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夢見モグラは空を待ち侘びて 60日目

夢見モグラは空を待ち侘びて 60日目

見たこともないくらい大きな、
それでいて真っ黒な天井が降ってきたが、
車の屋根がその衝撃を守ってくれた。
モグラは狭い狭い暗闇に閉じ込められていた。
自分の息を吸う音と、時折水滴が垂れる音がするだけ。
長い長い年月に感じていたが、
実際には1週間したところで、
大事そうに覆い被さる父の下で、
命からがらのところを見つけ出してもらった。
そこからまたぐっすりと長い眠りについて、
次に目を開けた瞬間、

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夢見モグラは空を待ち侘びて 49日目

夢見モグラは空を待ち侘びて 49日目

モグラは目が覚めると、
掛けていた毛布が部屋の片隅まで吹き飛ばされており、
ブルブルと震えた状況で朝を迎えた。
鼻から透明な液体がストンと落ちてきて、
それを定期的にズルズルとすすりながら
両腕を擦り合わせ、
小刻みに足をジタバタと震わせたまま、
しばらくそれを抑えきれずにいた。
その日出された食べ物を、
3食ともに、
全て食べきれずに残してしまった。

モグラはおでこに手を当てると、
何だか少し

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夢見モグラは空を待ち侘びて 35日目

夢見モグラは空を待ち侘びて 35日目

二人組の長い質問が終わると、
モグラは四角い箱の中に乗せられ、
それは一度大きくブルン身震いすると、
今度はブオーンとすごいスピードで走り出した。
周りの景色もグルグル変わっていって、
身を乗り出してそれを目で追うので精一杯だった。
光って、回って、動いては、揺れて、
土や岩や砂ばかりの世界とは違う、
沢山の色に溢れた世界に、
モグラは見惚れていた。

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夢見モグラは空を待ち侘びて 22日目

夢見モグラは空を待ち侘びて 22日目

モグラはとにかく鼻が利きすぎるほどに利いた。
ほとんど目が見えなくとも、そこに誰がいるかははっきりわかっていたし、
隣の家の、そのまた奥の家の晩御飯まで、
そのメニューを嗅ぎ分けることができた。
危険を察知することも容易かったが、モグラはそれに興味を惹かれてしまうのでその点は割引く必要があるけれど。
ただ、モグラはなぜ自分の鼻がなぜ他の生き物と違い、
こんなにも変な形をしているのか気になって仕方が

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夢見モグラは空を待ち侘びて 19日目

夢見モグラは空を待ち侘びて 19日目

日に日に新しい道が増え、
モグラの行動範囲が広がると、散歩コースは自由自在に。
川の中洲のとんがった屋根の家の下に、
ワンワンっと吠えて、グルルっと唸る、
大きな生き物が暮らしているのが目に留まった。
「あそこに住んでいるのはとても悪い奴だから近づいたらダメだよ。」
通りすがりの風が噂していったが、
モグラはどうしても興味が止められなくて、
その”ワルイヤツ”に話しかけた。
するとワンワングルルが

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夢見モグラは空を待ち侘びて 9日目

夢見モグラは空を待ち侘びて 9日目

モグラは本の中に、
沢山の料理の写真が出てくるものを見つけた。
どれもこの地下の世界では見たことないものばかりで、
眺めているだけで口から涎が止まらなかった。
その中でもとりわけ”ケーキ”と呼ばれる、
色鮮やかな食べ物に目を奪われた。
誰かが言っていた。
「ケーキっていうのは、とんでもなく甘くて、びっくりするぐらいふわふわして、
とろけるように柔らかくて、ほっぺたが落っこちてしまうんだよ。」
モグ

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夢見モグラは空を待ち侘びて 8日目

夢見モグラは空を待ち侘びて 8日目

モグラが地下を流れる川の近くで寝そべって本を読んでいると、
顔に何か冷たいものが落ちてきた。
慌てて手で拭いながら、開いていたページが滲んでしまったのを憤り、
何もない天井を睨みつけた。どうやら上から水が漏れているみたいだ。
やい、と凄んで見たものの、返ってきたのは自分の声。
モグラは意地になってその場にもう一度寝転び、本を読み続けた。
今度はプーンと耳元で音が鳴って、
次第に首のあたりがとても痒

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