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800文字日記/20220406wed/033

猫のウンコの臭いで起きる。14時半。晴れ。部屋と猫のトイレの掃除をする。開けた窓から虻(あぶ)が入る。猫が窓に張りつく虻に飛びつく。猫と遊ぶ。ロードバイクを担いで外に出る。

屋内駐車場で二人の老婆が集合郵便箱に折り込みチラシを入れている。片方は跛(ちんば)の身障者に見える。部屋番号を訊(き)かれる。お前らには言わない。どこにも入れるなと言う。

菖蒲(あやめ)が一輪咲く、その石垣の段々畑に満開の桜の木が立つ。周りは椪菅(ぽんかん)と仏の座と菜の花だ。坂の上の変電所をバックに紋白蝶(もんしろちょう)や鳳蝶(あげはちょう)が飛び交う。白い犬を連れた老人が通り過ぎる。

畔(あぜ)を左に曲がったアパートの陰に「九州電力送配電」と書かれた銀のバンが止まる。白い犬を連れた老人がバンに乗った男と諍(いさか)いをする。バンは走り出す。バンが去った後に吸(す)い殻(がら)が落ちている。

浄水場の脇を通る。目の前の畔に桜の花びらがはらはらと落ちる。土手に上がる。野球のユニフォームを着た少年が自転車の立ち漕(こ)ぎで通り過ぎる。土手の両脇で虻や紋白蝶が飛び交う。

対岸の森の一本杉の真上で鳶(とび)が螺旋状(らせんじょう)に旋回(せんかい)しながら浮上する。森の中から鴉(からす)の番(つがい)が飛び出して鳶に襲(おそ)いかかる。鳶が急降下する。二羽の鴉は鳶を挟(はさ)み撃(う)ちにする。まるで戦闘機の空中戦のようだ。鳶は撃墜されそうになる。森から別の鳶が飛び出してくる。鴉の番は散り散りになる。

沈下橋の下を良く見るとゴミが多い。図書館で少し執筆をするが司書が煩い。出る。

県道に出て峠を登る。急坂だ。息があがる。右の離合(りごう)帯に「富山の置き薬」と書いてある白の軽と10t車が止まる。ガードレール沿いの、蔓(つた)が絡まる桜の木は花びらを散らす。その下に緑色の汚い溜池がある。枯れ草と桜の花びらが風で池の縁(ふち)に寄る。

一気に下る。右へのカーブから今度は緩やかな登りになる。左に蜜柑の段々畑を見、峠の団地を過ぎる。県道を渡る。長い桜並木の坂道を下る。トラックが追い越していく。道一面に散った桜が紙吹雪のように舞う。桜の季節が終わりを告げる。(800文字)


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