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ショートショート

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500字〜3,000字程度の『オチ』のあるお話を掲載しています。
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ショートショート「サブスク彼女」(読了時間3分)

ショートショート「サブスク彼女」(読了時間3分)

 サブスクリプション、略して「サブスク」と呼ばれるサービスがずいぶんと増えてきた。
 元々は音楽や動画の配信サービスなどで使われ始めた言葉で、定額で継続的に課金すればサービスが使い放題になる。

 サブスクは今では様々なジャンルに広がっている。車や飲食店、オモチャのサブスクなんかも存在する。
 そんな中で、僕が今ハマっているのが…

「お待たせ!」

 弾むような声で、彼女が僕に話しかける。

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ショートショート「時間診療所」(読了時間3分)

ショートショート「時間診療所」(読了時間3分)

「こんにちは、初診なのだが…」

 診療所のドアをくぐり、サラリーマン風のスーツの男が顔を出す。

「噂を聞いて来たのだが…ここでは時間の治療ができるとか」

 そう、ここは時間診療所。時間が狂ってしまった人を治療する診療所だ。
 白衣を着た医者の男が答える。

「ええ、現代は何かと時間がおかしくなる方が多いので。多いのは「短時」。時間が短くなってしまう症状です」
「時間が短くなるなんて…」
「視

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ショートショート「結婚式ゾンビ」(読了時間1分)

ショートショート「結婚式ゾンビ」(読了時間1分)

 私たちは彼の家で映画を見ていた。色気も何もない、ゾンビ映画。奥手な彼とのデートはいつもこんな感じだ。

「ゾンビって言っても色々いるよね」

 突然、彼がそんなことを言い出す。

「まあ、そうね」
「この映画だとゾンビに噛まれたら感染して、ゾンビになる」
「うん」
「でも他の映画だと、触れただけで感染する接触式のゾンビもいる」
「そうね」
「それ以外にもさ、呪われてゾンビになるとか、墓に埋葬され

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ショートショート「トレース疑惑」(読了時間3分)

ショートショート「トレース疑惑」(読了時間3分)

「誠に申し訳ありませんでした」

 記者会見で彼は頭を下げながら、実際には怒りに震えていた。
 彼はイラストレーターだった。しかしとあるツイッターでの指摘から彼の運命は大きく変わることになる。

「彼の作品は、他人の写真やイラストをトレースしたモノではないか」

 彼が描いた一枚のイラストが、どこかの誰かが撮った写真と寸分たがわず構図が一致していたのだ。インターネットは大騒ぎになった。

 他のイ

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ショートショート「はなしのタネ」(読了時間2分)

ショートショート「はなしのタネ」(読了時間2分)

 今回のアイデアも採用されなかった。
 僕は打ち合わせを終えて、うなだれながら出版社の外へ出る。

「困っているみたいだね」

 道に座っていたスーツ姿の男が、急に声をかけてきた。

「君だよ、そこの君。アイデアに困っているんだろう」

 無視して通り過ぎようと思っていた僕は、アイデア、という言葉で足を止めた。

「アイデアに…まあそうだけど」
「マンガかい? 小説かい? 出版社から出てきたろう。

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ショートショート「完璧な人工知能」(読了時間4分)

ショートショート「完璧な人工知能」(読了時間4分)

  
『田中さま、おはようございます。起床の時間です。今日は朝から会議ですので、そろそろ起きてください』

 スマートフォンからの声で僕は目を覚ます。時間を見ると6時。

「いやいや、まだ早いよ、あと1時間は寝ていられるだろ」
『いいえ、田中さまはまだチェックされていませんが、昨日帰宅後、朝8時からの会議が招集されています』
「・・・その会議は出席しないって言ったら?」
『会議を招集されているのは

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ショートショート「笑顔のクリスマス」(読了時間3分)

ショートショート「笑顔のクリスマス」(読了時間3分)

 赤い服、白いヒゲ、大きな白い袋。サンタクロースが聖夜の空を駆けていた。もちろん、赤いお鼻のトナカイが引く、ソリに乗って。

 サンタクロースにとっても、この寒空の下、世界中の子供達にプレゼントを配るのは簡単な作業じゃない。でも彼は、風邪を引いていても、持病の腰痛が酷くても、毎年必ずプレゼントを配る。理由はたった一つ。子供の笑顔が好きだからだ。
 サンタクロースは、今年もプレゼントを配り始めた。ま

