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酒場のぷりンス

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ぷり a.k.a 星葡萄の 初の食エッセイ本『酒場のぷりンス』刊行決定! ーこれは酒場の話でもあるけれども、自分という人間が何に価値を見出しているのかを書いた本になったと思う。…
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#星葡萄

「酒場のぷりンス」こと、ぷり a.k.a.星葡萄

「酒場のぷりンス」こと、ぷり a.k.a.星葡萄

虎鶫から発売中!

 おかげさまで「酒場のぷりンス」ご好評いただいております!ぷり a.k.a.星葡萄の初のイラスト食エッセイ本。ただのガイド本ではなく、ぷりの魅力をたっぷり見せる!というコンセプトのもと練り上げられました。たくさんの人にご協力いただき大感謝。毎日、おたよりに励まされております。取扱店舗も40箇所。それも本屋だけでなく、たい焼きやスナック、もちろん酒場などさまざまな個人店で取り扱っ

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序文「酒場のぷりンス」ぷりa.k.a.星葡萄

序文「酒場のぷりンス」ぷりa.k.a.星葡萄

この本を書くにあたって

 この本を書くにあたって、改めてぼくが店を選ぶ基準は何かを考えてみた。

 料理がおいしいのはもちろん。他にもいろいろな理由があるなぁ。1000円くらいで満足できるならまず、合格。でも、安いだけでなく、なぜ、このメニューは他の店より高いのだろうか?とか、食べながら理由を考えてみたり。あと、原価を計算をするのも好きだ。どうやってこの店がこの価格を維持しているのか。できている

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「酒場のぷりンス」Vol.1ぷりa.k.a.星葡萄

「酒場のぷりンス」Vol.1ぷりa.k.a.星葡萄

幼稚園のときから通っていた近所の中華の
豚肉の細切りあんかけスープそば

 ぼくが4才のころから家族に連れて行ってもらっていた中華料理のお店です。実家から歩いて5分。空港の玄関口として、利用されている店で、1階のフロアにはスチュワーデスさんたちがいつもいたのが不思議だった。あとで知ったのだけれど、昔はお店の中で搭乗手続きができたのだそうで、そのまま成田空港にチェックイン。バスで空港まで直行できるか

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「酒場のぷりンス」Vo.2ぷりa.k.a.星葡萄

「酒場のぷりンス」Vo.2ぷりa.k.a.星葡萄

おばあちゃんの家からの帰り道にあるお肉屋さんの
メンチカツ

 老舗のお肉屋さんのお惣菜よりも、おばあちゃんの家に遊びに行った帰りに立ち寄るお肉屋さんのメンチカツが好きだった。注文をするとおばちゃんはすぐに白い衣のついたメンチカツを油にどぼん。揚げたて熱々をほおばると、ぼくは笑顔になった。食いしん坊なぼくだから、冷えたスーパーのお惣菜なんかもってのほか。食卓にあがっても、食べようとしないようなワガ

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「酒場のぷりンス」Vol.3 ぷりa.k.a.星葡萄

「酒場のぷりンス」Vol.3 ぷりa.k.a.星葡萄

ぼくの価値観をかんたんに覆してくれた
手ごねつくね

 通常、成形機で作られた冷凍食品として提供されることが多い、つくね。機械で作ったつくねは均一な味となるが、お店の人が一つ一つ手作りでこさえた手ごねつくねにはそれぞれ個性が出る。かたちも俵状やまん丸なもの、棒状のものもあるし、そもそもひき肉の割合だって違う。コリコリした食感の軟骨が叩き入れられていたり、柚子胡椒が練り込まれていたり、卵の黄身を絡ま

