第144回:「これから」がどうなるかは自分次第(夜野いと:夜もすがら青春噺し)
こんにちは、あみのです!
今回の本は、夜野いとさんのライト文芸作品『夜もすがら青春噺し』(メディアワークス文庫)です。今作も先月紹介した『きみは雪をみることができない』と同様「電撃小説大賞」受賞作のひとつになります。
『きみ雪』は攻めたテーマの青春小説でしたが、今作はどちらかというと王道路線な感じですね。
今作は新しいことへの「挑戦」が印象的に描かれていました。いろいろと変わることが多いこの季節に特にぴったりな作品だと思います!
あらすじ
感想
学生時代に気持ちを伝えられなかった初恋相手・亜霧が同級生と結婚することを知り、ショックを受ける主人公・勝。彼は「神様」を名乗る不思議な女性と出会い、学生時代をやり直すチャンスをもらいます。
まず勝は亜霧との関係で前に進めなかったことで非常に後悔していて、学生生活を満足のいく結果で終わらせられなかった彼の姿はかつての私と重なって見えたところがありました。私も大学生のときに友達作りなどを失敗してしまった経験があるからです。
勇気を出して新しいことに挑戦するって難しいことだと思うし、私も凄く苦手です。勝も亜霧とせっかく仲良くなれても肝心な「告白」を避けてしまったため、何度過去に戻れても結局は同じ結果となってしまいました。
だけど「神様」や友達の厳しいけど温かな言葉に支えられ、物語のクライマックスではこれまでの自分を乗り越えようと亜霧への「告白」という新たな挑戦を勝は選びます。
亜霧への告白によって勝が手に入れた未来を見て、私も彼のように自分を変えたい、新しいことにも積極的に挑戦できる人になりたいという気持ちが高まりました。
また勝は、彼の恋を後押しするような言葉をかけてくれる仲間に恵まれていると感じました。
前向きな気持ちになる言葉、自分が知らない自分に気付かせてくれる言葉とたくさんの勝に向けたアドバイスが作中では多く登場しました。一方で他人の言葉をどう活かすか、成長につなげられるかは自分次第なんだなと思わされた箇所もありました。
正直途中まで似たようなシーンが多く、読み飽きてしまったところもありました。だけど最後まで読んで今作の本当の「良さ」に気付くことができ、身近な変化の多い今の季節にこの物語と出会うことができてとても嬉しく感じました。
また今の私が読んでも充分学ぶことはあった今作ですが、もし学生時代にこの作品があって読んでいたら、当時の自分は何を思ったのかとても気になりました。
作中のようなタイムリープは残念ながら実在しませんが、自分の気持ち次第でこれからは充分に変えられることを実感できた良作でした。
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