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この本と出会わなければ、介護職としての自分はいなかった【ブックレビュー①マンガ・小説4選】

こんにちわ、アルゴです。

学生時代から何百冊も読んできましたが、中にはこの本を読まなければ今の自分はいない・・・と思える本もたくさんあり、今も大切にしています。

本や映画というのは基本的に、人から勧められても自分が興味がなければ見ないものだとは思いますが、note記事を読んでくださったりフォローしてくださる方は介護職や独立されている方が多いので、何か参考になればと思い紹介することにしました。

紹介する4つの作品は、すべて「生きること、死ぬこと」という私の専門分野でもある『介護福祉』にも関わるテーマです。

今回はマンガと小説を紹介します。

※ 今回の記事ではストーリーの結末などネタバレは極力しませんが、「人生に影響を与えた」というレビューの性質上、世界観の紹介などはいたします。少しでもネタバレが気になる方は購読をお控えください。

①宮崎駿著・風の谷のナウシカ(全7巻)


スタジオジブリの映画で有名な風の谷のナウシカですが、
映画は壮大な物語のほんの一部を切り取っただけのもので、原作2巻の途中くらいまでで無理やり終わっています。

原作のマンガは全7巻まであり、宮崎駿さんが12年の歳月をかけてやっと書き終えました。

しかしなんと、原作を書き始めて1年くらいで映画化が決定してしまったため、映画のストーリーが中途半端に終わってしまったのは当然のことといえます。

映画には出てこない国、人物、世界設定などが多数登場します。

ナウシカの住む世界は、ナウシカ達が住んでいたよりもはるかに昔、かつて旧人類が住んでいました。

旧人類は様々なことがあって、一度世界を『浄化』することを決意し、自分たちは長い長い眠りにつくことになりました。

そしてナウシカ達現代人は、その旧人類がふたたび目覚めた時にそなえて人工的に作られた、『都合のいい存在』であったわけです。

ナウシカ達現人類は最終的にその旧人類と対峙することになりますが、ナウシカがとった決断とはいったい??
果たして結末は・・・??

<風の谷のナウシカが私の人生に影響をあたえた点>

世の中、何が正しくて間違っているかなど、わからないと感じました。

人は皆、自分自身の正義によって行動にしているのだと思います、私自身もそうです。この道が間違っていると思えば、その道に進んだりしません。

ただ、人によってその正義の定義が異なるために、争いは起きるんですよね。それは国家間の戦争に限らず、職場内の小さな揉め事も同じです。

でもやはり、最終的に皆は「自分は間違っていない」と思い込んで行動しているのだと思います。

(「人を困らせてやろう・・・自分さえよければいいんだ」という犯罪を犯すような人は覗いて)

このナウシカの世界でも、旧人類の言い分と、ナウシカ達現代人の言い分・・・両方は決して間違っていないと思います。

その人自身が正しいと信じて行動する道は、その人自身にとっての「正解」なのだと思いました。


ナウシカは哲学的な内容も多いですが、マンガとしてもめちゃめちゃおもしろいのでぜひ!これを読まないのは本当にモッタイナイ!


②手塚治虫著・火の鳥(文庫版は全14巻)


2つ目の作品は手塚治虫先生の『火の鳥』です。最初に読んだのは小学校の図書館でしたが、大人になって自分でも買いました。

この作品、実は未完で終わっています。

『火の鳥』は全編にわたって、過去と未来の世界が交互に描かれています。その巻ごとに歴史や舞台、登場人物も全く異なる世界で構成されているのです。

第1巻の『黎明編(れいめいへん)』では、邪馬台国の時代です。
しかし、第2巻ではいきなり未来の世界、このストーリーの結末が描かれてます。

過去と未来が1巻ごとに交互に描かれ、巻を追うごとに最終章である『現代編』にむかっていく

3巻はふたたび過去に戻るのですが、1巻より少し後の時代。
4巻はまたまた未来へ。ですが結末であった2巻より前の時代。

このような具合で、だんだんと時系列の中心である現代(当時)に近づいてくという壮大なスケールで描かれています。

しかし…
いざ最終章となる現代編が描かれる前に手塚治虫先生が亡くなってしまいました。
それが未完である理由となっています😓


未完とはいえ、マンガの神様と呼ばれる手塚治虫先生がライフワークとして生涯描き続けた作品で、日本マンガ史上の歴史に名を残す作品であることは間違いありません。

この作品のすごいところは、12巻という長いお話の中で、徐々に個々のお話が
関わりあいを持っていることが明かされていく
ことです。

全12巻(文庫全14巻)の中では過去、未来が交互に描かれており、読んでいる方も良い意味でパニックになり、壮大な世界、宇宙を旅している気分になれます😄

これだけ壮大なストーリーで手塚先生がライフワークとして30年以上かけて描いたにも関わらず、過去と未来、全ての話のつじつまが合うように、伏線が回収されていくのです。

