第48回:椅子の中の恋!
こんにちは、あみのです。今回の本は、江戸川乱歩の名作『人間椅子』の乙女の本棚シリーズ版です。
今作は、乱歩の作品の中でも特に好きな作品。一度読んだことのある名作を素敵なイラスト付きで読んだら、どのような楽しみ方が生まれるのでしょうか?
内容を知っている作品も、出版社や作品のアプローチ方法が違うだけで、また新たな良さを発見することがありますよね。
あらすじ(巻末の既刊リストから引用)
私の膝の上には、いろいろな人が入れかわり立ちかわり、腰をおろしました。
作家である佳子に届いた1通の手紙。
「奥様」と始まるその文章には、ある椅子職人の生活が綴られていた。
感想
「人間椅子」として椅子の中に入り、犯罪を企んでいた椅子職人の男。しかし、後に椅子に座る人々を観察するという「快楽」の感情が生まれていく。
数年前に初めてこの物語に触れたとき、この男の変態的であり滑稽でもある趣味に恐怖を通り越して、もはや笑ってしまったことをよく覚えています。椅子の中に忍び込んで、盗みを働こうとする自らの姿を「やどかり」に例えた箇所も面白いです。
文章だけだと「滑稽な恋愛小説」という印象が強かった今作。そんな物語にホノジロトヲジさんの怖くも美しいイラストが加わったら、どう変貌するのか。
今作のカバーイラストを見たとき、この『人間椅子』はなんだかホラーっぽい表現をしているなという印象を持ちました。
確かにゾッとする演出が作中にはありますが、私はこの物語に「笑い」のイメージを持っていたので、「怖さ」を全面的に出したホノジロトヲジさんの表現を見てとても新鮮味を感じました。
私がもしこの作品のイラストを担当することになったら、ホノジロトヲジさんとは全く違う表現をすると思います。『猫町』のときにも感じた、担当しているイラストレーターさん側の解釈をよく味わうことができる1冊でした。
恋愛小説、ミステリー、ホラーの魅力が一度に楽しめる名作。サプライズ的な演出も楽しいので、ぜひ読んでみてください!
今回も感想を読んで頂き、ありがとうございます!私の今作に対する思いが少しでも届いたら幸いです。
(今回の記事タイトルは、作中の印象的なフレーズを引用しました。)
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