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去った母・残された私たちのウェルビーイング

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死は終わりだが、新しい生の始まりである。これは、亡くなった母と喪に服する家族の物語。看取りが叶わない死の経験や、大切な人の死を共有する家族同士の関係性、ひいては死者と生者が新しい…
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岩手の郷土芸能・鹿踊にさぐる、弔いの念を場に立ち上げ共有する祭りの可能性

岩手の郷土芸能・鹿踊にさぐる、弔いの念を場に立ち上げ共有する祭りの可能性

踊ることは、生きること。
これは昨年2022年に岩手を訪れ、鹿踊にある根源的な思想を学んで、感じたことです。

鹿踊に出会ったときの衝撃と、タイミングに運命を感じ、導かれるままに岩手県を4回ほど訪れました。

岩手県・一関を拠点する京屋染物店さんが開催する、ヘンバイバライという郷土芸能のフェスのようなイベントに参加したり、その後も遠野のしし躍りのモニターツアー(プロデュース:ITLF)に参加するな

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失いたくないものを喪わないために生きる

失いたくないものを喪わないために生きる

「これからどう生きていくか?」
「なんのために生きるのか?」

私たちは生きていれば、幾つになってもこの問いの答えを探す。

問いの答えの解像度が低くて日々もがいているけれど愛すべき身近な人達のおかげで少しずつ上がってきたと思う。

そして、母の死と向き合う中で「これだけは大切にしたい。」という、私の信念が形成されてきたように思う。

自分の生と向き合うことは、大切な誰か/何かの死と向き合うこと。

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去った者・残された者のウェルビーイング 《前編》‐‐「お母さんは、いつまでも私のお母さんだ」

去った者・残された者のウェルビーイング 《前編》‐‐「お母さんは、いつまでも私のお母さんだ」

2022年3月23日、母の4回目の月命日。

昨年の11月23日(火)、私の母は急性心不全で突然この世を去った。まだ60歳の若さだった。母が亡くなる前日は幸運にも、父母私の家族3人で久しぶりに外食をした。買い物もした。明日はおでんをつくるよと言っていた。私の将来の話を沢山した。その日は久しぶりに実家に泊まった。母は普通通りだった。でも、その普通が高血圧で体調悪いのに頑張って耐えてやっとの状態だった

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去った者・残された者のウェルビーイング 《後編》

去った者・残された者のウェルビーイング 《後編》

2022年3月8日 

3月8日は、ミモザの日。そして母の誕生日。
去年ミモザをプレゼントしたら喜んでいた母を見て
「また来年もプレゼントしよう!」
そう思ってたのに、去年が最後になってしまった。

今年の3月8日は、母が亡くなってから106日だった。

「お母さんあのね、今日はわざわざおばあちゃんが、お母さんの好きな芋の煮っころがしを作って家に持ってきてくれたよ。」

「こんなに悲しいのに、こん

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