『呑怖』

「俺も有名になったよなぁ。そう思うだろ?」

「そうね。テレビで観ない日はないわね」

「そんなに凄いことしたわけじゃないのにな。

   こんなに騒がれちゃってるよ。ま、いっか」

呑気な顔をして、昼間からビールを飲む男。

食事の時にしか、手足のロープを外されない私。

別れ話に激怒した彼に、監禁されて既に二週間。

「お、お前の母親出てるぞ。どうか生きてて

   だってさ。別に、殺さねーよ。あ、でも、

   そしたらずっと一緒にいれるな。どうする?」


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