『欲現』
毎朝、君はここのカフェで、コーヒーを飲む。
ゆっくりと愛おしそうに、両手でカップを包む。
なんて可愛いんだ。それが半年前の一目惚れ。
君は僕に少しも気づかないけれど、それでいい。
欲を出しても、良いことなんてきっとない。
あ、彼女が店を出る。ハンカチが落ちた!
一目散に走って拾い、彼女を呼び止めた。
「何よ、この汚い犬!私のハンカチ咥えて…
そんなの要らないから、来ないで!」
ほらね、欲を出しても良いことなんて無いんだ。
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