こんな物語を現代の漫画家や小説家が描けるでしょうか?
天才のアタマの中はどうなっているんでしょうか??
ただただ驚愕するばかりです。

<火の鳥が私の人生に影響をあたえた点>

火の鳥は全編を通して歴史や舞台、人物が異なりますが、どの巻もテーマとしては似通っています。

『火の鳥』はスピリチュアル的・宗教的な内容が強く、とくに輪廻転生や因果応報など、仏教的な考え方も盛り込まれています。

(マンガの中で、仏教の信仰を読者に促すような事はありませんので、非常に読みやすい内容となっています)

全編をとおして共通して「生きること」「死ぬこと」が重要なテーマとなっています。

どの巻、どの歴史にもたいてい『火の鳥(フェニックス、鳳凰など呼ばれ方は違う)』が登場しており、
「火の鳥の血を飲むと不老不死になれるらしい」
という伝説がどの時代にも広まっています。

しかし、その都度人々は気づかされます。
「永遠の命はありがたいものじゃない」
と・・・。
おそらく医療が発達した現代に生きるわたしたちなら
「そんなことわかってるよ!」
と思うかもしれませんね。

ここから介護の仕事の話につながりますが、
「食事が食べれなくなっても胃に穴を開けて栄養を送り込みいつまでも延命する・・」
家族は
「なるべく長く生きていてほしい」

これが本当に本人の望むことであれば良いのですが、ほとんどの場合、意思確認はとれずに治療がなされている現状があります。

延命治療が正しいかどうかはまた人それぞれの倫理観によって異なりますが、『火の鳥』を読むと
「人間や動物はなぜ生まれなぜ死ぬのか・・・」
ということをあたらめて考えさせられます。

私自身は、死ぬ時に「こういう人生で良かった」と後悔をしないよう、自分が正しいと思う道を歩もうと思います。

(😉ちなみに私は火の鳥全14巻の中で、第4巻の鳳凰編が一番スキです。)

③栗本薫著・グインサーガ(全130巻+α)


故・栗本薫先生による長編ファンタジー小説、グイン・サーガです。

前項で紹介した『火の鳥』同様、こちらも作者が亡くなったため、未完の物語となっています。

130巻までは栗本先生が書いているのですが、その後もお弟子さんがひきついで書いているようで、現在もまだ物語は終わっていません。
1978年に物語がはじまって、40年近く続いているということですね。すごすぎる。

私はここでレビューをしておきながら、栗本先生が書いている部分しか読んでいません・・・。それでも、ご本人の書いた部分はしっかり読んでいるわけですから、グイン・サーガの魅力は十分にわかっているつもりです。

ちなみに、ここでレビューを書いたからといって、
「これから読み始めよう…」という人はまずいないでしょう。

140巻以上もある作品に手出しするのは、ナウシカや火の鳥にくらべてハードルが高すぎます。図書館で読めばタダですが、それでも時間はとられますからね。

なのでここでは小説から感銘を受けた部分だけを解説することとします。もし、興味がある方は過去に私が書いた記事をご参照ください。
↓↓↓

<グイン・サーガが私の人生に影響をあたえた点>

ここでは、物語の序盤に登場する重要キャラとして、
●グイン…(主人公、年齢不詳、記憶喪失、頭が豹の人間、ほぼ無敵の強さ、頭が良い、優しい)
●レムス…(15歳、敵国に母国を滅ぼされたパロの王子)
の2人があげます。

レムスはパロという国の王子ですが、敵国モンゴールに国を滅ぼされ、両親も殺されてしまいます。

遠くの地から旗揚げをするわけですが、まだ15歳という若い年齢で多くの兵をひきいて国を取り戻さなければならないという使命があります。

物語の途中でも、レムスは強い王になろうと苦戦し、周りから認められたいがために、威厳を保ったりしています。

レムスも「パロの真珠」と呼ばれるほど美男子でかわいい少年だったのですが、「強い王にならなければならない」という焦りからそうした行いを繰り返し、徐々に周りから嫌われていくのです。

レムスはプレッシャーに押しつぶされそうになり、悩んでいました。

そんなレムスに、ともに旅を続けていたグインが一言。

『グイン・サーガ11巻 草原の風雲児』より

「レムス。お前はこれから国をとりもどすいくさをおこす。首尾よく国をとりもどせば中原の大国に十五の若さで君臨する身となる。そんな人間は、とにかくお前の云うとおり認めようとさせるあまり、何から何まで自分の手柄にしようとする。
 それをせぬことだ。自分は暗愚、飾り物と云わせるぐらいの気でいろ。部下や王族に手柄を立てさせて、成果をしっかり自分で収穫しろ。
 王とは、自ら果実を摘む人間ではない。果実を捧げられるものだぞ。