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「酒場のぷりンス」Vol.4ぷりa.k.a.星葡萄

「酒場のぷりンス」Vol.4ぷりa.k.a.星葡萄

じゃがいも、マヨネーズ、きゅうり。完璧なバランス!
もう食べられないポテトサラダ

 田町芝浦口にあった大衆酒場、大平屋酒店は95年の歴史で幕を閉じた。このお店の親戚がやっているお店が品川にあって、酒屋の角打ち大平屋酒店は現在も元気に営業中。

 はじめて知ったのは、近所に住む飲み仲間からだった。ぼくらの間では酒場の先輩なんて呼ばれていたカルチャーにもお酒にも強い人だ。おすすめしてくれる店はハズれ

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「酒場のぷりンス」Vol.5ぷりa.k.a.星葡萄

「酒場のぷりンス」Vol.5ぷりa.k.a.星葡萄

割烹着のおかみがつくる定番の
おばんざい

 駅から徒歩10分ほどと決して立地条件が良いわけではないが、先輩や友人や恋人、大切な人を紹介したいときに通う居酒屋がある。昔はその通り沿いに小さな市場があって、魚、肉、野菜など、なんでもそろっていた。種類も豊富で近くの飲食店が仕入れで使うような市場。そのお店は市場からまっすぐすすんだ道沿いの住宅街にある。開店してから50年以上は経っているはずで、店内の作

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「酒場のぷりンス」Vol.7ぷりa.k.a.星葡萄

「酒場のぷりンス」Vol.7ぷりa.k.a.星葡萄

ヒカリさんの作る忘れられない
チャーハン、餃子、からあげ、ナス肉味噌炒めと裏メニュー

 手と花の隣にある店が、中華ひかりだ。手と花に行くときには必ず目の前をとおるので、ずっと気になっていた。ある日、手と花に行ったら、えらく混雑していたので、いいタイミングだとふらりと訪れたのがはじめてだったかな。メニューは緑の紙に白色の文字に味のある手書きの文字。これは期待できる。マスターの紺野浩晃さん(ひかりさ

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「酒場のぷりンス」Vol.8ぷりa.k.a.星葡萄

「酒場のぷりンス」Vol.8ぷりa.k.a.星葡萄

スナックの理想郷で食べる
フルーツ盛り

 30代になってから、スナックに足を運ぶ機会が増えてきた。 

 文化的な香りがするスナック、文壇バーに出入りするようになって、かれこれ。そんな中でも高松次郎、赤瀬川原平とともに前衛芸術の「ハイレッドセンター」のメンバー中西夏之さんが看板を手がけたことで前衛家ばかりが集まるというスナックだったり。ちょっと偏ってるのかもしれないけれど、自分のアンテナにひっか

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「酒場のぷりンス」Vol.9 ぷりa.k.a.星葡萄

「酒場のぷりンス」Vol.9 ぷりa.k.a.星葡萄

東京のキャバレーで食べた
手作りとんかつサンド

 イベントの企画をやっているからなのか、いろんな遊び場、行ったことない場所に足を運ぶのが好きだ。そういえばキャバレーで遊んだことはないなと、思ったのは東京のキャバレー文化が終焉しつつある、と何かの記事で読んだのがきっかけでいつかは行ってみたいと思っていた。銀座の白いばらが閉店してしまったということもあり、もたもたしているとどんどん店がなくなってしま

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「酒場のぷりンス」Vol.11 ぷりa.k.a.星葡萄

「酒場のぷりンス」Vol.11 ぷりa.k.a.星葡萄

音楽を楽しみながら飲む
極小刺身

立ち飲み焼酎バーでひっかけたあとに必ず立ち寄るのが、商店街にある海鮮居酒屋だ。中に入ると、壁一面にスピーカーや配線が、ごちゃっと設置してあって。なんだこれは!? とおどろく。入り口横にもアンプ類や真空管が積み重ねられており、カウンターには店主のお手製のミキサー。マスターに話を訊くと、昔はとあるミュージシャンの会社に所属していて、その後、都内のジャズ喫茶の音響もや

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「酒場のぷりンス」Vol.12 ぷりa.k.a.星葡萄

「酒場のぷりンス」Vol.12 ぷりa.k.a.星葡萄

せんべろで酔いたい気分の日の
焼酎バー

 焼酎を好きになったのは小倉にいったときだ。電車の駅を一つずつ降りながら、町にあるお店をリサーチしていた。ぼくはあまりネットの記事とかは信用しない。行ってみて、自分の目で見て、食べてみて、判断する。尊敬する人や友だちに薦められるほうがアタリが多いと思う。いい店を見つける嗅覚はあるほうだと思う。

 入り口に会員制と書いてある。ええいままよと店に飛び込んでみ

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