“不安よりも、どうにかしなきゃっていう気概の方が強かったですね。自分の故郷も守れないのに、社会を良くしていくなんてできないだろうって思ってたんで”
35.大木貴之 / 飲食店オーナー・ワインツーリズムオーガナイザー
山梨県甲府市にある『For Hearts Cafe』オーナーの大木貴之さん。
20年以上前から「地産地消」を掲げ、地域でお金が回転する仕組みづくりをされてきました。
『ワインツーリズム』の発起人でもあり、山梨=ワインという方程式を作り上げた1人でもある彼のうちにある想いや行動の源を伺いました。
Instagram
大木さん: @o_ki
For Hearts Cafe: @fourhearts_jp
ワインツーリズム: @winetourismjp
■大木貴之(オオキ タカユキ)
マーケティング・コンサルティング会社を経て2000年当時シャッター街だった山梨県甲府市に『For Hearts Cafe』をオープン。
「ジャンルにとらわれず選りすぐりの食材を提供することで様々な分野の人を集める」ことを提案し、実際にイラストレーター、デザイナーをはじめ、国籍、業種、役職関係なく多くの人が 集う場となる。
その後、地場産業を日常利用するという習慣をつくり出し、地域の独自文化形成を目的に『ワインツーリズムやまなし』を発起。
依頼、店を運営する傍ら総合プロデューサーとして産地を次世代につなぐ仕組みづくりを続けている。
_今の仕事(や生き方)を始めたきっかけは?
自分の故郷がボロボロだったからですね。
僕が東京から戻ってきた2000年の甲府ってものすごく暗かったんです。
「チェーン店が最高!」っていう時代だったから、ローカルのお店がどんどん駆逐されて、シャッター街になっちゃって。
チェーン店しかないってことはつまり、人件費さえ出しちゃえば、あとは何もかも東京の本社に行っちゃうわけでしょう?地方が貧しくなる構造の結果をそこで目の当たりにして。
これじゃあまずいだろと思って、地域でお金が回る仕組みづくりを考えました。で、まずは自分の住んでいる地域の野菜やお肉、ワインを提供するお店を構えることにしたんです。
その後、県内外から来るお客さんにワイナリーや農家さんのところへ直接尋ねてもらうワインツーリズムを始めました。自分の店でやってたことを地域規模に拡張した感じですね。
_今の仕事を始めるのに不安はありましたか?また、それはいつ乗り越えましたか?
不安よりも、どうにかしなきゃっていう気概の方が強かったですね。
自分の故郷も守れないのに、社会を良くしていくなんてできないだろうって思ってたんで。
前職が今世の中で見向きされていないものに目を向けさせるPRの仕事だったから、自分のスキルを使ってできることをやろうと思いました。
_仕事をやり続ける原動力は?
原動力はね、怒りですよ(笑)
なんでこんなふうになってんだっていう問題意識が今日までの僕を動かし続けてますね。
自分の地域がどんなにいいものを作っていても、それに気づけるものさしがなければ、やっぱり見過ごされてしまうわけじゃないですか。
でもそのもどかしさを抱えたままでも何も変わらないでしょう。だから動いてますね。
_発想やクリエイティビティの源泉は?
つながり…ですね。
所詮、人間と人間の関わりなので、人数の大小あれど、その動向はほぼ同じなんですよ。
だから社会の流れを読んで、自分がその中でどの役割に値するのかは結構引いて観てます。全部数珠つなぎだと思ってるんで。
_ 働く中で、あるいは生きてる中で大切にしているキーワードを教えてください
それもつながりですね。やっぱりつながりがある方が豊かなんですよ。
例えば、葡萄農家とワイナリーって前はそんなに仲良くなかったんです。取引相手だから。
でもワインツーリズムを始めると、お客さんが来る。すると、学園祭と一緒で催す側だから仲間になるでしょ?
そしたらその後も地域のコミュニケーションが爆発的に上がるんですよね。
そういう関わり合いが楽しいんですよね。なんやかんや(笑)
あと、先人たちに対しても思ってます。たまたま長い年月で残ってる産地を今享受させてもらってるだけなので。その延長線にいるから絶やさないでいようという意志というか。
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