡を仕舞(しま)う。浜を歩く。浜が波に削(けず)られていて、いつもの浜と違う。波打ち際は玉砂利だ。昨晩、満潮だったせいだ。雨が降り出す。また止む。今日は春時雨(はるしぐれ)だ。帰る。

橋を渡る最中に晴れる。右手に、河に架かる七色の虹を見る。(799文字)

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