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自分だけの人生を、自分らしく生きる!(六畳のえる:『今夜、消えゆく僕からたったひとりの君へ』)

六畳のえるさんの『今夜、消えゆく僕からたったひとりの君へ』(スターツ出版文庫)という青春小説を読みました!

常に双子の姉と比べてしまい、自分に自信が持てない優羽と、「俊矢」という別人格になってしまう自分に悩まされている朔也。
境遇は異なるものの、どこか似たところもある2人が、お互いに刺激を受けて成長していく物語に心をぐっと掴まれました。性格とか美しいイラストを見たり描いたりするのが好きなこととか、優羽は私と似たところも多く、とても親近感のある主人公でした。

「自分は姉の劣化コピーでしかない」と思い込んでいた優羽ですが、実はイラストが得意という姉にはない強みが彼女にはありました。優羽が描いたイラストを朔也が気に入ったのをきっかけに、彼女は強みをどんどん伸ばしていきます。私も自分の弱みに目を向けて落ち込む時間よりも、強みを積極的に伸ばしていくことを大切にしていきたいと思いました。

今作を読んで特に印象に残ったところは、朔也が別人格である俊矢を「自分の偽物」ではなく、「ひとりの人間」として受け入れることを決意したシーンです。朔也の意識の変化には優羽も感化されていき、優羽の成長という面でも大きなターニングポイントとなったシーンだったと思います。この先の展開で描かれた優羽の姿は、ネガティブなことばかり考えていた頃の彼女とはまったくの別人のように見えました。

他人と比べてばかりでは毎日がつまらない。自分の人生は自分だけのもの。物語に込められた自分らしく生きるためのメッセージに勇気をもらった良作でした。エンディングも私の予想と違って少し意外だったところはありますが、前向きな気持ちになれる仕掛けもあって読後感も清々しかったです。

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