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【図解でさくっと】貿易の話だけど電気自動車の話になる~日本の貿易内容(貿易統計)を詳しくみてみよう④~

 前回に引き続き「日本の貿易内容(貿易統計)を詳しくみてみようシリーズ」の第4弾をお届けします。

 
前回は、地球温暖化の抑制にはCO2が地球に蓄積しないようにすること、つまりはカーボンニュートラルが重要であることが分かりました。人間の活動でCO2を多く排出するのは、発電と陸路の輸送(普通の自動車の運転含む)でした。なので、再エネ(脱火力発電)と車の電動化(≒EV化)が非常に重要な施策であることが改めて理解できたと思います。
 じゃあ、その再エネ促進と電動化(≒EV化)はちゃんと進んでいるのでしょうか?その点を今回は見ていきたいと思います。特に電気自動車については少し深く見ていきたいと思います!あれ?このシリーズは貿易の話ですよね?笑


-ここからが内容-
スライド中心なのでサクッとみれます


地球温暖化を抑制するのに重要な2つの施策である、
再エネ推進(脱火力) と 車の電動化(≒EV化)は進んでいるのでしょうか?

先進国でも原発を推し進めるフランスを除いては全く脱火力が進んでいません。日本は原発停止の影響で、先進国の中でも特に化石燃料による火力発電に依存しています。

シェール革命が起こった米国やカナダを除き、先進国は基本大なり小なり化石燃料を他国に依存してます。日本はその中でも特に低い自給率となってます。なので、この化石燃料の安定調達は、日本は他国に比べ非常に重要な課題となってるわけです。

では、CO2排出抑制の2つ目の切り札である電気自動車について少し見ていきたいと思います。

そもそも、電気自動車ってエコなのか?
という、そもそも論をみてみましょう!

走行距離、耐用年数、国の電力事情などの条件次第なので明言は避けますが、電気自動車(EV)のがエコになる「 ポテンシャル 」は高いです。少なくとも、その国の発電がエコ(再エネや原発が多い)なら、確実にエコになるといえます。
たまに嘘情報で、EVは全然エコじゃないという情報をみますが、それには使用段階のCO2排出が無く、車を作るまでのCO2しか表示がありません。車がCO2を最も出すのは使用段階 ( =普通に運転しているとき )です。車を作るまでだとEVは電池製造に非常に多くのCO2を出すのでエコではないのはその通り。これから欧州ではこの電池に対するCO2規制も始まりますので提言していく事に期待(欧州電池規制)。

じゃあこの電動化の進捗はどうかというと、この2020年から一気に電動車(EV+PHEV)が売れました。特にCO2を最も排出する中国がそのけん引役です。

でも、その進捗が十分かというと不十分です。まだ新車の14%しか電動車になってませんし、2030年でも40%と60%はまだ普通のガソリン車です。

補足ですが、もちろん電動車のけん引役はEVです。
ただ、PHEVも2030年には今より2.5倍も増えるので大事なけん引役であることは変わりません。

今後の進捗予想ですが、主要国や地域では2030年に新車に対する電動車が50%を超えます。しかし、日本は現状3%で、2030年にも29%と先進国の中では明らかに遅れています。EVが最も売れる中国では現状でも新車の30%がEVと他国よりも進捗が非常に早いといえます。

じゃあなんで進捗が遅いのかといえば、EVの値段が高いからです。コストだけで見ても普通のガソリン車の1.5倍程度。その主要因は、コストの30~40%を占める電池にあります。

EVが高いのに中国の進捗が良いのは、単純に中国のEVが安いからです。それはコストの大半を占める電池が安いから。加えて、一般の人が買いやすい小型車にフォーカスした開発をして、小型車の価格を安くしたことも大きいです。欧米は儲かる中~大型車にフォーカスしてるので真逆。日本でも日産のサクラが(補助金込みで)安いために、非常に売れたのと同じ現象ですね。

中国の電池が安いのは、サプライチェーンの大部分を中国の中で手中に収めているからです。世界最大の車載電池のCATL(中国)もサプライチェーンの川上~川下を取り込む事で安価に電池を作ってます。
これだけ電池サプライチェーンを中国に抑えられていると、EV・電池は中国無くしてもう作れない状態です。政治思想が大きく異なる中国とうまく付き合っていく事も非常に重要といえます。

じゃあ電池はこのまま安くなって、EVもみんなが手が届くようになるか?といえばそうではありません・・
ずっと下落してた電池価格は、初めて2022年で上昇。上昇したのは、EVがたくさん売れた事で電池需要が増加したためです。今後もEVがたくさん売れる事を考えると、電池はそこまで値段が下がっていかない気がします。

まあ初期費用(車体価格)は高くても、トータルで見たら壊れにくいEVは安いんじゃないの?と思った方は鋭いです。条件次第ですし、ガソリン代が高く、補助金が出る今はEVのがガソリン車より安くなる可能性があります。

じゃあEVのが総費用で安い今、EVだどんどん売れていくか?といえばそうではないです。やはり公共で使える充電器の拡充が必要です。
公共で使える充電器が多いほどEVがたくさん売れる傾向がはっきりと上の図から分かります。充電の心配がなくならないとEVは普及していかないですね。その点でも日本は非常に遅れているといえます・・・

脱炭素 ( 再エネ促進、EV普及 ) したいがなかなか進まず、今後もしばらく化石燃料に頼るしかない日本。完全に資源を海外に頼る日本は、CO2排出が多い石炭であれ、地政学リスクが伴う原油であれ、LNGであれは幅広く安定的に調達する事で経済を維持しようとしている事が、今までの流れで分かったと思います。またその重要度が他国に比べ高い事も。でもCO2も下げないといけない、その苦しい状況も、それを打破すべく政府が原発再稼働したい気持ちも。
どのようにカーボンニュートラルに「移行」していくか?その道筋は一つではないが確実に歩んでいく事が、CO2を世界で5番目に排出する日本には逃れられない責任となってますね。
この移行期(EVが普及しにくい条件下)に、HEVやPHEVなどで対応していくトヨタの「マルチパスウェイ」戦略も今までのデータをみても非常に理にかなってると個人的には思います(EV熱が強すぎて評価されないのが残念・・)。

とはいえ、この化石燃料の調達が貿易上非常に重要であることが、分かってもらえたと思います。寄り道したかいがありましたかね?笑

という事で、ようやく貿易っぽい話に戻します!

今回はここまでとなります!
次回は、これだけ重要な化石燃料の供給(生産)どうなってるのか?をみていきたいと思います。

ありがとうございました。
次回もお楽しみに!

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