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ショートショート「株式個人」(読了時間5分)

ショートショート「株式個人」(読了時間5分)

「では、ミキオくんは現在の恋人とは別れ、社長のお嬢さんとの結婚を目指して行く事に決定しました。次に、今期のミキオくんの決算報告ですが……」

 口を挟む暇も無く、僕の株主総会は進む。今回の議題は結婚についてだ。どうやら社長のお嬢さんと結婚する方針に決まったらしい。恋人のマキと別れたくはなかったが、株を持っていない僕に発言権は無いのだ。

 僕の株が公開されたのは、僕がまだお腹の中にいる頃だ。遺伝子

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ショートショート「コンビニ里帰り」(読了時間3分)

ショートショート「コンビニ里帰り」(読了時間3分)

 最近のコンビニは何でも売っている。昔は色々な「形あるモノ」が売られていたが、最近では「形のないサービス」も多く売られている。
 チケットの購入から宅配便の手配、それからこんなものも。

「これとこれと、肉まん1つと、あと里帰り5,000円分」

 レジの店員が他の商品のバーコードを読み取った後、面倒くさそうにiTunesカードの隣にある「里帰りカード」のバーコードを読み取る。ピッと音がして、レジ

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ショートショート「○○の魔神」(読了時間3分)

ショートショート「○○の魔神」(読了時間3分)

 僕が居間にあるツボを開けると、中から魔神が出てきた。

「わはははは、貴様の願いを一つだけ叶えてやろう!さあ、願い事を言……」

 魔神が最後まで台詞を言い終わる前に、僕はツボのフタを閉めた。そして、大きなため息をつく。もったいないと思われるだろうか。
 確かに普通の人ならば、願いを叶えてもらいたいと思うだろう。しかし、僕の場合は事情が違うのだ。

 ああ、本当にやってられない。
 僕は気を紛ら

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ショートショート「違法の冷蔵庫」(読了時間1分)

ショートショート「違法の冷蔵庫」(読了時間1分)

 目の前の怪しい男の傍には、古めかしい冷蔵庫がある。噂を聞いて以来、俺が探し続けていたものだ。

「これが例の冷蔵庫か? 普通の冷蔵庫にしか見えないが」
「そうだ。ここに来たってことは、アンタ、何か違法なことをやっちまったんだろ? この冷蔵庫は、アンタの『違法』を冷蔵してくれる」
「冷蔵するとどうなる」
「冷蔵している間、アンタは警察に追われる心配も無ければ、捕まることも無い」

 そんなことがあ

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ショートショート「数学ギョウザ」(読了時間1分)

ショートショート「数学ギョウザ」(読了時間1分)

 彼女は数式でしか会話をしない。

『(ひき肉+キャベツ+ニラ+皮)×蒸し焼き≠ギョウザ』

 紙に書かれていたのは不等式。台所にはギョウザっぽい残骸がある。

「作るの失敗したの?」

 彼女は頷く。そして数式に『+あなた』と書き加え、≠を=にして等式に変えた。

「俺が作れ、ってことね。分かった」

 この不思議な彼女に魅力を感じて付き合い始めたけど、正直、限界だ。数式での会話もだが、そもそも

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ショートショート「空飛ぶストレート」(読了時間1分)

ショートショート「空飛ぶストレート」(読了時間1分)

「ううむ、この状況は…どのストレートが空を飛ぶのだ、そして何がオチになるのだ!」

 ここはショートショート大学。創作と現実の狭間にある大学だ。そこで教授は頭を悩ませていた。
 ショートショートnote杯の読者にはお馴染み…このお題は、どんな「ストレート」が空を飛ぶかが見所の一つだ。しかし教授のいるこの大学ではストレートが渋滞していた。

 何せ、野球部のピッチャーは直球で攻めているし、サラサラロ

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ショートショート「アナログバイリンガル」(読了時間1分)

ショートショート「アナログバイリンガル」(読了時間1分)

「そうか、俺は死んだのか」

 棺桶の中の老人は確かに俺だ。空中からそれを見ている。
 周りに妻と娘がいる。涙はない。妻は1枚のアナログレコードを持っていた。それは俺が墓場まで持ってきた、秘密のアナログレコードだ。

「お父さん大往生よね。人生ロックだなんて言いながら」
「そうねぇ」
「プロポーズ、指輪もなしでしょ。自分の作ったアナログレコード1枚渡しただけ。しかも曲名が『愛なんて知らねぇ』」

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