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「身代わり」として生まれた存在が、「本当の自分」に出会う物語(榛名丼:『レプリカだって、恋をする。』)

榛名はるなどんさんの『レプリカだって、恋をする。』(電撃文庫)というラノベを読みました!

素直すなおは、幼少期から「レプリカ」と呼んでいるもう1人の自分を生み出すことができます。レプリカを利用し、嫌なことから逃げる日々を過ごす素直ですが、そのレプリカ「ナオ」にもひとりの人間としての感情があります。今作はレプリカのナオの視点で、学校生活や恋愛が描かれていきます。

文芸部で一緒になった真田くんへの恋を通して、素直のために動く「レプリカ」ではなく、「ナオ」というひとりの少女として自立しようとするナオの変化に惹かれる物語でした。

真田くんに認識してもらうために髪型を変えてみたり、彼と一緒に行った動物園のチケットを大切にしたりするナオの純粋な恋愛感情にも共感した箇所が多かったです。見た目は素直と同じだけど、気持ちはまったく違うことを様々なシーンから感じることができました。

また本体素直ではなく、レプリカナオの視点で物語が綴られていくというのもユニークで、作品の個性を感じました。もし自分の分身を生み出せたとしても、頼りにしすぎてしまうのもどうかってところですね。今作に登場するレプリカがナオだけではない、というところも作品のいいアクセントになっていたと思います。

今作は静岡が舞台となっているのもあり、私にとっても馴染み深い場所が多数登場しました。駅や日本平動物園など作中の景色が読んでいてより鮮明にイメージでき、青春系の映画のエキストラになったような感覚になりました。

もしかすると私もナオたちとすれ違っていたりして?と思うと、なんだか嬉しい気持ちになりました。今作を読むと静岡に遊びに行きたくなると思います(誇らしげ)。ナオも作中で気に入ってた日本平動物園のレッサーパンダは、想像の10倍可愛いです。

恋するきらめきがいっぱい詰まった優しい青春小説。ナオがこれから文芸部の仲間たちと共にどんな青春を描いていくのか、この先の物語もすごく見てみたいです!

(ちなみに今回のサムネは、作中にも登場した用宗の風景を選んでみました。きっとナオと素直も普段見ている景色なんだろうな…)

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