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書籍紹介『キリン解剖記』

こんにちは、天音です。

『キリン解剖記』を読み終わったので紹介します。

この本は著者の郡司芽久ぐんじ めぐさんが、東京大学に入学してからキリン博士になるまでの軌跡を記しています。

エッセイに分類されるんでしょうかね。
とても読みやすい文体でした。

読みやすいけれど、内容は濃いです。
著者が大学に入学してから何を研究したいかを探る葛藤、自身の知識不足に対する悔しさ、そしてキリン解剖の綿密な描写。

面白いのは、解剖のところを特に省いたりぼかしたりしているわけではないのに、生々しくなかったことです。
そのキリンの個体名やどこでどう生きていたかもきちんと書かれていて、「メスを入れる」などの表現もあるのにグロさがなかった。そういったイラストがなかったからかな。
わたしはかなりビビりなので研究関連の書籍はよくこういったことに怖気付いてしまうんです。
しかしこの本では全くビビらなかった。
肉が出てくるのに爽やかな本という印象。

何よりも著者の郡司さんのキリン好きに圧倒されます。
どのページを読んでいても、「この人は本当にキリンが好きなんだなあ」という感想を抱き続けていました。

帯にある通り「ごめんキリンが死んじゃって……」と、どんな予定が入っていようともキリンが亡くなれば解剖に駆けつける郡司さんは、大学院在学中に「キリンの8番目の“首の骨”」を発見しました。
基本的に哺乳類の首の骨は7個しか動かないらしいです。しかしキリンは、あの長い首の可動域を広げるために胸髄の一部も動くんだとか。

その研究では多くの苦悩や困難、試行錯誤があり、その一端をこの本では垣間見ることができます。

「幸運は用意された心にのみ宿る」。

ひたむきにキリンを見つめていた郡司さんだからこそ、結果を出せたんだなと納得してしまう本でした。

小学校以来、動物園に行ったことがなかったんですが、もう一度キリンをじっくり見てみたくなりました。


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