失恋｜anji hirata | 詩と言葉

じゃあね。　
の余韻ーーー

だまって聞いてた
積乱雲

好き　と
言えなかった
夏の終わりは

見上げて落ちてきた
ひとひらの　

さよならのための恋

もう触れられない笑顔
見上げても訪れない未来

夏の夜
　　　想いでの雪が降る

星の瞬き
照らされて

この手をこころを
すり抜けて

美しいから哀しくて

この恋の終わりに
歌がなびいていて

涙はこらえずに
咲かなかった蕾にも
沁みて包むように

ありがとうは
ふたりの最後に
咲く一輪

この恋の終わりに
歌がなびいていて

笑って手を振る
ひとつ昇る階段

さよならの
言葉のかわり

繋いだ手の感触と
知らない香水の香り

さよならの
言葉のかわり

息もできずに
俯いたまま離した手

もう会えない人に

綴った想い
届かぬ想い

送り先のない手紙
返事の来ない手紙

折って紙飛行機
ふわり飛んで
波間に落ちる

はらはらと
夜が降り落ちれば
想い出の竪琴

慰めの調律は
知らない

ぽろぽろと
溢れ出る涙は

きみの指じゃなきゃ
拭えないことを知った

好きなまま
消せないままに

忘れてゆくための足音

蓋を閉じた胸の筺
月明かりの差さない
場所にしまって

さようならは

ありがとうに
沈めて

夢をみていました

美しい夢でした

砂に描いた想いは

泡波が消しました

さよなら、、ハッピーエンド

失恋