800文字日記/20220402sat/029
尿意で起きる。13時。寝る。腹に猫が乗る。15時。晴れ。燕(つばめ)がベランダを横切る。窓から鴉(からす)が高圧線の鉄塔に止まる。猫と遊ぶ。部屋を掃除する。16時半。ロードバイクを担(かつ)いで外に出る。
道にバイクを下ろす。西陽が眩しい。海手からベトナム人達がくる。挨拶を交わす。ベランダを見上げる。猫が四階の柵から顔を出して覗いている。一輪で咲く菖蒲(あやめ)を越え、畦(あぜ)へ曲がる。
右頬(ほほ)に陽が当たる。温かい。左頬に海からの風が当たる。冷たい。畑で二羽の鴉(からす)が土を突く。近づく。右の鴉が縄(なわ)のような蚯蚓(みみず)を咥(くわ)え飛び立つ。残された鴉は周りをうろつく。畦の中央は薺(なずな)で白い帯のようだ。
土手に登る。河は穏やかだが魚道は激しく流れる。土手のソメイヨシノは八分咲きだ。ロードバイクに乗る。コンクリ橋を渡って進んだ左に藤棚のような畑がある。農夫がいて尋(たず)ねる。「キウイの棚よ」。
河口橋の袂にくる。河の水位が低く感じる。八羽の鴨(かも)が水面を突く。対岸の緑地で女が赤ん坊を抱く。赤ん坊を抱いた女の先に男が河面に手をつけている。さらに男も赤ん坊を抱く。現場へ向かう。
0歳と2歳を連れた若夫婦だった。赤ん坊を抱く父親は沢蟹(さわがに)を取っていた。「一年住んでいますが、河がここまで干(ひ)るんですねえ」父親が言う。河の水位は異常らしい。
県道を越える。港郵便局を通り過ぎる。左の家の庭木のピンクの花びらに見惚(みと)れる。向かいの電気屋から老婆が出てくる。「それ、花桃」。八重の花びらが鮮やかだ。連翹(れんぎょう)も黄色く咲き乱れる。
左に神社がある。バイクを止める。階段を登って枯れ葉を踏み詣(もう)でる。漁港の上空で鳶(とび)が翼を広げている。国道の橋の蔭で親子がスケボーをする。通り過ぎる。後藤組の船団が見える。
防波堤の突端にくる。テトラポットの前で女と見紛(みまが)うような男が磯釣りをしていた。ここは鱸(すずき)が釣れる、あっちは大分、別府はあっち、この時期は花粉かPM2.5で視界は悪い、このテトラポットの組み方って芸術的じゃない? とか世間話をして帰る。(800文字)
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