マガジンのカバー画像

読書記録

16
毎月書いている読書記録や、ときどきしっかりめに書いている感想文をまとめたマガジンです。
運営しているクリエイター

#読書記録

【読書記録】2024年5月

【読書記録】2024年5月

小説『星へ落ちる』金原ひとみ

登場人物の数だけその恋愛の真実があり、当人たちにしかわからないこと、また当人たちにだけわからないことがある。遠くからみるとどれも等しく光って見える「星」のなかで自ら光っているものはない上、近づいてみてみると岩肌がごつごつとしていたり、ツルツルとしていたりと個体差がある。異性やその人との関係を俯瞰することの不可能性について思いを馳せた。

ビジネス『プロジェクトのトラ

もっとみる
【読書記録】2024年2月

【読書記録】2024年2月

2月は意識的に陰鬱とした小説を読んだので、かなり精神が陰鬱としていました。3月はもう少し思想系の本を読んで、精神をニュートラルに戻したいです。

これまでの読書記録をまとめたマガジンはこちら↓

2023年4月から現在までに読んだ本のジャンル別一覧はこちら↓

小説『死にたい夜にかぎって』爪切男

ドラマを観て面白かったので原作小説も。どんなに衝撃的でつらい出来事も「まあ、いいか」、もしくは独特の

もっとみる
【読書記録】2024年1月

【読書記録】2024年1月

2024年は年間60冊と目標を立てたので、月5冊以上のペースで読んでいきます。これまでの読書記録は↓のマガジンで!

エッセイ『社会人大学人見知り学部 卒業見込』若林正恭

最初の方は面白いのに、後々失速していくのはどうしてか。上手く書こうという見栄や我欲が出てくるためか。角が取れていって丸くなってしまった文章は、どうにも目が紙面を滑ってしまう。悲しい。でも「良い文章が出て来るかも!」と期待して最

もっとみる
【ジャンル別】読了&読書記録済み一覧

【ジャンル別】読了&読書記録済み一覧

読んだ本の一覧をまとめます。
冊数や読書の目的等の事情から、客観的にMECEでない分類になっているのがなんとなく気に入らないためその内編集します。

下記マガジンに読書記録を書いている本の一覧です。

小説2023年

『なんとなく、クリスタル』田中康夫

『彼女は頭が悪いから』姫野カオルコ

『女のいない男たち』村上春樹

『論理と完成は相反しない』山﨑ナオコーラ

『正欲』朝井リョウ

『あの

もっとみる

【読書記録】2023年12月

12月の読書記録です。
4〜11月の読書記録はこちらのマガジン↓

短歌『はじめての短歌』穂村弘

「生きる」ことと「生きのびる」ことの違いについて書いてあるのが良かった。社会化されていない言語の領域、「生きる」ための言葉を持つことへの魅力が語られておりとても良かった。募った短歌の改善例、添削案ではなく「改悪例」を提示する形で短歌の方法論について語る形式が優しくて、新しくて、面白い。

『短歌とい

もっとみる
【読書記録】2023年11月

【読書記録】2023年11月

11月の読書記録です。
4〜10月の読書記録はこちらのマガジン↓

哲学・思想等『現代思想入門』千葉雅也

デリダ、ドゥルーズ、フーコーについて「何を脱構築したか」を軸に解説した後、ニーチェやマルクスに触れつつラカン派精神分析まわりの現代フランス思想を概説する、という内容だった。体系的にまとまっていて良かったが、頭が鳥なので体系的に知識が得られたかというと否である。机に向かって年表などに落とし込み

もっとみる
【読書記録】2023年10月

【読書記録】2023年10月

10月の読書記録です。
4〜9月の読書記録はこちらのマガジン↓

小説『彼女は頭が悪いから』姫野カオルコ

実際にあった東大生による強制わいせつ事件をもとに書かれた小説。「あまりにも露悪的に書きすぎ」「実際の学校について細かく描写する割に事実誤認が多すぎ」のような批判が多々ある。その一方で、描写されている悪の幾分かが事実であるためにそのような批判がなされるのだと思う。
日本の学歴社会を描いていると

もっとみる
【読書記録】2023年7月

【読書記録】2023年7月

7月の読書記録です。
4〜6月の読書記録はこちら↓

ビジネス『イシューからはじめよー知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人

『仮説思考』をはじめとした思考法系の本と大体同じような内容。
比較的癖が強く、向き不向きがありそう。

『起業の科学 スタートアップサイエンス』田所雅之

たくさんのフレームワークが紹介されている。これを一読した後、巷に溢れる多様なスタートアップを再度みてみると新たな学び

もっとみる
【読書記録】2023年9月

【読書記録】2023年9月

9月の読書記録です。
4〜8月の読書記録はこちら↓

文フリ購入品『土日の手引き』1room

↑のnoteの方が大阪の文フリで頒布されていた、『土日の手引き』を購入しました。精神のほのぐらい人なら思わず「わかる……」となってしまうような思考の逡巡が軽妙に書かれており、読み物として面白かったです。
そのうえ実用性もまたあり、不思議な読み心地でした。

以上です。
お仕事がなかなか立て込んで時間が作

もっとみる
【読書記録】2023年8月

【読書記録】2023年8月

8月の読書記録です。
4〜7月の読書記録はこちら↓

思考法『論理トレーニング101題』野矢茂樹

異論と批判の際について書いてある最後の章が特に良かった。「あ、この間こういう会話しちゃったなー、、、」と内省が促される。101題それぞれ真面目に取り組みつつ読み進めると合計で10時間程度かかり、そこそこにヘビーだった。

ところで、「頭が良い人は難しいことをわかりやすく伝えられる!」言説に私は割と否

もっとみる
【読書記録】2023年6月

【読書記録】2023年6月

今月の読書記録です。

4月、5月の読書記録はこちら。

ビジネス『コンサルティング会社 サバイバルマニュアル』メン獄

エッセイや自伝のような感じで臨場感をもって読み進めることができる。読み進めるうちにキャリアの作り方や働き方、成長の仕方のイメージが掴めるので良い。コンサルのお仕事本のなかだと少し異色なので、苦手意識がある人でも読めるかも。

小説『傲慢と善良』辻村深月

とても良かった!救済は

もっとみる
【読書記録】『傲慢と善良』

【読書記録】『傲慢と善良』

要約:いいからとりあえず、結婚しよう!

 大澤(2008)が定義する「不可能性の時代」とは、私の理解に依ればこうである。「第三者の審級」あるいは「象徴界」の衰退によって自由が規範化され、翻って自由であることそれ自体を強いる「第三者の審級」が発現する。そして、この「第三者の審級」の再帰性に耐え兼ねた人間は、「現実からの逃避」であるバーチャル空間への没入よりもむしろ、「現実への逃避」であるリストカッ

もっとみる
【読書記録】2023年4月

【読書記録】2023年4月

読書記録です。
今月は研修中ということもあり、比較的業務へのキャッチアップに関連する本を読む機会が多かったです。
「社会人になったら3日で1冊読むぞ!!!」くらいのモチベでいたのに、結果はその1/3程度しか読めていなくて悔しいです。
ジャンルごとに簡単な感想と共にまとめます。

ビジネス書『考える技術・書く技術』バーバラ・ミント

ロジカルシンキング本の定番。特に第5章のロジカルシンキングにおける

もっとみる