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職業的にどうなのそのタトゥー*後編*

                 **前編からの続き**

突然のことで
私は戸惑いましたが
助けにいこうと 
立ち上がろうとして
気づいたんです。

何って言って声をかけるんだ英語で?
「大丈夫ですか? 救急車呼びますか?」
と言ったところで

911に状況を説明できるほど
英語が流暢でない。

又は 
「大丈夫ですか? 何かお手伝いしましょうか?」
と言って
このカップルに
状況を色々説明されても
理解出来るだろうか...

私が行っても
逆に足手まといでは...
など 多くの心配が浮かんで
立つに立てないでいた間

約3~4秒

でも その間
他の だーーーれも 
このカップルの元に行って
助ける人がいない。

店内のスタッフですら
チラ見してるだけで
何もしないのだ。

一瞬
訳がわからなくなる。

もしかして
これはドッキリTVか?
だから皆動かないの??

それとも
このじーさんのハプニングは
いつもの光景なの??

どっちにしろ
訳がわからない。

ようやく
心配そうにじーさんを見ていた
私の隣のテーブルの学生風の男性が
立ち上がり
そのカップルの元へ行こうとしたの。

すると
そのじーさんと一緒にいた50代の女性が
「He is ok, thank you」

そう言って
慌てる様子もなく
倒れたじーさんと話しをしている

いよいよ
訳がわからないが
連れの女性が
「大丈夫」
と言うのなら 
ギャラリーの我々は
それ以上何も出来ない。

その間も
その女性は
倒れたじーさんと話をしたり
手をさすったりしている。

じーさんも 
痛みもがくでもなく
叫ぶでもなく
目を閉じている。

ふと
じーさん息してないんじゃないか!?
と思ったが
時々 顔をあげたりしている。

大丈夫だ。生きている。

しばらくすると
一緒にいる女性が
その場を離れ
どこかへ行ってしまった。

直ぐに戻ってきて
枕を数個小脇に抱えていた。

スッゴイ 準備いいじゃん!!

ヤッパリ このハプニングは
日常的にあるのか??

そして 
やっとスタバのスタッフの一人が
女性と話しをしていた。

数分後
サイレントともに 
救急車到着。

沢山の枕に
包まれる状態で
床に横たわっているじーさんの元へ
救急隊員がやってきた。

そこで ようやく
ドッキリTVではなかったんだね
という気持ちになった。

一人の隊員が
じーさんに声をかけながら
ストレッチャーに
乗せる準備をしている

私は 
その隊員に釘ずけになってしまった。
タトゥー多さよ!!(多すぎぎでしょ)
半袖のシャツから見える
その両腕は
びっしり
タトゥーで埋め尽くされている

この国で
タトゥーを入れている人は沢山いるので
個人の自由で良いと思う

だけど 
自分が助けられる立場として考えた際
日本人の私は
ヤッパリちょっとビビルかな
って思った。

そして
この隊員
指 一本一本に
アルファベットの
タトゥーが彫られてる。

読んで ビックリ!

「D」「E」「A」「D」

「DEAD」: 「死」!!!!?

しかも
太字で。
離れて座っている私でも
ハッキリ見えた。

死ーーーーーーーっ???!

ヘイ!  ヘイ!!  ヘイ!!! ヘイ!!!! ヘーイ!!!!!


 ちょっと それは 
流石に ダメでしょ!

人を助ける立場の人間が
その言葉を彫ったらいかんでしょ。

どーなってるんだこの国は
本当に彼らは救急隊員なのか?
えっ!?
ちょっと待って
もしかして 実は 死神!!?

私の心のざわつきをよそに
その隊員は
手際よく 
じーさんをストレッチャーへ乗せ
救急車で行ってしまった。

気付けば
あのギャル風年配女性も
いなくなってた。
最後まで 側にいたのだろうか?
タトゥー隊員が気になりすぎて
彼女の存在は
視界に入って来なかった。

店内は
元の静かなスタバに戻った。


あれから数年が過ぎた。

あの後 
そのスタバには
1度も行ってない。

謎が多すぎた。

なぜ
 誰も直ぐに助けなかったのか
店員さえも対応しなかった
(この国に移って、困ってる人がいたら 直ぐに 手を貸す人達を多く見ていた為、誰も動かないのが 不気味だった)

ドッキリTV?
日常の風景?
タトゥー隊員は本物?

今でも
時々思い出すが
本当に不思議な体験だった。


どーでもいいことだが
結局の所
あのじーさんと女性の関係は
なんだったんだろう。

ただ
死神....っぽい救急隊員に
運ばれたじーさんが
あの世でなく
適切な場所に運ばれ
無事であることを祈る。

最後まで読んで頂きありがとうございます

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