このグインの言葉は、レムス王子・・・いや、それよりも私の胸に深くつきささりました😅

私がはじめてグイン・サーガを読んだのは学生時代だったのですが、社会人になってからも、時折この言葉を思い出しハッとします。

というのは、私は介護業界で管理職・統括職として務めた期間が非常に長かったのですね。人の上にたつ現場のリーダーや施設ケアマネ、相談員などです。

グインの云うとおりなんです。
人の上に立つ人間はいばり散らしたり、むりやり威厳を保とうとしても、部下はだーれもついてこないんです。
それを身をもって実感しました。

「介護主任だからといって、こんな知識も知らないのは恥ずかしい」と思うことも多々ありましたが、それも素直に認めるようにしました。自分ができないことは素直に言って部下に甘えるようにしました。

部下のやってくれた仕事を適切に評価し、部下を大切にしていれば、部下が勝手に私をフォローしたり気遣ってくれるようになるのです。
なんでもかんでも自分で抱え込んでやるのはもってのほかですね。


物語の中で、レムスは結局、英雄グインのせっかくのアドバイスを聴いて、良い王へと変わっていくのでしょうか・・・??それとも・・・

グイン・サーガはあまりにも長過ぎますが、24巻までで序章が終了します。そこまででも十分に面白いし、グインの言葉はどれもどれも胸につきささり、考えさせられるものばかりです。

ぜひ、読んでみてくださいね!(読まないでしょうけどw)

④学習漫画 世界の伝記『シュヴァイツァー』

最後はノーベル平和賞を受賞したお医者さんシュヴァイツァーの伝記です。学習漫画で、学校の図書館にも置いてあったものですが、その後父が買ってくれました。

今でもこの本は私の大切な宝物であり、『福祉』の原点だと思います。

何かつらいことがあった時に、読み返すことで勇気、熱意がわいてきます。

前項までに紹介した漫画、小説とはちがい、これは現実世界の人物です。
私が一番尊敬する人物でもあります。


シュヴァイツァーはドイツ生まれ、父親が牧師であり、周りにくらべ裕福な家庭で育ちました。

しかし少年時代を過ごすうち、
●自分だけが裕福な生活をしている
●動物を当たり前のように殺している
ことに疑問をもちはじめます。

一度、音楽や神学、哲学などの道にすすんだシュヴァイツァーですが、21歳の時に決意し、その後医師となり、アフリカへ渡り生涯現地の人々に尽くすことになります。

自分が間違っていないと思えば、周りがどう思おうとその道に進んで良い

<シュヴァイツァーの伝記が私の人生に影響をあたえた点>

恵まれた人生を捨て、『人のために』一生を尽くすという心に、私は子供ながら感銘を受けたのを覚えています。

私自身も社会に出てすぐは、介護福祉とは関係ない仕事をしていましたが、結果的には憧れだったシュヴァイツァーに近い仕事ができていて、本当に嬉しいです。

シュヴァイツァーは自分が恵まれた生活をしていても、それを捨てて他人のために生きれる人です。

周りの反対を押し切ってアフリカへ行ってしまうシュヴァイツァー

しかし現在の私はどうやっても、この考えに行き着くことはできません。

というのは、noteでもさんざん主張している通り、まず自分の幸せを最優先に追求して良いと思うからです。
私はさんざん、他人や会社のために尽くしてきた結果、バーンアウトしてしまいました。完全な社畜でした。

この伝記の中だけではシュヴァイツァーの心の中が本当はどうだったのかは知る事はできません。彼は自分の幸せも大切にしていたかもしれませんね。
しかし少なくとも、恵まれた環境を捨てて、言語も通じない見知らぬ土地へむかう彼の行動は、限りなく他人に尽くす行動以外にとらえられません。

おそらく、私は今後もこのような行動はできないでしょう。だからこそ同じ人間でありながら、神のような存在に思えるのです。


漫画や小説から学べることはたくさんあります

漫画や小説って、自己啓発とかビジネス本に比べて読みやすいですよね。でも
「ためにならない」
「時間の無駄」
と云われてしまいがちです。

でも今回紹介した4作以外にも、本当に素晴らしい作品がたくさんあり、それらが今の自分を形づくっているのは間違いありません。

日々忙しい毎日をおくっている皆さんも、一度、現実世界から離れてどっぷりと別世界に入り込んではいかがでしょうか??

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